今では自動車メーカーがコンプリートカーを発売することは珍しくない。しかし、昭和の時代にそんなことは夢のまた夢。にもかかわらず、規制緩和(1997年)のはるか以前に、果敢な挑戦をしたのがマツダだった。アンフィニ・シリーズとして、ハンドリングの向上にとことんこだわった、手作りに近い少量生産の限定車を続々と発売した。今回紹介するのは、その中でもとびっきりレアな「カペラC2アンフィニ」だ。
画像: 外観では専用のラジエータグリル、同じくフローティングタイプの控えめなリアスポイラー、そしてアンフィニではお約束のBBS製ホイールが識別点。ことさら高性能を強調していないところも、マニアの心に響いた。

外観では専用のラジエータグリル、同じくフローティングタイプの控えめなリアスポイラー、そしてアンフィニではお約束のBBS製ホイールが識別点。ことさら高性能を強調していないところも、マニアの心に響いた。

ファミリア、サバンナRX-7に続く第3のアンフィニに選ばれたのはカペラC2だった。ハンドリングにとことんこだわる姿勢は前2車と変わらず、カペラというクルマの車格に合わせて、よりふところの深い大人の走り味を目指した。限定台数は300台(東京地区の販売価格は222万円)。今では知る人ぞ知る、通好みの1台だ。

画像: シート地や内張りのトリムには専用色のものが使われている。

シート地や内張りのトリムには専用色のものが使われている。

インテリアには、RX-7と同じくMOMO製の本革巻きステアリング、本革巻きシフトノブ&ブーツを採用、シートや内張りには専用地を採用した。

画像: フロントはサブフレームをクロスメンバーを追加して補強、リアにはストラットアワーバーとパフォーマンスロッドを追加して、前後の剛性バランスを向上させている。

フロントはサブフレームをクロスメンバーを追加して補強、リアにはストラットアワーバーとパフォーマンスロッドを追加して、前後の剛性バランスを向上させている。

チューニングの手法はアンフィニ・シリーズ共通のもの。低圧ガス式ショックアブソーバの採用、ブッシュの硬度アップ、15㎜ダウンする専用スプリング(リアは非線形)…さらにカペラでは、フロントのサブフレームにクロスメンバーを追加して補強、リアはストラットタワーバー&パフォーマンスロッドの採用によりボディ剛性をトータルでチューニングするなど、高度な改良が施された。さらにエンジンはハイオク化によりベース車比+10ps(150ps)を達成した上でビスカスLSDも装着され、洗練されたハンドリングを実現していた。ちなみに同車に搭載されたハイオク仕様のエンジンは翌年に実施されたカペラのマイナーチェンジで全車に搭載されている。

画像: サバンナRX-7アンフィニで初採用されたMOMO製のステアリングとブーツ一体型シフトノブをカペラC2アンフィニにも採用した。

サバンナRX-7アンフィニで初採用されたMOMO製のステアリングとブーツ一体型シフトノブをカペラC2アンフィニにも採用した。

カペラの2ドアという車種選定が災いしたのか、初回の300台の生産をもって発売は打ち切り。サバンナRX-7アンフィニが、都合8回も生産・進化を遂げていたのとは対照的に、バージョン2が開発されることはなかった。とは言え、その洗練されたハンドリングは当時の欧州車に勝るとも劣らない優れたものであったことは間違いない。マツダ・エンジニアリングの粋を見せつけた、忘れ去られた名車である。

画像: エンジンを高圧縮比するとともに吸排気系を見直すことで、最高出力で+10ps、最大トルクも1.3kgm強化された。

エンジンを高圧縮比するとともに吸排気系を見直すことで、最高出力で+10ps、最大トルクも1.3kgm強化された。

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