シトロエン独自の乗り心地「マジックカーペットライド」を生んだのが、ハイドロニューマチックというサスペンションだ。その歴史は古く、市販車としては1955発売のDSに採用されている。このサスペンション形式ってどんなものなの? メカにも詳しい自動車ジャーナリスト、片岡英明氏に聞いた。

油圧を使った独創のサスペンション形式

シトロエン独創のテクノロジーの代表が「ハイドロニューマチック」サスペンションだ。その乗り味はファンから「マジックカーペットライド=魔法の絨毯」と呼ばれ、絶賛されている。HYDRO(ハイドロ)は「水」、PNEUMATIQUE(ニューマチック)は「空気」の意味だ。だが、実際には空気のところに窒素ガス、水の部分には専用オイルを用いている。

ハイドロニューマチックでオイルラインと金属スプリングの役目を行っているのは窒素ガスだ。オイルはガスの体積変化と連動し合うショックアブソーバーの役目を果たしている。また、車高調整も行う。この窒素ガスとオイルを満たした球体が、スフィアと呼ばれるものだ。

ハイドロニューマチックは、油圧を巧みに操って上下動を意図的に作り出している。だから独特の上質な乗り心地が得られるし、コーナリングしたときも姿勢変化が極端に少ない。また、車高調整機構を備えているので乗車人数にかかわらず車高は一定だ。また、同じ油圧を用いているので、足の動きに応じたブレーキの動作もたやすい。

だが、同じ油圧ラインを使っているので、どこかに漏れや不具合が生じるとシステム全体に影響が及んだ。これが弱点だったが、XMからデジタル制御を採用した「ハイドラクティブ」に進化。エグザンティアの後期モデルでは「ハイドラクティブⅡ」に発展し、2000年に登場したC5では、サスペンション以外の制御を切り離した「ハイドラクティブⅢ」になる。耐久頼性は大きく向上し、ハンドリングの洗練度を高められた。

ただし、引き締まった乗り味になったので2005年のC6では電子制御スプリングの「ハイドラクティブⅢプラス」に進化させている。20世紀が生んだ傑作サスペンション、それがハイドロニューマチックだ。

画像: ハイドロニューマチックはシトロエン独創の油圧サスペンションで、1955年登場のDSに全面採用された。

ハイドロニューマチックはシトロエン独創の油圧サスペンションで、1955年登場のDSに全面採用された。

画像: 現在はハイドラクティブⅢプラスとしてC5に搭載。日本では販売が終了したが、ヨーロッパでは販売されている。

現在はハイドラクティブⅢプラスとしてC5に搭載。日本では販売が終了したが、ヨーロッパでは販売されている。

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