初代フェアレディZ(S30系)には、最上級グレードとして当初よりGT-R譲りの24バルブDOHCエンジンを搭載する「Z432」が設定されていた。さらに、モアパワーを求めるユーザーが多かったことから、1971年より北米仕様と同じ2.4ℓエンジンを搭載する「240Zシリーズ」がラインアップに加わった。(この記事は2017年5月10日発売の「ホリデーオート6月号」より一部抜粋して構成しています)

排ガス対策に奔走した苦難の時代を迎える

初代フェアレディZには、最上級グレードとして、またモータースポーツに対応するための最強グレードとして、S20型DOHC24バルブエンジンをを搭載した「Z432」が設定されている。当時はプロトタイプ(R382 VS vs トヨタ7)を筆頭に、レースでワークス対決が過熱気味だった時代。Zもレースで勝たなければトップブランドになれない状況だった。そこで切り札となったのがZ432で、70年4月のレースドニッポンで初優勝してから勝ち星を重ね、その速さを実証していく。

しかしZ432は国内専売だったこともあり、海外ラリーでは当初からアメリカ仕様と同じ2.4ℓを積んだマシンが主力となっていた。それを受けて71年11月、240Zの国内販売が開始される。中でも注目されたのが、最高速度を稼ぐロングノーズ(Gノーズ)とオーバーフェンダーで武装した240ZGだ。当時の若者から圧倒的な支持を得て、国内外のレース&ラリーでも快進撃を続けるなど順風満帆と思われたが、排ガス対策やオイルショックの余波で73年にはZ432ともども表舞台から姿を消すことになる。

画像: 海外のモータースポーツでは2.4ℓエンジンを搭載する240Zが活躍した(写真は1973年のサファリラリー)。

海外のモータースポーツでは2.4ℓエンジンを搭載する240Zが活躍した(写真は1973年のサファリラリー)。

フェアレディZ432R

S30型フェアレディZの最強バージョン、Z432に大幅な軽量化を施したレース専用車が432Rだ。ボディパネルの鉄板を薄くし、ボンネットをFRP化。サイド&リアウインドーを軽量なアクリルに変更している。内装もドアトリムやルーフからスポンジを抜きビニールで覆ったほか、時計/ヒーターなどは取り去られた。反面、エンジン下のアンダーカバーや100ℓタンク、オイルクーラーを標準装備している。エンジン自体はS20型+ミクニソレックス3基で変わらないがエアクリーナーを省略。代わりにむき出しのファンネルが装着された。制動性能の低下を抑えるためマスターバックも外されている。初陣となる70年1月の鈴鹿300kmレースはリタイアしたが、同年4月のレースドニッポン6時間で初優勝、次の鈴鹿500kmも制した。

画像: レース関係者やライセンス保持者にしか販売されなかったというが、一般市場にも数台の「R」が流れたようだ。

レース関係者やライセンス保持者にしか販売されなかったというが、一般市場にも数台の「R」が流れたようだ。

Z432Rに搭載されたS20型4バルブDOHC。エアクリーナーを外し、むき出しのファンネルが装着されている。

240ZG

71年11月に登場した240Zのトップグレード。日本専売車で、富士スピードウェイの長いストレートを想定したGノーズと前後オーバーフェンダー、縦2段出しのマフラー、リアスポイラー(オプション)、Z初の175HR14サイズのラジアルタイヤなどでマッチョな雰囲気を強調する。エンジンは決してパワフルとは言えないカウンターフローSOHCだが、耐久性&整備性に優れ、モータースポーツのベース車両としては完調を保つのに手がかかるZ432より優れていると言われた。カタログ値の最高速度は210km/h、0-400mは15.8秒。ちなみに240Zは1970年のRACで総合7位(クラス2位)、71年のサファリラリーでは1-2フィニッシュを飾る。国内レースでは、71年の全日本鈴鹿300kmを手始めに連戦連勝。73年の富士1000kmには240ZRが参戦した。

画像: 日本国内専用車として発売された240ZG。Gノーズ、オーバーフェンダーのスパルタンなスタイルが特徴。

日本国内専用車として発売された240ZG。Gノーズ、オーバーフェンダーのスパルタンなスタイルが特徴。

画像: 北米仕様と同じ2.4ℓSOHCエンジンを搭載。神経質だったS20型よりもトルクがあり乗りやすかった。

北米仕様と同じ2.4ℓSOHCエンジンを搭載。神経質だったS20型よりもトルクがあり乗りやすかった。

(以下、第二話に続く)

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