国産車のエンブレムは、会社名の頭文字、アルファベットをデザイン化したものが多いのだが、メルセデス・ベンツやBMW、ポルシェなどドイツブランドは、なんとなくそれと違った印象がある。では、それぞれどんな意味を持っているのだろうか? ドイツのブランドに詳しいモータージャーナリスト、こもだきよし氏に聞いた。

画像: 【くるま問答】ドイツブランドのエンブレムの意味を教えて【こもだきよし】

ドイツメーカーはエンブレムに対するこだわりが強い

エンブレムはその会社の主張でもあり歴史でもある。特にドイツのカーメーカーはエンブレムに対するこだわりが強い。

メルセデス・ベンツの「スリーポインテッドスター」は、ダイムラー社(正式にはダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト)とベンツ社(正式にはベンツ&シー)が1926年に合併する前の1909年に、ダイムラー社が商標登録したもの。3方向に伸びる光芒(こうぼう=光のすじ)は、陸、海、空のそれぞれの世界でのモビリティの発展を意味する。一方、ベンツ社のエンブレムは「月桂冠を模った円形」のもので、スリーポインテッドスターの周囲を月桂冠で飾ったデザインは、ふたつのブランドのデザインを合体させたものだ。

画像: メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスター。

メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスター。

BMWは由来の公式見解が変わっている

BMWのエンブレムは、100年の歴史の中で基本デザインは同じだが、その由来については時代によって公式見解が変わっている。エンブレム中央に丸い十字に青と白を配色しているが、30年ほど前はミュンヘンの青い空と白い雲にプロペラが回っている様子だと言われていた。

そもそもBMWは飛行機のエンジンを製造する会社だったからだ。しかし最近になってこの青と白はバイエルン州の州旗(青と白のチェッカー模様)からイメージしたものという公式見解になった。BMWはバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(バイエルン地方のエンジン工場)という社名だから、バイエルン州の地元企業という意識は強いからかもしれない。

アウディは4社の団結を意味する

アウディはフォーシルバーリングスと呼ばれる4つの輪を組み合わせたエンブレムだ。これはアウトウニオンの設立に加わったアウディ、DKW(デーカーヴェー)、ホルヒ、ヴァンダラーの4社の団結を象徴するものだと言われている。当初はアウディNSUアウトユニオンだったが、1985年にアウディに社名変更した。世界の誰もが発音しやすい言葉というのが採用理由で、ラテン語で「聞く」という意味がある。

ポルシェとフェラーリの「馬」は起源が同じ

ポルシェのエンブレムは本社があるシュトゥットガルト市の馬の紋章を中央にあしらっている。創設者であるポルシェ博士はシュトゥットガルト市があるバーデンビュルテンブルク州の紋章と組み合わせてポルシェ社のエンブレムにした。フェラーリの跳ね馬も実は同じシュトゥットガルト市の紋章なのだ。

画像: ポルシェのエンブレム。中央はシュトゥットガルト市の馬の紋章。

ポルシェのエンブレム。中央はシュトゥットガルト市の馬の紋章。

フォルクスワーゲンはフォルクス(国民)ヴァーゲン(車)のイニシャルであるVとWを円の中に入れた幾何学模様のようなエンブレムだ。シンプルだがわかりやすいマークになっている。

ドイツで一番少量生産の自動車メーカーであるアルピナ社にもこだわりのエンブレムがある。よく見るとウェーバーキャブレターとクランクシャフトが並んでいる。

画像: アルピナのエンブレム。右がクランクシャフト、左がキャブレター。

アルピナのエンブレム。右がクランクシャフト、左がキャブレター。

This article is a sponsored article by
''.