日産とNISMOのスポーツモデルユーザーを対象に、サーキットデビューしたい!という声に応えて2017年度から始まったドライビングレッスン。そのメディア体験会にサーキット初心者の蔭山が参加した。

どんな初歩的な質問も本気で答えてくれる

サーキットやジムカーナなどでタイヤを“キキーッ”や“キュルキュル”と鳴らしながら走っているクルマを見たことはないだろうか。はたから見ていると、その効果音(?)からまるで速く走っているように見えてしまうが、実はそんなことはない。「スキール音が鳴る寸前の状態で走るのがもっとも効率的だ」とスーパーGTの元ドライバーのミハエル・クルム氏から直々に教わった。

実は今回ボクは、これからサーキット走行を始めたいという初級者向けのスポーツドライビングレッスンであり、クルム氏が校長を務める“NISMOドライビングアカデミー”に参加してきたのだ。

これは2017年度から始まったもので、マーチNISMOや11月21日に追加されたセレナNISMOなどのNISMOロードカー、フェアレディZ(Z34)やGT-R(R35)という日産のスポーツカーユーザーを対象に開催されている。

その高い走行性能を最大限に引き出してスポーツ走行を愉しみ、さらにクルマの限界性能を知ることで安全運転にもつなげようという、NISMO主催の講習会だ。初年度はすでにスポーツランドSUGO(宮城県)や岡山国際サーキット(岡山県)、オートポリス(大分県)など日本全国のサーキットで5回が開催されている。

しかも講師陣が豪華なことこの上ない。クルム校長を筆頭に松田次生氏や藤井誠暢氏、星野一樹氏などスーパーGTやスーパー耐久で活躍する一線級の現役ドライバーたちが並ぶ。

だからといって気後れすることはない。講師と生徒の距離感が近く、それがたとえクルム校長であっても初歩的な質問を気軽にできるし、初心者でも理解しやすい答えが返ってくるのだ。

まずはクルマの限界を知るところから始まる

レッスンのステージは大きく分けて3つ。ドライビングポジションからフルブレーキ、Jターン、定常円旋回など、クルマの限界を把握して性能を引き出す“ステージ1”。ステージ1での講習を基に、サーキットでのルール説明に始まって同乗走行や先導走行をこなすことで、ライントレースや荷重移動など速く走るためのコツを教わる“ステージ2”。“ステージ3”はさらに高度なレッスンとサーキットフリー走行を含んでいる。

通常であれば愛車での参加となるのだが、今回は特別にノート e-パワーNISMOを借りてのレッスンとなった。ちなみに、ボクが体験したのは、富士スピードウェイのP2駐車場とショートサーキットを会場としたステージ1+2だ。

サーキット初心者のボクにとってはすべてが新鮮だったのだが、その中でも冒頭でのクルム氏の言葉がもっとも印象的だ。“スキール音が鳴っていると、まるで速く走っているような気になってしまう”というのが初心者の間違いやすいポイントなんだとか。確かに、プロドライバーの運転を見ているとタイヤを鳴らしながら走る人はいない。

そこで実際に定常円旋回のレッスンで試してみると、スキール音は鳴っていないものの“ゴリゴリ”という感触がハンドルから伝わってくる。「そのゴリゴリ感はすでにタイヤが滑りはじめているサインです。その手前の、きっちりグリップしている状態を維持することがタイムアップにつながるんです」と松田次生氏もアドバイスしてくれた。

理論はわかる。わかっちゃいるのに、なんでできないの!

話は前後するが、今回ボクが参加したNISMOドライビングアカデミーはメディア向けにアレンジされた内容となっていた。レッスンの最初と最後にジムカーナコースを利用したタイムトライアルが用意され、どれだけタイムアップしたのか測ろう、という試みだ。今回の参加者は21名のうちほとんどがタイムアップし、その平均は2.3秒だった。なかには約8秒改善した人もいるので、その効果はよくわかる。

では自分はどうだったのか、ここで懺悔させて欲しい。

レッスン前の測定で54.54秒、そしてレッスン後は54.72秒。…あれ、0.18秒遅くなっている。プロドライバーのレッスンを聞いて、実践し、わからないことは尋ね、初歩的だが理論は理解した。習った操作もできていたはず。なのにタイムアップしなかった。なぜか。

それは、レッスンの範囲外だった操作、そして自分の腕に見合わない操作を取り入れてしまったからだ。その結果、必要以上に減速してしまいタイムロス。まったくもって不甲斐ない。この結果もあって、もっと知りたい、もっと練習したいと思うようになったわけだが…。

画像: 無念のタイムロス。

無念のタイムロス。

こうしたクルマの限界を公道で体験することはほとんど叶わない。とくにNISMOロードカーのようなハイパフォーマンスモデルならなおさらだ。だからこそ“本当の限界”を知ることで運転がもっと楽しくなるのではないだろうか。

写真:伊藤嘉啓

■NISMOドライビングアカデミー 参加可能車種&グレード

マーチ(K13)NISMO/NISMO S
ノート(E12)NISMO/NISMO S/e-POWER NISMO
ジューク(F15)NISMO/NISMO RS
セレナ(C27)NISMO※ステージ1・2のみ
フェアレディZ(Z34)ロードスターを除く全グレード
GT-R(R35)全グレード
※いずれも違法改造のない、ナンバー付き車両

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