2015年に東京モーターショーの話題をさらった、マツダの次世代ロータリースポーツ「RX-VISION」。当然2017年の東京モーターショーでRX-9として出品されると期待していた。しかし、結果はご存知のとおり。そこで、この次世代ロータリースポーツの開発がどうなっているのか、ホリデーオート誌スクープ班がその核心に迫った。《文:ホリデーオート編集部》

新ロータリースポーツ、マツダRX-9の開発は着々と進行している!

ロータリースポーツとして世界中から一刻も早い登場を期待されているRX-9。残念なことに、東京モーターショー(以下:TMS)2017では出品されなかった。しかし、気を落とすことはない。その開発は着々と進んでいる。

マツダ関係者は「RX-9の発売は既成事実ということが社内の共通認識です。どの開発部署もコンセプトカーじゃない、ロータリースポーツカーの実現に向けてプロジェクトを進めています」と語っている。

その言葉どおり、開発人員も増員してパーツの生産ラインの基本設計も始まっているという。

RX-9のデザインはおおよそ決まってきているようだが、どうもTMS2015に出展されたRX-VISIONとは異なる模様。そこで示した次世代の魂動デザインで、よりコンパクトでロータリースポーツカーとひと目でわかるボンネットの低いデザインということだ。

申請特許から、搭載するロータリーエンジンの左右幅をギリギリまで狭めて、強靭なサブフレームで囲み、サスペンションアームの設計自由度を高めているところをみると、RX-VISIONのような1900mmを超える車幅にはならず、実際には1800〜1810mmあたりになるはずだ。そうすると全長は4350mm前後、全高は1230mmあたりとなるだろう。つまりRX-7(FD3S)をワイドにしたくらいのサイズで収めてくると本誌では予想する。

開発現場では、次世代魂動デザインのスタディモデルとして、RX-VISIONよりひとまわり小さいスポーツクーペモデルの外装パネルを作ったという情報もあり、やはりそのあたりのサイズ感がターゲットではないだろうか。

ちなみに魂動デザインが進化していくにつれて、外装パネルの製作の難易度が上がり、プレス型の設計も年々要求レベルが上がっているとのこと。魂動デザインの流麗なボディラインはプレス金型でクレイモデルどおり表現することが難しいようだ。RX-VISIONの示す次世代魂動デザインでさらにもう一段難易度が上がった。

関係者からは「RX-VISIONを見たときに外装関連の部署内がざわついたようです。このボディラインのディテールや光の映りこませ方をどうやって鋼板で作るんだ…って。それでも、美しいクルマを実現させたいの一心で、みんな毎日必死になって頑張っているようですよ」という声が聞かれた。

マツダRX-9はトランスアクスルを採用して前後重量配分を50:50に

サスペンション形式はこれまでのマツダスポーツカーの流れを踏襲し、フロントがダブルウイッシュボーン、リアがマルチリンクとなる模様。前述のようにサスペンションアームの設計自由度を増し、ジオメトリーの最適化を図っているという。一級品のコーナリング性能を誇ったRX-7やRX-8をも凌ぐ、これこそロータリースポーツカーだ!というほどのコーナリングマシンとなりそうだ。

エンジンについて詳しくは後述するが、環境性能・燃費目標もクリアした上で最高出力400ps、最大トルク450Nmという性能を持つターボ化したSKYACTIV-Rを搭載する。

画像: TMS 2015のRX-VISIONはロングノーズデザインだったが、デザインはほぼ決定している模様で、実際にはもっとフロントは短くなるという。

TMS 2015のRX-VISIONはロングノーズデザインだったが、デザインはほぼ決定している模様で、実際にはもっとフロントは短くなるという。

トランスミッションは、ターボ化によってフロント側の重量増となるため、リアデファレンシャルと一体になるトランスアクスル方式を採用して、エンジンとトランスミッションを分離する。これによりマツダのスポーツカーの哲学というべき、フロントミッドシップ化と前後重量バランス50:50を可能にする。

高効率の新開発8速AT(SKYACTIV-DRIVE)の搭載が予想されるが、クルマを操る喜びや人馬一体感を大切にするマツダである。スポーツカードライブの醍醐味である軽快なシフトフィールのマニュアルトランスミッション「SKYACTIV-MT」も採用してくる可能性も当然あるだろう。

どちらにせよ、400psを超えるハイパワーロータリーエンジンに対応したトランスミッションは新たに作らねばならない。どのようなトランスミッション形式を採用してくるか興味深い。

さらにここでロータリーならではの問題となるのが、搭載予定エンジンSKYACTIV-Rの「高さ」だ。2007年発表の「16X」はロングストロークが特徴的なエンジンで、これをベースしているため縦方向に長い。ロータリーエンジンの出力軸はエンジン中心にあるので、おのずと出力軸の高さが上がってしまう。この高さがドライブトレーンの低重心化のネックとなるのでどのような形ですり合わせてくるか楽しみである。

400㎰超のロータリーターボを搭載。800万円台で2020年発売が濃厚

燃費や加速性能に関わる車両重量は、ターボ化することで補機類などの重量が増し、各部の徹底した軽量化が課題となっている。高強度鋼板を筆頭にさまざまな強度の鋼板を適材適所で適切な厚みで巧みに組み合わせ、スポット溶接位置や数も考慮して、高い次元で安全基準を満たし、軽量で高剛性なモノコックを達成してくるだろう。アルミパーツの使用箇所の拡大や製造方法の見直し、カーボンファイバー素材の活用も考えられる。

画像: ホリデーオート誌でも紹介しているRX-9の予想CG。

ホリデーオート誌でも紹介しているRX-9の予想CG。

そして気になるのは車両価格だ。関係者の証言からシャシやエンジンなど、ほぼすべてに専用品を使用してアルミやカーボン素材の多用する。想定販売台数なども考慮すると800〜850万円となってしまうとのこと。同等性能の他社スポーツカーと比較すれば高くないかもしれないが、マツダ車としては高額になることは必至だ。しかし、現在その価格設定を下げられないか、パーツごとにコストダウンを図っているようだ。

各方面からの情報を統合すると、2018年にも発表・発売開始と言われても驚かないほど開発は進んでいるようだが、2017年のTMSの状況からしても、発表はまだ先になるようだ。ということは、2020年のマツダ創業100周年の目玉として発売される線が濃厚だろう。

RX-7やRX-8の最終モデルである「スピリットR」の“R”は、ROTARYの意味とともに、RETURNという意味もあるという。その名のとおり、ロータリースポーツはわれわれファンの元に必ず戻ってくることを信じて発売まで待とう。

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