2018年2月22日、ミツオカ ヒミコがフルモデルチェンジ。マツダ ロードスターをベースにホイールベースを600mm延長し、クラシックな外観をまとったこのフラグシップモデルに試乗した。

クルマの購入を決める要素として“デザイン”は大きい

光岡自動車のフラッグシップオープンカーHimiko(ヒミコ)が2018年2月22日、ベースモデルをND型ロードスター(4代目)に変更して2代目へとフルモデルチェンジを果たした。NC型ロードスター(3代目)をベースにした初代と同様にフロントをストレッチ、エクステリアを1930年代風のクラシカルデザインにカスタマイズされている。

画像: サスペンション取り付け位置を新設することでホイールベースを延長している。

サスペンション取り付け位置を新設することでホイールベースを延長している。

新型と従来型のコンセプトやシルエット、ボディサイズはほとんど同じ。ただ、細かなデザインを見ていくと違いは多く、新型のフロント周りにエアインレットとエアアウトレットがいくつも配置されている。曲面を複雑に組み合わせたデザインは走行風をためやすく、これを逃がす工夫が図られているのだ。

走り出してみると、スポーティさに定評のあるベースモデルと似た軽快感はたしかにある。しかしヒミコの魅力は最上級のデザイン的個性であり、機敏さや安定性などの走行性能では決してない。

クルマの骨格であるフレームとホイールベースを伸ばしているのだから車重は重く、さらにボディ剛性は低く、動きもゆるやかになるのは当たり前のこと。エンジンもロードスターに搭載されている1.5L直4をそのまま採用し、約100kgの車重増加も相まって決してハイパワーとは言えない。走行中のタイヤから侵入してくるロードノイズだって大きくなってしまう。こうした性能を、ベースモデルをはじめとしたスポーティカーと比較するのはナンセンスだし、そこを理解したうえで乗らなくてはならないだろう。

画像: マツダ ロードスターと同様、決してハイパワーではない。それでも走る楽しみは十分にある。

マツダ ロードスターと同様、決してハイパワーではない。それでも走る楽しみは十分にある。

しかし、こうしたデメリットを補って余りあるデザイン的個性がヒミコにはある。信号のある交差点で停車しようものなら歩行者の注目の的だし、高速道路を行けば並走する観光バスの乗客が手を振ってくれる。開放的なオープンエアーということもあり、こうしたエッセンスが自然と心を穏やかにして、ドライバーを楽しませてくれる。この優越感にも似た快感は、以前に試乗したロールスロイスの4シーターオープンモデルであるドーンと同じ“方向性”かもしれない。なかなか味わえるもではない。

話は変わるが、ホリデーオート誌やモーターマガジン誌で読者向けアンケートを過去に何度も行い、その中で「クルマの購入を決める要素はなんですか(複数回答可)」という質問を毎回してきた。10年・20年前であれば“エンジンパワー”や“スポーツ性”など、クルマの走行性能に関する回答がトップを占めていたが、ここ数年のトップランカーはつねに“デザイン”である。一般的なユーザーの回答であればそれも納得できるが、解答したのはいわゆるクルマ好きだ。

さらに近年、個性のより強いモデルにユーザーの関心が向く傾向を強く感じる。一見奇抜にも見えるデザインのトヨタ シエンタやC-HRなどが販売台数を伸ばしていたり、プリウス用の外装カスタマイズパーツが飛ぶように売れているという話も聞く。ほかの人とは違うクルマに乗りたい、という思考が働いているのかもしれない。

こうした流れを突き詰めると、個性派モデルの急先鋒ともいえるミツオカ ヒミコに行き当たる。シートやドアトリムの張り替え、エクステリアの変更から塗装まで、架装はすべて熟練作業員の手によって行われ、生産可能台数はひと月にたったの3台という少なさだ。量産モデルでは成し得ない“ほかの人が乗っていないクルマに乗りたい”という欲望を叶えてくれる唯一無二の国産車ではないだろうか。

ミツオカ ヒミコ Sレザーパッケージ(試乗車両)の主要諸元

■全長×全幅×全高:4580×1740×1235mm ■ホイールベース:2910mm ■車両重量:1200kg ■エンジン:1.5L 直4DOHC ■トランスミッション:6速AT ■最高出力:96kW(131ps)/7000rpm ■最大トルク:150Nm/4800rpm ■駆動方式:FR

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.