今回の試乗会のベースキャンプとなったのは伊豆サイクルスポーツセンター(CSC)。そこで待っていたのは、スポーティグレード “F SPORT”や、新開発の3.5リッターV6ツインターボエンジン搭載のLS500だった…。(文:阪本 透/ホリデーオート編集部 写真:レクサス)

新生レクサスが目指すラグジュアリースポーツの究極

500h“F SPORT”の試乗はCSCにほど近い伊豆スカイラインで行った。やや厳めしいフロントバンパー、専用のサスペンションそして乗り心地を悪化させることなく姿勢制御を行う最新のVDIMとLDH、さらに6ポッドの専用ブレーキに前後幅の異なる20インチタイヤまで付いた妥協なきスポーツグレードである。

画像: 大柄なLSには十分なスペースとは言いがたい伊豆スカイラインを走るLS500h“F SPORT。悪条件をものともしないシュアなハンドリングとレスポンスに優れたパワートレーンによって、リズミカルなスポーティドライブを満喫できた。

大柄なLSには十分なスペースとは言いがたい伊豆スカイラインを走るLS500h“F SPORT。悪条件をものともしないシュアなハンドリングとレスポンスに優れたパワートレーンによって、リズミカルなスポーティドライブを満喫できた。

インテリアも存分に“チューニング”されており、先ほどまで乗っていた「エグゼクティブ」とはまた違った世界観が展開されている。LFA譲りのTFT液晶メーター、専用のペダル、そして白眉は滑りにくくホールド高められたウルトラスエードの専用スポーツシート等々。フラッグシップセダンなのかフラッグシップスポーツなのか、座っているとわからなくなってくる。

実際に走り出せば、その良くも悪くも過剰な「おもてなし」にしばし我を忘れてしまう。伊豆スカイラインは決して広い道ではない。コーナーの曲率もキツく、正直、LSのサイズでは持て余すと予想していたのだが…これが予想に反してなかなか愉しい。VDIMとLDHの効果もあるが、やはり基本的なシャシの性能が高いことを認めざるをえない。少なくとも常識の範囲で少々スポーティに走る限りにおいては、操る愉しさが勝り、2tを超えるクルマでワインディングを走っているのだという実感に乏しいほど。とにかくよく曲がり、よく止まる。

画像: ドライブモードセレクトを「Sport S +」に設定。ひときわ高まるエンジンサウンドが心地良い。

ドライブモードセレクトを「Sport S +」に設定。ひときわ高まるエンジンサウンドが心地良い。

ドライブモードセレクトを「Sport S +」に入れると専用のTFT液晶メーターはレーシーな表示に切りかわり、刺激的なエンジンサウンドとともにタコメーターの針が目まぐるしく上がり下がりする。急な登り坂をモノともしない強大なパワーも、従来のハイブリッド車のイメージを覆す。LSにこういう走り方が相応しいのかどうか異論はあろうが、少なくとも旧型のLSでこのような走り方はできなかった。シャシのキャパシティは間違いなく上がっている。数多ある自称“高級車”とはひと味もふた味も違う。あえて改善を求めるならば、前後異サイズの20インチタイヤには、若干のバタツキが感じられた。良好路面ではほとんど感じられないが、荒れた路面ではさすがにバネ下の重さを意識させられることもあった。大径タイヤを履きこなすのは本当に難しいとは思うが、このあたりは今後の熟成に期待したいと思った次第だ。

V8の代替機ではない新しいLSの魅力~3.5リッターV6ツインターボを試す

画像: 新世代の3.5リッターV6ツインターボエンジン。310kW(422ps)という最高出力と600Nm(61.2kgm)という最大トルクを達成しながら、燃費は10・15モードで10.2km/Lを達成。

新世代の3.5リッターV6ツインターボエンジン。310kW(422ps)という最高出力と600Nm(61.2kgm)という最大トルクを達成しながら、燃費は10・15モードで10.2km/Lを達成。

そして注目のV6ツインターボ。こちらはまだナンバーを取得していない(取材時:2017年12月上旬)車両だったので、ツイスティなCSCのロードコースでの試乗に限ったご報告となる。ちなみにこの新開発の3.5リッターV6ツインターボは、世間的には従来の4.6リッターV8の後継機という位置づけになるのだろうが、両者に血統的なつながりはまったくない。先代まで搭載された4.6リッターV8の1UR-FSE型は、元をたどれば1989年に誕生したUZ系が進化したものだが、今回新たに開発された3.5LのV6はV35A-FTSという型式を見ればわかるように、既存のGR系V6エンジンともまったく異なる完全な新設計である。最高出力は310kW(422ps)/6000rpm、最大トルクは600Nm(61.2kgm)/1600〜4800rpm。数字だけを見るならば、レクサスのハイパフォーマンスブランド「F」と見紛うほど。今回のラインアップからV8エンジンがないことが販売現場で物議を醸しているらしいが(とくに北米で)、V8を凌ぐパワースペックや10.2km/ℓ(10・15モード)という好燃費を達成したことは、注目に値する。いまの時代に心情的な拘りを除けば、V8をラインアップする意義はほとんどないといったら言い過ぎか…。

画像: 狭いCSCではそのポテンシャルの全てを発揮することはできなかった。コーナーを立ち上がってアクセルオンすれば、すぐに次のコーナーが迫ってくる。

狭いCSCではそのポテンシャルの全てを発揮することはできなかった。コーナーを立ち上がってアクセルオンすれば、すぐに次のコーナーが迫ってくる。

走り出せば、V8ターボに匹敵する圧倒的な加速性能は狭いCSCにはもはや過剰だ。ターボラグはないに等しい。極めて素性の良いV6エンジンは、長時間のアクセルオンを許してくれないほどだ。アクセルオン〜ブレーキ〜転舵〜アクセルオン…一連の動きがせわしなく続く。心地良く調律されたエンジン・サウンドがもっと踏めと挑発してくる。コーナーを立ち上がれば、すぐに次のコーナーへのアプローチに備えなければならないのだが、レスポンスが抜群に良いので、そこで躊躇することはない。10速ATとの組み合わせも絶妙だ。特殊な環境での試乗なので、これだけでこのユニットを断じることはできないが、素性は相当良さそうである。高速のロングツーリングや市街地での静粛性などはまた別の機会に試してみたいが、パワー&トルク、抜群のレスポンス、さらに高度にチューニングされた心地良いサウンド等々、新世代レクサスが目指すものがまたひとつ見えてきた。

戦後、日本の製造業は欧米に追いつき追い越せで、いつの間にか本家に匹敵、もしくはそれを上回る品質を手に入れてきた。それが軌道に乗り始めた昭和30年代には時の首相が「もはや戦後ではない」と言ったが、ジャーマンスリーの背中を追ってきたレクサスが、追従の時代を経て、高度なオリジナリティを自家薬籠中のものにし始めたのが強く印象に残った。もちろん今後に向けた課題もあるはずだ。たとえば、これからはレクサスのFFラインアップも新世代へと切りかわっていくが、多くをトヨタ・ブランドと共用するにあたって、レクサスならではの独自性をどのように盛り込んでいくのか…日本が誇るプレミアム・ブランドの真価が、いま一度試されようとしている。

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