マツダの次世代ガソリンエンジンの新技術、「SKYACTIVーX」。そのエンジンを搭載したプロトタイプのグローバル試乗会がヨーロッパで開催された。清水和夫氏による速攻レポートをお届けしよう。(これは9月7日にWebモーターマガジンに掲載した記事を再編集したものです)
画像: 見た目はマッドブラックに塗装された従来型のアクセラ。

見た目はマッドブラックに塗装された従来型のアクセラ。

圧縮着火方式と火花点火のハイブリッド

マツダが2019年頃に市販予定の新エンジン「SKYACTIV-X」は、その記号のように謎めいている。従来の常識を捨てて考えないといけないが、みんな頑張って理解して欲しい。

このエンジンは2Lの直列4気筒だが、過給器で空気をたくさん押し込み、リーンバーンを実現している。過給器はスーパーチャージャーだが、従来のように出力を高めるための過給器ではなく、あくまでもリーンバーンのために使われている。

画像: テスト車は従来型アクセラにSKYACTIV-Xエンジンを搭載。ボンネットを開けても巨大なカバーで、エンジン本体はほとんど見えない。

テスト車は従来型アクセラにSKYACTIV-Xエンジンを搭載。ボンネットを開けても巨大なカバーで、エンジン本体はほとんど見えない。

動作原理は難しい。圧縮された混合ガスの濃い部分をプラグの周辺に集め、薄い部分はドーナツのように、シリンダー周辺に分布させる。ピストンが上死点にきたころにプラグで点火するが、ドーナツ状に広がるリーンバーン領域は、点火された火花の圧力でさらに圧縮され、プラグがなくても、圧縮着火(自己着火)してしまう。

画像: SKYACTIVーXエンジンの単体。手前側の四角い箱が高応答エア供給機(スーパーチャージャー)。

SKYACTIVーXエンジンの単体。手前側の四角い箱が高応答エア供給機(スーパーチャージャー)。

画像: SKYACTIIVーXエンジン=火花点火制御圧縮着火のイメージ図。コンベンショナルな火花点火と圧縮着火のいいとこ取りから生まれた。

SKYACTIIVーXエンジン=火花点火制御圧縮着火のイメージ図。コンベンショナルな火花点火と圧縮着火のいいとこ取りから生まれた。

この部分はディーゼル燃焼に似ているが、プラグ点火を呼び水として、周囲のリーン領域の圧縮を高めるところがユニークなのだ。ゆえにこの仕組みをSCCIS(スパーク・コントロール・コンプレッション・イグニッション)と呼んでいる。ディーゼルの自己着火とガソリンのプラグ点火を併せ持つ、ハイブリッド点火方式なのだ。

圧縮着火の圧力で強くピストンを押し下げるので、2Lでも190psのパワーと230Nmのトルクを発生する。

まずは、実際に走ってみよう。その走りっぷりは、とても2Lの自然吸気とは思えないが、ターボほどの力強さはない。自然吸気とターボの中間くらいのトルク感だ。だが、アウトバーンを150km/hくらいで25kmほど走行し、そのあとは市街地を同じく25kmくらい走行したのだが、燃費は14.3km/Lを達成していた。

ディーゼルとは異なり燃料はガソリンなので、三元触媒が使えるから、排出ガスはとてもクリーンだ。今回の試乗車はATとMTの両方が用意されていたが、意外なことに走りの差はあまり感じられなかった。というより、トルコンATとの相性が良かったと言えるだろう。

「SKYACTIV-X」を簡単にまとめると
1)燃料はガソリン
2)トルクはターボと自然吸気の間くらい
3)燃費はVWの1.4TSI以上
4)走行パターンを変えても燃費の差が少ない(実燃費が良い)
といった点が上げられる。

画像: プラットフォームも、第二世代のSKYATYIV-BODY & CHASSIS が採用されていた。

プラットフォームも、第二世代のSKYATYIV-BODY & CHASSIS が採用されていた。

実は、革新的なのはエンジンだけでない。外側こそ従来型のアクセラだが、いわゆる新プラットフォームを採用していたのだが、これが実に具合がいい。音や振動が静かで、1ランク上のクルマに乗っている感じだった。乗り心地も良く、タイヤと路面の接地感がすばらしい。

すでにシャシ技術として実用化されているGベクタリングは当然のように備わり、もはや左脳で考えなくても、新プラットフォームの走りは直感的に人馬一体を感じることができた。

画像: アウトバーンと市街地を半々で走行して、14.3km/Lという高燃費を達成した。

アウトバーンと市街地を半々で走行して、14.3km/Lという高燃費を達成した。

「SKYACTIV-X」の正式デビューは、2017年の東京モーターショーということになるだろう。これは見逃すことができない。(文:清水和夫/写真:Mazda)

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.