蛍光イエローにペイントされたブレーキキャリパーやエンブレムがハイブリッドの証とするポルシェのPHEVモデル。ポルシェのフラッグシップSUVに君臨するカイエンにもPHEVモデルがラインナップされる。カイエンS E-ハイブリッドがそれだ。ポルシェにPHEV? その使い勝手はいかほどなのだろうか。

家庭用電源を使用し、ゼロからのフル充電は約3.5時間

0→100km/h加速は5.9秒、最高速では243km/hをマークするカイエンS E-ハイブリッド。モーターのみで走行するEパワーモードの最高速は125km/h。また、Eパワーモードでのフルチャージからの航続距離は走り方によって異なるが、およそ18〜36kmを実現する。

家庭用電源を使用してのゼロからのフル充電は約3.5時間(3.6kWモードの標準チャージャー)。オプションの7.2kWの高出力チャージャーを使用すると1.5時間以下でフル充電が可能という。

とはいうものの「集合住宅なので充電用の電源がない」、「いちいち家庭用電源で充電なんてしてられるか」という人もいることだろう。では、そういう人たちがカイエンS E-ハイブリッドを選んでも意味がないのか。いやいやそんなことはないようだ。「Eチャージモード(強制充電)」にすれば走りながらのフル充電が可能だ。「どれだけ走ればフル充電できるのか」を高速道路で検証した。

画像: 急速充電に対応していないため、充電施設は限られる。写真は自動車用品店で充電シーン。

急速充電に対応していないため、充電施設は限られる。写真は自動車用品店で充電シーン。

強制充電モードで走行しながらゼロからフル充電になるまでの距離は55km

当然、充電量のメモリはゼロの状態からスタート。渋滞に少し巻き込まれたが、すぐに1目盛り充電された。その後は順調に流れ出し、法定速度でクルージング。「これはわりと早い時間でフル充電になるかも」という期待を胸に走り続けること55km、時間にして1時間ちょっと。やっとメーターがフル充電を示し、Eパワーモードでの走行可能距離は19kmと表示している。とりあえずしばらくは強制的に充電しながら走り続けると21kmまで数字が伸びたが、これ以上走り続けても数字に変化は見られなかった。

今度はEパワーモードで一般道を走行してみると電気的なモーターの作動音が聞こえてくる。ボルボXC90 T8 Twin Engine AWD インスクリプションのような無音とは対象的だ。

Eパワーモードのまま50km/h前後でおとなしく走り続けても、なかなか目盛りは減らないし、走行可能距離も21kmをキープしたまま動かない。当然この数字はあくまでも目安であって、激しくアクセルペダルを踏めばすぐに減るし、おとなしく走れば減りも少ない。結局目盛りがゼロになるまでの走行距離は23kmをマークした。

画像: 右側のデジタル表示が充電量を示すメーター。左側下部もアナログ式メーターがレイアウトされる。

右側のデジタル表示が充電量を示すメーター。左側下部もアナログ式メーターがレイアウトされる。

カイエンのPHEV化による車両重量の増加は約270kgだが、それを感じさせないほど違和感のない走行が印象的だった。エネルギー回生を行うブレーキも違和感のない自然なフィーリングだ。とはいえシステム最高出力416psと最大トルク590Nmを誇るカイエンS E-ハイブリッドの走りは、まさにポルシェそのものだ。

時にはスポーティに、時にはエコノミーに、という2面性を併せ持つのがこれからのスポーツカーには必要なのかもしれない。カイエンS E-ハイブリッドを選択する意味は十分にあると感じた。

画像: 「E-POWER」ボタンを押すとモーターのみの走行。その下の「E-CHARGE」ボタンを押すと強制充電が可能。

「E-POWER」ボタンを押すとモーターのみの走行。その下の「E-CHARGE」ボタンを押すと強制充電が可能。

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