スイスポ初の1.4L直噴ターボエンジンを搭載して走りを追求した新型スイスポの走りはどう進化したのか? 一般道とワインディングでチェックした。

3ナンバーボディだが室内寸法は標準車並み

新たに全幅1735㎜のワイドボディを手に入れた3代目スイフトスポーツだが、トレッドの拡大を目的とした40㎜の拡幅はタイヤハウスやフェンダー周辺に集中しているため、パッケージ面にはまったく影響を与えていない。つまり広さや使い勝手は昨年暮れにデビューした標準型スイフトとほぼ同じだ。

同じBセグメントのハッチバックながら、サイズと居住性に余裕を持たせたバレーノがデビューしたことで、ファミリーカー的な需要はそちらに任せて、スイフトはパーソナルカーとしての性格を強めた。だから先代に対しても全長方向のサイズアップは行わず、ホイールベースを20㎜拡大しただけだ。

画像1: 3ナンバーボディだが室内寸法は標準車並み

一方、全高は先代に対し10㎜低められ、乗員のヒップポイントも前席で20㎜、後席では45㎜も低くなっている。ホイールベースの拡大に伴ってリアの足元空間が10㎜広がっているが、実質的な後席の居住性は新旧スイスポでほぼ同じ。実用的ではあるけれど広々感はさほどない。そんな中でラゲッジルームが55Lも拡大され、265Lとなったのは朗報だ。

一方、フィット感に優れるヘッドレスト一体型のセミバケットシートを採用した前席は、足元空間が広々としている上に、ステアリングのチルト&テレスコや、運転席シートリフターの調整量が大きく、ベストなドライビングポジションが容易に作り出せる。これはスイフトの伝統的な美点だ。

画像2: 3ナンバーボディだが室内寸法は標準車並み
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画像5: 3ナンバーボディだが室内寸法は標準車並み

スイスポ特有の演出としては、赤い差し色がシートやステアリングのステッチ、メーターパネルなどに多用されている。この辺は王道的な手法だが、新型スイスポは加えて、ドアやインパネにも赤から黒へとグラデーションする樹脂製ガーニッシュが添えられけっこう華やかだ。

ダイレクト感あるATで瞬発力は格段に向上

画像1: ダイレクト感あるATで瞬発力は格段に向上

インパネ右端のプッシュボタンでエンジンをスタート。するとメーターパネル中央にブーストと油温表示モードが新たに加わったカラーのマルチインフォディスプレイが現れる。フラットボトム形状のステアリングには、右にクルーズコントロールと車線キープ、左にオーディオやインフォメーション切り替え、ハンズフリー電話などのステアスイッチが並んでいる。これは標準モデルでも感じたことだが、スイフトも3世代でずいぶんと豪華で多機能になった。

最初に走らせたのは6速AT仕様。最初に感じたのはやはりエンジンのトルク感だ。軽いボディに70Nmの上乗せは効果テキメンで、瞬発力が格段に向上した。先代はステップ制御付きとは言えCVTだったので、アクセルに対する反応が良く言えばスムーズ、悪く言うとメリハリに欠けたが、新型は軽い踏み込みに対しても敏感に反応する。

ただ、この6速ATはかなり走りに振った味付けで、敏感にキックダウンを行うし、低いギアをキープしようとする場面も多く少々ビジィに感じた。Dレンジではトルクの余裕を生かして、もっとおおらかに走らせた方が気疲れしない。一方、Mモードでのパドルシフトはレスポンス良好で、パワーフィールのダイレクト感も先代のCVTから明らかに向上していた。

画像2: ダイレクト感あるATで瞬発力は格段に向上

続けて6速MT仕様に乗り替える。ゲート感が明確で確実に操作できるけれど、シフトフィール自体は意外に普通。もう少しカチッとした精度感が出れば理想的だと思う。

ATでも感じたが、エンジンサウンドはターボ化もあって全体にトーンが抑えめ。乾いた抜けの良い音を聞かせた先代がちょっと懐かしい。

画像3: ダイレクト感あるATで瞬発力は格段に向上

先代の1.6L自然吸気は7000rpm付近まで目一杯引っ張って上のギアに繋いでいく必要があったが、新型は大幅に厚みを増した中速域のトルクに任せて加速初期からグイグイと速度を乗せていく。車体が軽い上にトルクが潤沢なので、一段飛びなどのズボラを決め込んでも十分軽快な走りが得られる。

画像4: ダイレクト感あるATで瞬発力は格段に向上

つまりラクで速く走れるようになったわけだが、歴代のスイスポを知っている身としては疑問も少し残る。新型の1.4L直噴ターボはエンジンの保護を考えてか6000rpmできっちりリミッターが作動してしまい、それ以上は全く伸びない。力感は多少薄くても、伸びの良さで勝負していた先代とは全く逆の味わいなのだ。

ただ、140㎰/230Nmというのは、欧州のダウンサイズターボと比べるとまだライトチューンと言ったところ。スイスポが過給エンジンという新しい手法に可能性を見出したのなら、今後はさらなる高性能化を目指して欲しいとも思った。

乗り心地を犠牲にしないサスセッティングは秀逸!

ハンドリングは相変わらずレベルが高い。ステアリング自体はさほどクイックな味付けではないのだが、舵の効きが良い上にロール剛性も高いのでターンインで軽快にノーズが入る。

ワイドトレッド化に加えて、ロール角の低減も行っているためか、コーナリング時の踏ん張り感とスタビリティも確実に向上していた。

画像: 16インチと同等という軽量鍛造17インチアルミに195/45R17サイズのコンチネンタルのコンチスポーツコンタクト5を履く。併せてフロントブレーキも従来型より1インチアップの16インチディスクを採用。キャリパーも大型化して制動性能を高めた。

16インチと同等という軽量鍛造17インチアルミに195/45R17サイズのコンチネンタルのコンチスポーツコンタクト5を履く。併せてフロントブレーキも従来型より1インチアップの16インチディスクを採用。キャリパーも大型化して制動性能を高めた。

しかも嬉しいのは、これだけ運動性能が高くても、乗り心地が犠牲になっていないことだ。速度域を問わずサスペンションが滑らかに動く感じで、角の立たないしなやかな乗り味を実現している。先代ではやや突き上げが大きいと感じていた後席も、スポーツモデルらしい締まり感はあるものの総じて穏やか。プラットフォームの刷新とサスまわりの強化・剛性アップと、微小域から減衰の立ち上がるモンロー製ダンパーの恩恵だろう。

味わいの方向性は少し変わったものの、運動性能や良いもの感で着実な進化を見せた新型スイフトスポーツ。世界に誇れるホットハッチというポジションはしっかりキープしていた。

■文:石川芳雄 ■写真:井上雅行

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