日産が2016年8月に発表した可変圧縮比ターボエンジンとは、どんなメカニズムでどんなメリットがあるんだろうか? ホリデーオート編集長 阪本 透が解説する。
画像: ▲2016パリモーターショーでワールドデビューを果たしたインフィニティQX50に初搭載される予定。

▲2016パリモーターショーでワールドデビューを果たしたインフィニティQX50に初搭載される予定。

走行状態に応じて圧縮比を自在に変えられる

日産が2016年8月に発表した可変圧縮比ターボエンジン(VC-TURBO)。2016年のパリモーターショーでワールドプレミアを果たした新型インフィニティQX50に第一号として搭載され、今後続々と採用されることになるものだが、このエンジンはどんなものなのだろうか。

可変圧縮比というのは、簡単に言えば、エンジンの圧縮比を走行状態に応じて変えてしまう機能を採用したエンジン。たとえばターボエンジンにこの機能を使うと、燃費もパワーも10%以上アップするそう。

そもそもエンジンというのは、圧縮比が高い方が燃費が良いもの。ところが、あまり圧縮比を高めすぎるとノッキングが起きてしまう。だから、ふつうのガソリン車の圧縮比は10:1とかに抑えることが多い。本来、一般的な走行では負担が軽くなるので、燃費を良くするためには14:1くらいまで上げたいところだが、いままでの技術では圧縮比は固定のため、それは不可能だった。

そこで日産が考えたのが、ピストンとクランクをマルチリンク機構で連結する方法。これをモーターと接続することで、クランクの稼働を連続可変として、走行状態にあわせて圧縮比を自在(8:1〜14:1)に変えることができるようになった。つまり、市街地走行や高速巡航などの低負荷域では圧縮比を上げ、急加速などの高負荷域では圧縮比を下げ、ノッキングを回避しながら出力をアップする仕組み。この機能は、ノッキングが起こりやすく圧縮比をあまり上げられないターボエンジンとの組み合わせで効果絶大。2L4気筒のガソリンエンジンで、最高出力265ps以上、燃費は同クラスのディーゼル同等以上を実現するという。

画像: ピストンとクランクをマルチリンク機構で連結、モーターと接続してクランクの稼働をを連続可変することで上死点の位置を変え、圧縮比を8:1から14:1に変えるようにしている。

ピストンとクランクをマルチリンク機構で連結、モーターと接続してクランクの稼働をを連続可変することで上死点の位置を変え、圧縮比を8:1から14:1に変えるようにしている。

画像: 走行状態に応じて圧縮比を自在に変えられる

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