本日発売、「星野一義ファンブック」。今日は「SCENE.02星野一義クロニクル」の最終章。2000年代に入って、星野選手のレース参戦活動は全日本GT選手権に絞られたものの、フォーミュラ・ニッポンのチーム監督も兼任。50歳を超えた星野の肉体が抱える爆弾は破裂寸前だった。

50歳を超えてなお、国内最高峰クラスで勝負強さを見せつける

GT500では、1998年と2000年にシリーズ3位を獲得。2000年の第6戦MINEでは、全日本選手権最後となる優勝も手にしている。が、2001年はシリーズ13位と精彩を欠き、翌2002年8月28日、レーシングドライバーとしての引退を発表した。

けれども星野一義のレーシングスピリットが止まることはない。
引退直後の2002年9月にホリデーオート誌が行ったロングインタビューを大幅加筆して再録。引退当時の心境に迫る。
さらに、引退から14年を経た“今”、チーム監督として、社長としての自身を語るインタビューも掲載。星野一義は何歳になっても、“星野一義”で有り続ける。

画像: 全日本GT選手権・GT500クラス ニッサン スカイラインGT-R

全日本GT選手権・GT500クラス
ニッサン スカイラインGT-R

特に当時人気が急激に高まっていた全日本GT選手権(JGTC)では、97年に当時26歳の本山 哲を起用したのを皮切りに、98年は黒澤琢也、ベースマシンがR33GT -RからR34GT-Rとなった99年には影山正美、2000年には再び本山と、まるでレーシングドライバーとしての帝王学を授けるかのように、若いドライバーをパートナーにして参戦を続けた。
しかも98年は、未勝利ながらも着実にポイントを稼いでシリーズ3位を獲得、本山とのコンビを復活させた00年には1勝を挙げて再びシリーズ3位。
最高峰クラスでも依然として速さと勝負強さを発揮し、50歳を超えてなお「日本一速い男」としての存在感を見せつけた。しかし、00年のMINEで行われた全日本GT選手権シリーズ第6戦での勝利が、星野のドライバー生活における最後の栄光となる。

画像: 星野一義インタビュー(2002.917)

星野一義インタビュー(2002.917)

その33年間で、星野はただの一度もレースを楽しんだことはなかったという。彼はインパルと、資金を提供してくれるスポンサーや関連企業と、そして熱い視線を送るファンの期待とを一身に背負い、重圧と対峙しながら疾走していたのだ。
(中略)
星野が55歳になるまで走れた理由、それは良質の筋肉と驚異的なテスト回数にあるといっていい。
「デイトナ24時間に行ったときにトレーナーの人に言われたんだけど、筋肉の質が良いらしいね。体力や筋力を維持するためのトレーニングは全然したことがないよ。その点は親に感謝しないとね」
(中略)
ここにかつて星野が「ファイティングインプレ」いう連載をしていた別冊ホリデーオートオート81年1月号がある。その中の読者からの質問コーナーの《長嶋監督に続いて、王選手まで引退してしまいましたが、星野さんはどう思いますか?》という問いに、当時の星野はこう答えている。
「王選手本人はホッとしているんじゃないかな。バッターボックスに立っても王だったらみんなホームランを期待して見てるわけだろ。だから最近の王は球場に行くことが楽しくなくなったんじゃないかと思う。《中略》プロの世界でやって行くには、必ず限界ってものがあるから、今度の引退は残念だけど、しょうがないって気もするんだ。人間引き際が肝心だからね。《中略》プロでは2位ってのはダメで1位取れなきゃしょうがないんだから《後略》…」
インタビュー中、星野はその誌面を見て感慨深げに呟いた。
「…同じ気持ちだよ。昔も今も…」

画像: 星野一義インタビュー(2017.3.15)

星野一義インタビュー(2017.3.15)

ただ、監督になった当初はオレが前に出すぎていてうまく物事が回らなくて苦労した。インパルの方は金子がうまくやっていたから、レーシングの方はオレがうまくやろうと気負って「オレがオレが」とやりすぎていたんだね。
(中略)
一度、チームのミスでホイールのロックナットが外れて勝てるレースを落としたんだ。そのとき内心ではむかむかしているんだけど、表には出さずにチームには、「そういう失敗は次からしないで頑張るようにしろ」って声をかけたんだ。
声をかけられた方は泣いてたよ。だけどそれから会社で自主的にタイヤ交換の練習を重ねるようになって、それ以降、完璧にいくようになった。
(中略)
ビジネスの面でも、若い人に任せるようになってきたとは思う。商売の
ミーティングにも大事な時には出ているけど、3歩下がって聴いて最終的な決断だけしている。もちろん、ビジネスのミーティングでも意見がぶつかることは珍しくないよ。でも、ぶつかって意見を言い合う方がいいんだ。
(中略)
オレも70歳になった。あっという間にこの年齢になっちゃった感じがするね。若い頃は、70歳はおじいちゃんの年齢だと思ってきたけど、昔とは環境も食べ物もいろいろ違うから、今、自分ではおじいちゃんになった気はしないんだ。
(中略)
昔はレースが近づくと、蕁麻疹が出た。それくらい入れ込んでいたんだ。最近は蕁麻疹が出るようなことはなくなった。商売のことが気になったりすると、ちらっと出たりすることがあるけど、昔のようなことはない。そこまで気持ちが張り詰めなくなったというより、レーシングカーを下りてからいろんなことを学んで、自分の周りのことをうまく回せるようになってきたからなんだろうな…そう思ってる。

「The Racing Legend 星野一義 FANBOOK」
A4変形 オールカラー132ページ 2017年4月25日発売 1800円(税込)
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