シャシとボディの一部を組み立て段階でラインから抜いて、そこから1台ずつ手作りされたのがモデリスタのカセルタ。 “完売しても儲からない”と言われたものの、設定された150台には届かず、非常にレアな存在となっている。(ホリデーオート2018年5月号巻頭特集「あの限定車は凄かった!」より抜粋)
画像: ボディ外板や灯火類をオリジナルデザインに換装。全長は155㎜長く、145㎜幅広い。オリジナルのMR-Sよりふた回り大きい。

ボディ外板や灯火類をオリジナルデザインに換装。全長は155㎜長く、145㎜幅広い。オリジナルのMR-Sよりふた回り大きい。

2000年の6月20日、モデリスタ(現トヨタモデリスタインターナショナル)の創立3周年を記念して150台限定で発表されたのが「カセルタ」。MR-Sをベースに、外板を一新。内装にもこだわりの仕様を用意した。MR-Sが可憐な少女なら、カセルタはまるで成熟した大人の女性を連想させる色気を漂わせるグラマラスなコンプリートカーだった。

車名の「カセルタ」とは、18世紀に建立されたイタリア南部の王宮に由来する。ゆえに、クラシック・アルファロメを思わせるフロントマスク、フェラーリの官能的なラインを再現したかのようなリア・セクション、そして強い抑揚のあるラインで構成されたサイドビューなど、そこかしこに散りばめられた肉感的な曲面が、かつてのイタリアンスポーツを彷彿とさせた。この魅惑的なデザインを担当したのはMODIという日本のデザイン会社だった。

画像: 抑揚を付けたリアまわりにMR-Sの面影はなし。写真はラグジュアリー仕様。

抑揚を付けたリアまわりにMR-Sの面影はなし。写真はラグジュアリー仕様。

サイズはMR-Sより155㎜長く、145㎜幅広い。堂々たる3ナンバー車だ。ただ、車重は軽快感をスポイルしないようにボディパネルにカーボンファイバーを多用することで、40kg増の1010kgに抑えられた。

画像: タイヤ&ホイールをワンサイズアップ。20㎜ダウンのサスペンションはディーラーop.だった。

タイヤ&ホイールをワンサイズアップ。20㎜ダウンのサスペンションはディーラーop.だった。

足回りは、フロント205、リア215サイズの45偏平16インチタイヤと専用チューンの20㎜ローダウンサス(販売店オプション)の組み合わせで、地を這うスパイダーのイメージを強調している。

販売されたのは、外装だけを変更した標準仕様と、インテリアのカラーコーディネートまで含むラグジュアリー仕様の2種。38万円の価格差はあるが、タンカラーの本革張りシートや本革製ドアトリム&アームレストが付くラグジュアリー仕様は本場イタリアンスポーツに負けないゴージャスな雰囲気を漂わせていた。

画像: 写真はタンカラーの本革シートやドアトリムが採用されたラグジュアリー仕様。

写真はタンカラーの本革シートやドアトリムが採用されたラグジュアリー仕様。

2000年9月から150台限定で全国のネッツ店およびモデリスタで発売されたカセルタ。当時の価格は標準仕様が350万円、ラグジュアリー仕様は388万円。希少価値ビンビンのスタイリッシュなコンプリートスポーツカーがこの価格で販売されたなんて、今ではとても考えられない。ちなみに第2弾としてザガートのデザインを採用したVM180ザガートも限定100台が企画・販売された。こちらはエンジン(吸排気系)もライトチューンされ15psアップの155psに。生産は当時のTRDが担当していた。

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