最近、日本でも輸入車を中心に、「クリーンディーゼル」搭載車が続々と発売されている。でも考えてみたら10数年前の石原都知事の時代、ディーゼルエンジンって「排ガス」で問題になっていたはず。どうして最近ディーゼルが「クリーン」なのか。片岡英明氏が斬る。
画像: ▲マツダのディーゼル技術、スカイアクティブD。従来比約20%の燃費改善を果たした。マツダ好調の理由は、このスカイアクティブDの技術も大きい。

▲マツダのディーゼル技術、スカイアクティブD。従来比約20%の燃費改善を果たした。マツダ好調の理由は、このスカイアクティブDの技術も大きい。

ディーゼルさんが作ったディーゼルエンジン

19世紀の末にドイツのルドルフ・ディーゼルが発明した内燃機関がディーゼルエンジンだ。特徴のひとつは、燃料を圧縮着火させる方式を採用していることだ。ガソリンエンジンより圧縮比を高く設定しやすいから、膨張比は高まって燃焼効率はよくなる。だから燃費もいい。

ディーゼルエンジンは圧縮された空気が高温になり、圧力も高くなるので発火のためには燃料噴射装置が必要になる。エンジンの回転数をコントロールするのは燃料の噴射量だ。スロットルバルブを必要としないので吸入抵抗が少なく、ポンピングロスも少ないから低負荷の運転領域では燃費もよくなる。

これは地球温暖化の元凶とされるCO2(二酸化炭素)の排出量が少ないということだ。ヨーロッパを中心に、ディーゼルエンジンが持てはやされているのは、これが理由である。また、発火点を確保できれば低精製の安価な燃料を使うことが可能だ。軽油や重油を燃料にしているから維持費も安く済む。

噴射ポンプを使っての自然着火のため、同じ排気量だと絶対的なトルクは小さい。が、ターボなどの過給機を使えば力強い加速を引き出すことが可能だ。この過給機と相性がいいのも大きな魅力といえるだろう。

問題はやはりコスト

熱効率はいいが、弱点も少なくない。高圧縮比に耐えられるようにエンジンブロックなどを頑丈に設計する必要があるし、高価な高圧の燃料噴射ポンプも必要だ。エンジン重量がかさむから損失が多くなり、振動や騒音面でも不利になる。CO2の排出量は少ない。が、NOx(窒素酸化物)やPM(有害微粒子状物質)などはガソリンエンジンより多く排出する。

21世紀に入り、世界中のエンジニアは環境対策に奔走し、排ガス対策のために知恵を絞るようになった。高回転を実現するために、乗用車用ディーゼルにも採用したのが燃料を直接シリンダーの中に噴射する直噴方式だ。また、シリンダーヘッドなどに軽量なアルミ合金を使うエンジンが増えている。

燃料に驚異的に高い圧力をかけておき、高圧タイプの気筒別のインジェクターをひとつの管で共有するコモンレール式直噴システムも増えてきた。これは完全燃焼に近づけるアイデアで、PMなどの発生を抑えられる。そのために驚くほど緻密な電子制御も行っている。さらに排ガス規制が厳しくなってくるとコストアップは避けられないが、今後も進化は続くだろう。

画像: ▲ヨーロッパのメーカーを中心としてディーゼルモデルはここ数年、多く日本に登場している。従来はSUVなど大型モデルが多かったが、最近はMINIなどコンパクトカーもディーゼルエンジンを搭載してきている。

▲ヨーロッパのメーカーを中心としてディーゼルモデルはここ数年、多く日本に登場している。従来はSUVなど大型モデルが多かったが、最近はMINIなどコンパクトカーもディーゼルエンジンを搭載してきている。

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