最近よく聞く「ガソリン直噴エンジン」という言葉。直噴、とは、一体何のことなんだろうか?それによって何かメリットがあるのだろうか。自動車のメカニズムにも詳しいモータージャーナリスト、片岡英明氏に聞いた。
画像: レクサスISやクラウンなどに搭載されはじめた2L直4ターボ(8AR-FTS型)もガソリン直噴エンジンだ。

レクサスISやクラウンなどに搭載されはじめた2L直4ターボ(8AR-FTS型)もガソリン直噴エンジンだ。

エンジン内に、“直接”燃料を“噴射”するから「直噴」

シリンダーの中に、燃料を50~200気圧の高圧で直接噴射するのが「直噴」エンジンだ。この筒内直接噴射は航空機用エンジンのために開発されたが、1954年に自動車にも採用された。メルセデス・ベンツが、直噴ガソリンエンジンに機械式燃料噴射装置を組み合わせ、300SLに搭載したのである。

今につながる直噴ガソリンエンジンが登場するのは、電子制御の技術革新が進んだ90年代なかばだ。三菱自動車がGDIエンジンの実用化に成功した。これは希薄混合気による成層燃焼を実現するための技術である。シリンダー内の気流を利用して点火プラグのまわりに燃焼可能な混合比の層を形成することで、超の付くリーンバーン(希薄燃焼)を可能にしたのだ。

ポンピングロスが低減し、冷却損失も大幅に減る。より少ない燃料でエンジンを回すことができるため、燃費が向上するという理屈だ。この超リーンバーンを可能にしたのは、電子制御スロットルや高精度インジェクターなどの技術である。

国産では三菱のGDIが直噴エンジンのはしり

三菱のGDIは一世を風靡し、他のメーカーも追随した。が、5年ほどで廃れている。思ったほど燃費はよくなかったし、希薄燃焼エンジンはNOx(窒素酸化物)や粒子状物質も多く出る。その後処理には高コストの触媒システムを必要とした。現在は混合気の形成に、多段噴射などの新しい技術を盛り込み、理論空燃比での燃焼を基本としている。だから燃焼は安定しているし、燃費もさらに向上した。

直噴エンジンは吸気ポートや吸気バルブなど、高温になるところに触れることなくシリンダー内に直接噴射するので温度低減効果が高まり、圧縮比を高く設定しやすくなる。当然、パワーとトルクを出しやすい。過給機付きエンジンでは圧縮比を下げることなく性能アップが可能だ。だから直噴のダウンサイジングターボも増えてきた。冷寒時に気化、霧化に優れているため排ガス低減の効果も大きい。

画像: シリンダー内に直接ガソリンを噴射させる直噴エンジン。1996年に三菱ギャランに搭載されたGDIエンジンはその走りだった。

シリンダー内に直接ガソリンを噴射させる直噴エンジン。1996年に三菱ギャランに搭載されたGDIエンジンはその走りだった。

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