6月15日(木)、第85回ル・マン24時間レースの公式予選2日目が行われ、午後7時から行われた予選第2回目の終盤、トヨタTS050 HYBRIDの7号車を駆る小林可夢偉が、3分14秒791という従来のコースレコードを約2秒上回る驚異的なタイムでポールポジションを獲得した。
画像: 【ル・マン24時間】予選でトヨタ小林可夢偉がブッチギリでポールポジション獲得

小林は予選第2回目が始まって1時間ほどで起きたアクシデントで赤旗中断になっていたセッションが再開してすぐ、コースがクリアな状況でタイミングよくタイムアタックを開始。ミシュランのミディアムタイヤを使用したトヨタTS050 HYBRIDの7号車は1周13.629kmのコースで、まるでフォーミュラカーの様な走りを見せた。

トヨタにとってル・マン24時間レースでのポールポジションは、1999年のマーティン・ブランドル、そして2014年の中嶋一貴に続く3回目。

続く予選2番手には8号車の中嶋一貴が、予選第3回目の序盤に3分17秒128をマークして続いた。しかし、8号車は、予選第2回目が始まってすぐ、セバスチャン・ブエミがタイムアタックを始めた直後に、ユノディエールの直線の終わりでスローダウン。原因はエンジンの不調で、ブエミはそこから8号車を電気エネルギーだけでピットまで持ち帰った。その後、大事を取ってエンジン交換が行われ、修復なった8号車はコースに復帰したが、その直後に他車のクラッシュによりセッションは再び赤旗中断となり、そのまま予選2回目は終了した。

小林の衝撃的なタイムの感動が覚めやらぬまま、午後10時から予選3回目が行われた。すっかり夜の帳が降りたコースで、まずTS050 HYBRID 8号車の中嶋がタイムを3分17秒128まで縮め、予選2番手のポジションを確実にした。9号車はニコラス・ラピエールのマークした3分18秒625がベスト・タイム。予選順位は2台のポルシェに続く5番手だった。9号車は他の2台と異なり、国本雄資、ホセ・マリア・ロペスという2人のル・マン未経験ドライバーがラインアップに加わっており、予選セッションを通してナイトランの経験を積むことも忘れなかった。

ル・マンのコースレコードについて

ル・マン24時間レースが行われるサルト・サーキットは、24時間レースが始まった1923年に現在とほぼ同じレイアウト・距離になり、以後少しずつ形状を変えて現在に至っている。これまでの最速記録は1985年にポルシェ962のハンス・ヨアヒム・シュトックがマークした平均251.815km/hで、この記録はユノディエールにシケインが設置される前のもの。最高速が400km/hを越える車両が出始めたため、1990年、ストレート上に2カ所のシケインが設置された。シケイン設置後のベストラップは、2015年にポルシェ919のニール・ジャニが記録した3分16秒887(平均249.2km/h)だった。今年、小林可夢偉はそのタイムを大幅に破るとともに、最速記録を更新(251.882km/h)したことになる。

小林可夢偉 (TS050 HYBRID 7号車)のコメント

画像: 小林可夢偉 (TS050 HYBRID 7号車)のコメント

チーム全員のおかげでこの結果が得られ、本当に感謝しています。100%のアタックができ、思い通りの速さを示せました。TS050 HYBRIDも快調そのもので、最高のアタックラップでした。赤旗中断からの再開直後というタイミングも絶好で、コース上もクリアな状況であり、フルアタックできました。ポールポジションを獲得できたことは本当に誇りに思います。とはいえ、まだ24時間レースはスタートしていません。重要なのは決勝レースの結果であり、それこそが我々の目標です。

中嶋一貴 (TS050 HYBRID 8号車)のコメント

画像: 中嶋一貴 (TS050 HYBRID 8号車)のコメント

時間の経過と共にコースコンディションが徐々に向上して行くのが感じられた一日でした。トラブルがあり、我々は満足いく予選アタックが出来ませんでしたが、それでも2番手グリッドを獲得、チームの最前列独占という素晴らしい結果に貢献出来ました。決勝レースへ向けたTS050 HYBRIDのバランスには満足していますし、自信を持って決勝レースに臨めます。

ポルシェチームは3位、5位から虎視眈々と…

画像: ポルシェチームは3位、5位から虎視眈々と…

対するポルシェチームは、2号車のティモ・ベルンハルト(ドイツ)が3分19秒170のタイムで3位に入り、1号車のニール・ジャニ(スイス)が3分21秒165で5位に入った。予選ではトヨタの後塵を拝したものの、ポルシェは世界で最も過酷な耐久レースにタイトル防衛者として挑む。

ポルシェチーム監督のアンドレアス・ザイドルのコメント

最初に、ポルシェ919ハイブリッドをさらに改善するためにテストデー以来、懸命に頑張ってくれたチームの皆に感謝します。今日は暑さの中、見事な活躍をしてくれたおかげでレースウィークに好スタートを切ることができました。水曜日のプログラムを問題なく完了し、レースのセットアップについて多くのことを学びました。2台の車は高い外気温にもかかわらず素晴しい走りを見せています。セッションの始めに両方の車で初めてフルタンクに近い状態でのアタックラップを試みました。特にニールについてはクリアラップではなかったので、その後はレースの準備を継続しました。

画像: ポルシェチーム監督のアンドレアス・ザイドルのコメント

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