イギリスの高級車、ベントレー。実は今、この伝統と格式のある高級車が、これまでとは異なるユーザー層に大いに受けている。それはなぜなのか。ベントレーの新しい乗りこなし方とはどんなものなのか。世界の高級車に詳しいモータージャーナリスト、大谷達也さんと西川淳さんに語ってもらった。

さてさっそくですが、ベントレーは一般的にはどういうイメージでしょうか?

西川 やはり「イギリスが誇る最高級自動車ブランド」のひとつで、「値段も高く、庶民には乗れない」というイメージではないでしょうか。そしてクルマ好きにとっては「なかなか超えられない一線の向こうにあるクルマ」、「自分なんかが乗ってもいいのかと、ためらいを感じてしまうクルマ」でしょうかね。同じ価格帯だったとしても、イタリアの高級車などとはそこに違いがある。

大谷 そうですね。「お金があるだけでは、乗れない。ふさわしい人間だけが所有できる」みたいに思われていると思います。

西川 やっぱり古くからあるブランドだから、いい意味でもそうでない意味でも、これまでに積み上げてきたイメージがいまだ根強く残っているんじゃないかな、と。

大谷 ショーファーが運転して、オーナーはリアシートと思っている人も多いと思いますね。でも実際はこのコンチネンタルGTのように、クーペもラインナップしていて人気なんです。

画像: 鮮やかなオレンジのボディカラー。こうした派手な色がよく似合うのもベントレーの特長。

鮮やかなオレンジのボディカラー。こうした派手な色がよく似合うのもベントレーの特長。

では実際のところどうでしょう。“意外なるベントレーの実像”を教えてください

西川 じつはこのコンチネンタルGTをはじめ、ベントレーはどのモデルも一線級のドライバーズカーです。

大谷 見た目は大きいし重そうに感じる人も多いと思います。でも実際はドライバーの思いどおりに動かせるスポーティなクルマなんです。スポーツカーと言ってもいいくらいです。

西川 ただ、簡単に“スポーツカー”と言い切れない奥深さもあるんですよね。

その“奥深さ”とは、どういうところですか?

大谷 ひとつは“GTカー”という側面です。スポーツドライビングだけでなく、ロングドライブも楽しめる。そしてもうひとつが、イギリス車がもつ独特の風格ですね。このあたりがスポーツカーという言葉から連想する“軽快さ”とはちょっと違うんだと思います。

西川 イギリスはスポーツカーを生んだ国ですが、そこで積み重ねてきたクルマづくりの歴史や伝統の上にベントレーという高級ブランドがある。だからそこには単にスポーツカーと言う以上の資質があるわけです。

大谷 スポーツカーではあるが、それで完結してるわけではなく、そこが出発点なんです。

エンジンは12気筒と8気筒があります。それぞれの特徴はどうですか?

大谷 6Lで12気筒のW12DOHCツインターボと4LでV8DOHCツインターボですね。ひと言で表すなら、W12は重厚、V8は軽快です。ただじつはこの両モデルの車重はほぼ同じなんです。おそらく足まわりのセッティングを変えて、乗り味に差をつけているんだと思います。

西川 初めてV8仕様に乗ったとき、とてもスムーズだし、もう12気筒はいらない、これで十分じゃないか、って思っちゃったんです。けれども、W12に乗ったら乗ったで、V8を上回る滑らかな味わいに改めて感動する。滑らかさをどこまでも楽しみたいならW12、操る楽しさを重視するならV8でしょうね。

それぞれ具体的にどんな人に向いていると思いますか?

大谷 W12は、高速道路のロングクルージングでしょうね。V8はときどき山道も楽しむような人でしょうね。

画像: トランクルーム容量は358L。ゴルフのキャディバッグを搭載するとこうなる。「撮影協力:TUMI(TUMI.co.jp/)」

トランクルーム容量は358L。ゴルフのキャディバッグを搭載するとこうなる。「撮影協力:TUMI(TUMI.co.jp/)

日常使いではどうでしょうか?

西川 フレンドリーです。そういう意味では、どちらでもふだん使いでは同じくらいラク。それぞれの特徴はあくまで“どちらかと言えば”の範囲に収まります。

W12とV8それぞれに“Speed”と“S”というハイスペックバージョンもありますね。

西川 W12のSpeedはある意味“スーパーカーイーター”なんで、トップパフォーマンスが欲しいという人向けでしょう。悩ましいのはW12とV8 Sとの比較ですね。

大谷 そこでやはりさっきの滑らかさとか、どう使うかってところが選択のカギになるんだと思います。エンジンのスムーズさ、ゴージャスさ、重厚さを考えるならW12だろうし、軽快さやパフォーマンスを味わいたいならV8 Sになるでしょう。

画像: 西川淳(にしかわじゅん)<左>:スーパーカーからクラシックカーまで幅広い領域に通じる気鋭のモータージャーナリスト。大谷達也(おおたにたつや)<右>:電機メーカーのエンジニアから自動車専門誌の編集者、そしてフリーのジャーナリストへ転身。

西川淳(にしかわじゅん)<左>:スーパーカーからクラシックカーまで幅広い領域に通じる気鋭のモータージャーナリスト。大谷達也(おおたにたつや)<右>:電機メーカーのエンジニアから自動車専門誌の編集者、そしてフリーのジャーナリストへ転身。

個人的にどれを選ぶかと聞かれたら、どうでしょうか?

大谷 ボクはV8ですね。ラインナップの中では控えめなポジションですが、それでも十分以上の動力性能を持ち、その価値に揺るぎはありません。これにベントレーならではのカスタマイズできる内外装をどう組み合わせるかで楽しみたいと思います。

西川 ボクはやっぱりW12かな。ロングドライブでは低いエンジン回転数で巡航でき、疲れを感じさせません。一定速度で走っているときにドライバーに伝わってくるエンジンの鼓動が、低回転域でも本当に心地いいんです。それを楽しんでいるだけで、どんなに長いドライブでも、目的地に早く着く気がする。これは12気筒だけに許されたドライブの味わいだと思います。

画像: 【360度動画】ベントレー コンチネンタルGTスピード youtu.be

【360度動画】ベントレー コンチネンタルGTスピード

youtu.be

ベントレー コンチネンタル GT スピード 主要諸元

全長×全幅×全高:4820×1945×1400mm
ホイールベース:2745mm
車両重量:2360kg
エンジン:5988cc W12DOHCツインターボ
最高出力:642ps/5900rpm
最大トルク:840Nm/2000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
乗車定員:4名
車両価格:2710万円

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