京都大学発の電気自動車(EV)メーカー、GLMはクルマの軽量化を実現する樹脂製のフロントウインドーをトミーカイラZZに搭載することに成功した。

従来のガラス窓より3割以上も軽い!

同社は、樹脂製のフロントウインドーを採用した世界初の市販車を目指し開発中だ。国の自動車保安基準改正で、2017年7月1日から樹脂製フロントウインドーの搭載が認められるのに合わせて試験を実施。近く、公道を走行するための国内認証を取得する予定で、今秋を目途に、樹脂(ポリカーボネート)製フロントウインドーを搭載した特別仕様車「トミーカイラZZ」を販売する計画だ。
今回の樹脂製フロントウインドーは従来の窓より3割以上軽いのが特長。標準装備であるAピラーやガラス窓、ルームミラーを合わせた重量(18.4kg)に比べて、樹脂ウインドーを搭載した車両は6.6kg軽くなっている。

画像: 従来のガラス窓より3割以上も軽い!

しかも樹脂製の窓はガラスに比べ高い強度があるため、窓周辺のフレーム枠を必要としない。窓枠がないので、運転中の視界を遮る要素がなくなり、快適に走行できるメリットもある。今回の樹脂製の窓は、帝人(株)の最先端技術を使い、「トミーカイラZZ」の形状に合わせて製作している。

画像: コクピットから見たフロントウインドー。窓枠がないので視界がスッキリしている。

コクピットから見たフロントウインドー。窓枠がないので視界がスッキリしている。

画像: 標準仕様のトミーカイラZZ。上の写真と比べると、窓枠がスゴく無骨に感じる…。

標準仕様のトミーカイラZZ。上の写真と比べると、窓枠がスゴく無骨に感じる…。

だがポリカーボネート樹脂はガラスに比べて耐摩耗性が低く、窓の開閉やワイパー等により表面が傷つきやすいことが大きな課題で、これまでのハードコート技術(ウエット法)だけでは、保安基準に対応する耐久性を満たすことができなかった。
そのため、樹脂製窓のクルマへの使用は摩耗の少ないサンルーフや後部の固定窓などに限られており、フロントウインドーは認められていなかった。

2014年に改正され2017年7月から導入される新保安基準には、法規的にはフロントウインドーへの搭載が認められたものの、これまで以上に厳しい耐摩耗性が求められた。ゴムと窓をこすりあわせて摩耗を調べる試験で、2%未満にする必要があり、これは耐摩耗性が5〜7%であった従来の樹脂の加工法(ウエット法)では満たせなかった。
そこで今回、トミーカイラZZに搭載した帝人の樹脂製窓は、透明性が高いPC樹脂にさらに保護層を作る技術を加えて、0.5〜1.5%の耐摩耗性を実現した。これは強化ガラス(耐摩耗性0.5〜1.0%)並みに傷つきにくい高い性能だという。

た環境規制が世界的に強まる中、航続距離を高めるためにクルマの軽量化は不可欠。同社は、日本のテクノロジーショーケースとなるようなクルマづくりを目指し、今後も最先端の技術を自動車に取り入れながら次世代のクルマづくりを行うという。
なお、この試作車は6月30日(金)まで「人とくるまのテクノロジー展名古屋 2017」でお披露目されている。

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