レクサスLC試乗会が開催された。ハイブリッドの「レクサスLC500h」がいいか、それとも5L V8の「レクサスLC500」がいいのか。愛知から京都までのコースで入念にチェックしてみた。
画像: 京都の渡月橋を渡るレクサスLC500。

京都の渡月橋を渡るレクサスLC500。

どちらにも大きな魅力を感じるが……。

レクサスLCの国内試乗会が開催された。レクサスLCの組み立て工場があるトヨタの元町工場(愛知県豊田市)から、伊勢湾岸道、新名神を通って琵琶湖まで行き、そこをベースに比叡山ドライブウェイを走り、京都までというコースだ。

この試乗会では3.5L V6DOHC+モーターのハイブリッドである「LC500h」と、自然吸気5L V8DOHCの「LC500」のハンドルを握ったが、“結局、どっちがいいの?”という問いに自分なりの結論を出してみた。

受注は発売から1カ月の4月16日時点で約1800台で、その約55%がV8、約45%がハイブリッドだ。ニーズはほぼ二分されているようで、ハイブリッドについては海外試乗会などの記事によって、その凄さがわかるにつれて割合が増えているそうだ。

画像: レクサスLC500h“L package”。これまでのハイブリッドの常識を覆す走りを見せる。

レクサスLC500h“L package”。これまでのハイブリッドの常識を覆す走りを見せる。

実際このハイブリッドは凄い。リニアリティが実に高いのだ。アクセルペダルを踏み込むとまずモーターだけで走り出すが、その後もイメージどおりにクルマが加速していく。そのフィーリングがなんとも自然だ。この「マルチステージハイブリッドシステム」は、エンジン後端にモーターを2個、その後ろに4段ギアを組み合わせて10段の疑似変速制御を行うが、これが従来のハイブリッドの常識を覆すリニアリティの高さを生んでいるのだ。

画像: 3.5L V6エンジンの後ろにふたつのモーターと4速ギアを組み合わせたハイブリッドシステム。

3.5L V6エンジンの後ろにふたつのモーターと4速ギアを組み合わせたハイブリッドシステム。

システム最高出力は359psでV8エンジンの477psには劣るが、ワインディングロードなどではコーナーの立ち上がりで、モーターが巧みにひと押ししてくれる印象で、その走りは軽快で楽しい。そして、ハイブリッドに限ったことではないが、狙ったとおりのラインをスパッと走ることができる。出来のよいFR車というのは、こんなにも運転が楽しいのだと改めて実感した。新たに開発されたプラットフォームである「GA-L」が、その楽しさの実現にひと役かっているのだろう。

ここで試乗を終えれば「レクサスLC500hは究極のハイブリッドスポーツカーとして素晴らしい出来映えだった」ということで締め括れるのだが、続いてV8を試乗して思い悩むことになる。いまや大排気量の自然吸気エンジンは貴重な存在だが、そこをあえて搭載したことに大いなる価値があると、よくわかったのだ。

この自然吸気の5L V8DOHCの最高出力は477psで、RC Fが搭載するエンジンと最大トルクは異なるが基本的には同じものだ。そして、RC Fは非常に評判がいいことはすでに周知の事実。LCに搭載してもいいことに変わりはないが、さらにLCの洗練されたシャシにより、このエンジンはいっそう輝きを増している。車重がハイブリッドより60kg軽いこともアドバンテージで、すこぶる楽しくよく走る。JC08モード燃費はハイブリッドが15.8km/Lに対し、V8は7.8km/Lと半分以下ではあるが、そうしたネガを気にさせない魅力がある。

画像: レクサスLC500が搭載する5L V8DOHC。RC Fと基本的には同じエンジンだ。

レクサスLC500が搭載する5L V8DOHC。RC Fと基本的には同じエンジンだ。

LC500h(ハイブリッド)とLC500(V8)の価格差は50万円でハイブリッドの方が高い。
「この差にはどういう意味があるのですか」とレクサス関係者に聞いたところ、「ハイブリッドの優遇税制を考慮に入れると価格差はあまりなくなるんです。ですからお好きな方を選んでいただきたいと思います」とのこと。実際には購入時の税金の差は30万円ほどのようだが、レクサスの考えはよくわかる。どちらにも絶対的な自信があるのだ。

結論としては「私はV8を選ぶ」。なぜならこの大排気量のV8自然吸気エンジン+優れたFRシャシというのは、今後はもう味わえないのではないかと思うからだ。免許をとってはや30数年、これまでのクルマ人生のひとつの到達点として、こんなモデルを愛車にできればこれほど嬉しいことはない。

画像: 走りと同様、スタイリングもエキサイティングでほれぼれする。

走りと同様、スタイリングもエキサイティングでほれぼれする。

それともうひとつ理由がある。これは私の完全な妄想だが、いずれ登場するだろう「レクサスLC F」は、ハイブリッドなのではないかと思うのだ。LC500が搭載する、すでにRC Fと同じレベルにある高性能V8エンジンをさらにチューンナップすることは、市販車レベルで考えると燃費などの問題もあり難しいだろう。すると解決策はハイブリッドしかない。さらにハイブリッドがレクサススポーツの頂点に立つことで、ブランドの方向性もしっかりと定まることになるはずだ。そういうわけで、スーパーなハイブリッドスポーツに乗る機会はまだこの先にもあるだろうと思ったのだ。さて、皆さんはどう考えるでしょうか。(文:荒川雅之/写真:Lexus International)

●主要諸元 レクサスLC500h
全長×全幅×全高:4770×1920×1345mm
ホイールベース:2870mm
重量:2000kg
エンジン:V6DOHC
排気量:3456cc
エンジン最高出力:220kW(299ps)/6600rpm
エンジン最大トルク:356Nm/5100rpm
モーター最高出力:132kW(180ps)
モーター最大トルク:300Nm
システム最高出力:264kW(359ps)
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:FR
タイヤサイズ前:245/45R20
      後:275/40R20
車両価格:1350万円

●主要諸元 レクサスLC500
全長×全幅×全高:4770×1920×1345mm
ホイールベース:2870mm
重量:1940kg
エンジン:V8DOHC
排気量:4968cc
最高出力:351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク:540Nm/4800rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:FR
タイヤサイズ前:245/45R20
      後:275/40R20
車両価格:1300万円

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