フォルクスワーゲンのモデルのうち、もっともコンパクトなクルマがup!(アップ!)だ。2012年10月に日本上陸、2017年にはマイナーチェンジを果たしている。あらためてそんなアップ!に乗ってみた。

現在フォルクスワーゲンモデル唯一の5ナンバー車

先日、日本に上陸した新型ポロの全幅が大きくなり、ついに3ナンバーサイズになったから、フォルクスワーゲンのモデルとしては、このアップ!が唯一の5ナンバーのスモールカー・・・ということになった。

画像: 現在フォルクスワーゲンモデル唯一の5ナンバー車

アップ!は2012年に日本上陸。外国メーカー車モデル別新車登録台数ランキングでは登場年に16位、翌2013年には5位、2014年には9位と堅調に推移したものの、ここ数年は、ゴルフやポロだけでなく、パサートやザ・ビートルより販売が下回っている。

昨年2017年4月にマイナーチェンジ。フロントの意匠変更で65mm長くなった新型アップ!だが、それでも全長は3610mmと、軽自動車枠の全長3400mmをわずかに超えるサイズ感であることに変わりはない。

ということで、今回あらためてアップ!に乗り、そのクルマとしてのデキに感心したのでレポートしてみよう。

ポイント1:大人4人がきちんと座れる

全長3610mmながら、2420mmものロングホイールベースで、まずは後席にも無理なく大人が座れるところが良い。ただ「座れる」だけならば、軽ハイト系ワゴンでもっと足もとが広いモデルもあるが、高速走行、それもかなりの長距離を走っても疲れない。じつはアップ!は後席の乗り心地がバツグンなのだ。

ヨーロッパだと、バカンスに行くためA/Bセグメントの小さなクルマに荷物満載/人満載で移動することが多いのだが、それを思わせる走りの良さだった。

画像: 今回、大人3人乗車+カメラ機材満載で高速走行を行ったが、不足感はなくよく走る。また後席での乗り心地が相当良かったのが印象的だった。

今回、大人3人乗車+カメラ機材満載で高速走行を行ったが、不足感はなくよく走る。また後席での乗り心地が相当良かったのが印象的だった。

ポイント2:走りの良さ

直列3気筒1L エンジンは、75ps/95Nmと、スペック的にはそれほど特記すべきものではないのだが、これがじつによく走る! 5速のシングルクラッチトランスミッションは、改善されたとはいえトルコンATやCVTに慣れた人からするとまだクセがあるものの、たとえば自分のタイミングで手動でシフトチェンジを行えば、まさに自分の手足のように自在に走ることができる。

燃費はJC08モードで22.0km/L。今回の試乗のように高速走行がメインだと、実際にこれくらいの数字が出たから驚きだ。だから燃料タンク容量が35Lでも、満タンでかなりの距離を走ることができる。

画像: スペック的には75ps/95Nmのパワー/トルクと数字はたいしたことはないが、しっかりした走り。

スペック的には75ps/95Nmのパワー/トルクと数字はたいしたことはないが、しっかりした走り。

画像: CHY型直3DOHC自然吸気エンジン。JC08モード燃費は22.0km/L。

CHY型直3DOHC自然吸気エンジン。JC08モード燃費は22.0km/L。

ポイント3:カジュアルな内装

華美な装備はないが、長時間座っても疲れないシート、カラーコーディネートが楽しめるダッシュパッドなど、長く使っても飽きないカジュアルな内装は、アップ!の特徴だろう。ナビや車両の走行データ表示だけでなく、スマホ収納の音楽も再生できるアップ!専用スマホアプリ「maps+more」もまた、グッド。高価なナビはいらない、シンプルで良い・・・といういまの時代を反映している感じだ。

画像: シンプルながらカジュアル感が良いアップ!のインテリア。試乗車はインフォテイメントパッケージ(オプション:8万6400円)装着車のため、オートエアコンになる。

シンプルながらカジュアル感が良いアップ!のインテリア。試乗車はインフォテイメントパッケージ(オプション:8万6400円)装着車のため、オートエアコンになる。

ポイント4:充実の安全装備

マイナーチェンジ前でも、すでにシティエマージェンシーブレーキ(低速追突回避ブレーキ)を標準装備していたアップ!だったが、マイナーチェンジでオートライトやレインセンサー、タイヤ空気圧警告灯なども全車に標準設定された。シティエマージェンシーブレーキは、万が一のときに「付いてて良かった」と思うはず。

ポイント5:買いやすい車両の価格

こんなに安全装備が充実しているのに、2ドアのムーブ アップ!は159万9000円から。最上級グレード、4ドアのハイ アップ!でも197万4000円からと、200万円を切る価格。いまや200万を超える車両価格の軽自動車も多いのに、輸入車で、この走り・・・と考えると相当なバーゲンプライスと言えるのではないだろうか?

どんな人にアップ!は向いている?

アップ!の特徴を5つ挙げてみたが、気になる点もある。その最大は、やはりトランスミッションの5速ASGだろう。

マニュアルギアボックスをベースにするシングルクラッチ式ATは、その構造上どうしてもATモードだとシフトチェンジの時に「息継ぎ感」がある。もちろんこれ、MT車だと考えると気になることもないし、自分で変速すれば解決する問題。ようするに「慣れ」でもあるのだが、トルコンAT車やCVT車から乗り換える人にとってみたら、どうしても違和感を覚える・・・という人もいる。

マイナーチェンジで、その違和感は劇的に改善された。この改善度合いはちょっと驚いたほどだ。それでも気になるという声はある。たしかに、街乗り中心でATモードで走る人はそうかもしれない。

では、どんな人にアップ!はオススメできるのか。

それは、「クルマが好きで、走り好き。日常生活も、長距離ドライブもすべて1台でこなしたい」という人だと思う。華美なクルマではなく身の丈にあったモデルがいい。それもクルマの実力や楽しみ方を100%使い切りたい!という感じ。アップ!は、その要望に応えてくれるクルマ。小さいことがメリットに思えるコンパクトカーって、じつはなかなかないものだ。

画像: どんな人にアップ!は向いている?

フォルクスワーゲン アップ! ハイ アップ!(4ドア) 主要諸元

●サイズ=3610×1650×1495mm ●車両重量=950kg ●エンジン=直3DOHC 999cc ●最高出力=75ps/6200rpm ●最大トルク=95Nm/3000-4300rpm ●トランスミッション=5速ASG ●JC08モード燃費=22.0km/L ●乗車定員=4名 ●車両価格=197万4000円

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