DOHC、SOHC・・・は聞いたことがあるけれど、OHVってなかなか聞かないエンジン用語。でもかたくなにOHVを守り続けているアメ車だってある。じゃ、いったいOHVってどんなエンジン構造なのだろうか? 片岡英明氏が解説する。

OHVとはオーバーヘッドバルブの略

吸気バルブと排気バルブがシリンダーヘッドの上に備えられ、バルブを駆動するカムシャフトをブロックの中に入れているのがOHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンだ。プッシュロッドと呼ばれる長い棒を介してロッカーアームを押し上げ、バルブの開閉を行っている。

OHVは、シリンダーヘッドの上に余計な部品がないシンプルな構造だからコンパクト化しやすいし、軽量化の点でも有利だ。重心高も低くなる。放熱性も優れるなど、耐久性と信頼性も高い。だから長い間、多くのメーカーが使い続け、ユーザーにも愛されてきた。

最大の魅力は、整備性に優れていることである。シリンダーヘッドを開けて、バルブまわりや燃焼室を整備した後、外したヘッドを被せれば作業終了だ。プッシュロッドはエンジンブロック側に組み込まれたままだから、バルブの回転制御系を再び調整する手間は必要ない。

トラブルが出たときや整備するとき、作業するのがラクだ。素人でも整備しやすいから、広大なアメリカではOHVエンジンが愛され続けている。今でもコルベットは、V型8気筒OHVの2バルブエンジンを積む。
現在はエンジンの工作精度が高くなり、定期的にヘッドを開ける必要がなくなったからOHVエンジンは少数派となった。また、バルブの制御をプッシュロッドが行っているから、高回転になると追従性が悪い。これも廃れた理由のひとつだ。

だが、コルベットは大排気量エンジンだから低回転から分厚いトルクを発生し、豪快な加速を披露する。また、回したときに独特の音色を奏で、プッシュロッドやロッカーアームの打刻音も耳に心地よい。低い重心を活かした軽快なハンドリングも売りのひとつだ。だから今もOHVにこだわり続けている。

画像: OHVとはオーバーヘッドバルブの略
画像: OHVエンジンの代表格はシボレーコルベットだろう。このコルベットZ06は6.2L V8OHV+S/Cで、659ps/881Nmというとてつもない出力を発生する。

OHVエンジンの代表格はシボレーコルベットだろう。このコルベットZ06は6.2L V8OHV+S/Cで、659ps/881Nmというとてつもない出力を発生する。

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