プリウスの登場から1年以上が経過してしまったが、ついに待望のPHVモデルが発売となった。さっそく公道試乗会でドライブした印象を、モータージャーナリストの瀬在仁志氏がレポートする。(文:瀬在仁志/写真:井上雅行)
画像1: 【試乗】新型プリウスPHV〜2モーターで力強く、EV走行距離もグーンと伸びた!

現行型の4代目プリウスはトヨタの新世代プラットフォームのTNGAを採用して見違えるほど走りが良くなった一方、あまりにも先進的すぎる(!?)外観に個人的には、ちょっと引き気味だった。そんな中、昨年発表されたプリウスPHVは、スッキリとした顔立ちや前後のバランスなどがとれていて好感がもてた。

画像1: プリウスPHV

プリウスPHV

画像1: プリウス

プリウス

画像2: プリウスPHV

プリウスPHV

画像2: プリウス

プリウス

しかも、そのデザインの一部を形成しているリアゲートにカーボン素材を採用して軽量化を追求したり、ダブルバブルウインドゥと呼ぶ波打つリアゲートガラスを組み合わせ空力にこだわるなど、機能も大幅にアップ。

画像: バックドアの骨格にカーボン素材を採用。アルミ製のものより約40%の軽量化を実現。

バックドアの骨格にカーボン素材を採用。アルミ製のものより約40%の軽量化を実現。

画像: 空気を巧みに流す2つの膨らみを持った形状としたダブルバブルウインドゥ。

空気を巧みに流す2つの膨らみを持った形状としたダブルバブルウインドゥ。

室内に目を向けてみれば、11.6インチもある大型化されたセンターディスプレイを持つT-Connect SD ナビゲーションシステムを採用するなど(Sグレードを除く)、使い勝手や見ためがグッと洗練された印象で、まさに次世代クルマへのこだわりが商品力としてしっかりと反映されていた。これならハイブリッド車に興味のない僕のようなおじさん世代でもすんなりと受け入れられるはず。

画像2: 【試乗】新型プリウスPHV〜2モーターで力強く、EV走行距離もグーンと伸びた!
画像: 11.6インチ T-Connect SD ナビゲーションシステム

11.6インチ T-Connect SD ナビゲーションシステム

リアシートはセパレート化された大型シートで、センターにはドリンクホルダーを持つ大型のコンソールを備えて左右独立しているので、後席でゆったりとふんぞり返るのも悪くない。PHVは4人乗りと割り切り、プリウスの上級モデルとしての意味も込められている。

画像3: 【試乗】新型プリウスPHV〜2モーターで力強く、EV走行距離もグーンと伸びた!
画像: リアシートは左右セパレートタイプで4人乗車のみとなる。

リアシートは左右セパレートタイプで4人乗車のみとなる。

性能の良さこそが割り切ったキャラを生み出しているのは確かで、モーターで走れる距離が従来型PHVの2倍を超える68.2km(17インチ装着車は55.2km)を実現。EV最高速度も条件が揃えば時速135kmまで達し、もはや電気自動車にそこまで手が届いている。その理由はもちろん大容量のリチウムイオンバッテリーに加えて、発電用モーターも駆動用に採用したデュアルモーター化によるもので、あらゆるシーンでその効果が体感できる。

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特に加速時のパワフルさは従来の環境車のイメージとは世代が変わった印象で、パワーモードの加速感はスムースながらも強力。エンジンがかかっていない状況でも坂道を一気に駆け降りるような勢いと伸びがある。

街中を走っている状況であればそんな加速感を味わっていてもエンジンが掛るシーンが少なく、大容量バッテリーとデュアルモーターのポテンシャルの高さを実感。高速を走行していると必要に応じてエンジンが始動しているのが確認できるものの、その時の振動が少ないのもいい。

画像: JC08モードのハイブリッド燃費は、15インチ装着車が37.2km/L、17インチ装着車が30.8km/L。

JC08モードのハイブリッド燃費は、15インチ装着車が37.2km/L、17インチ装着車が30.8km/L。

右足の力加減によってモーターのパワーがスムースに引き出されることに加えて、エンジンがかかった時の回転数なども絶妙にコントロールされている様子で、ほしい力がエンジンと2つのモーターの三位一体で味わえる。モーターとエンジンの組み合わせだけでは括れない味付けが次世代のハイブリッド車として魅力を与えてくれていると言っていい。

重量が120kg近く増していることで乗り味は重厚感があり、支えるタイヤも力強さがあって手応えも重め。グイッとフロントが入っていく感じは従来の環境車とは一線を画している。

もっとも乗り味としては17インチタイヤではややゴツゴツと言った印象だし、15インチタイヤではポンポンと反発しているような点が気になった。4代目プリウスのすっきりと動く足元に対し、PHVはしっかり感のある骨太な味わいだ。

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そんな中でもクルマ全体としての静粛性へのこだわりや、たっぷりとフィット感を持つシートなど決してヤンチャになっていないのは魅力。バランスのとれた外観同様、パワーコントロールユニットの進化によって乗り味と環境性能を高次元で両立。コンセントから充電するだけにとどまらず、ソーラーパネルで電気を集めるなど知恵と技術へのこだわりも多く、PHVの持ち味は存分に味わえる。

画像: 大型ソーラーパネルを車両のルーフに搭載(Sナビパッケージ、Sにオプション設定)。1日6.1km走れる最大充電量を持つ。

大型ソーラーパネルを車両のルーフに搭載(Sナビパッケージ、Sにオプション設定)。1日6.1km走れる最大充電量を持つ。

使い方も含めて、HVの次の環境モデルの候補としてこれならイチ押しできる。EVやライバルメーカーの台頭など環境車の競争も激化しているけど、やっぱりHVの先駆者としてプリウスPHVのポテンシャルの高さは伊達じゃなかった。

画像: プリウスPHV Sナビパッケージ

プリウスPHV Sナビパッケージ

試乗車両主要諸元 プリウスPHV A(17インチ装着車)

全長×全幅×全高:4645×1760×1470mm
ホイールベース:2700mm
重量:1530(1570)kg
エンジン:直4DOHC・1797cc
エンジン最高出力:72kW<98ps>/5200rpm 
エンジン最大トルク:142Nm<14.5kgm>/3600rpm
モーター最高出力(1MN/1SM):53kW<72ps>/23kW<31ps> 
モーター最大トルク(1MN/1SM):163Nm<16.6kgm>/40Nm<4.1kgm>
バッテリー:リチウムイオン電池
バッテリー総電圧:351.5V
バッテリー総電力量:8.8kWh
トランスミッション:電気式無段変速機
駆動方式:FF
JC08モードハイブリッド燃費:37.2(30.8)km/L
タイヤサイズ:195/65R15(215/45R17)
価格:380万7000円(404万5680円・オプション含む)

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