Motor Magazine誌ではLongterm Reportと題して、テスト車をある程度の期間にわたって実際に乗って使用してみたレポートを紹介しています。今回が最終回、第25回目となります。2年間あまりで3万6000kmほど走行したフォルクスワーゲン ハイアップ!をねちっこくまとめた記事のレポート、ありがとうございました。[出典:Motor Magazine 2016年12月号]

最終回/第25回 25カ月目 3万7703km
今月の走行距離:1252km
燃費:1279km÷77.7L=16.5km/L
2016年9月24日〜2016年10月23日

期待を裏切らないタフさに感じる真価。

画像: 上は新型タイヤ取材のテスト用装着車として駆り出されたときのもの。ドライバーは、テスターのこもだきよし氏だ。まるで路面に吸い付いて走っているかの如く安定した姿勢でコーナーを抜けていく。コンパクトカーで、これだけ優れたクオリティのハンドリングを備えているのだから、運転好きな人間にとって、フォルクスワーゲン アップ!は実に魅力的な存在である。ただしそこが、逆の意味ではひとつの課題ともいえるのだろう。いわゆるラクチンなドライブを求めるユーザーには、ちょっとハードルがあるのも事実だと思う。さて、別れはいつも名残り惜しいものだが、今回はとても気に入っていただけに寂しさひとしおであった。

上は新型タイヤ取材のテスト用装着車として駆り出されたときのもの。ドライバーは、テスターのこもだきよし氏だ。まるで路面に吸い付いて走っているかの如く安定した姿勢でコーナーを抜けていく。コンパクトカーで、これだけ優れたクオリティのハンドリングを備えているのだから、運転好きな人間にとって、フォルクスワーゲン アップ!は実に魅力的な存在である。ただしそこが、逆の意味ではひとつの課題ともいえるのだろう。いわゆるラクチンなドライブを求めるユーザーには、ちょっとハードルがあるのも事実だと思う。さて、別れはいつも名残り惜しいものだが、今回はとても気に入っていただけに寂しさひとしおであった。

フロント部をギュッと沈めた姿勢で、安定したコーナリングポーズを見せるMMアップ!号。これはしばらく前に、別企画の取材時に撮影されたもので、街中を走っている時の雰囲気とはひと味違う、とても精悍な姿が捉えられている。この写真を見た時からずっと、いつかここの企画で使おうと考えてキープしていたお気に入りの姿である。ただ、その機会がなかなか巡ってこず、実際はお蔵入りに近い状態になっていた。今回、ようやく陽の目を見たわけで、担当者としてはまさに念願が叶った気分だ。さてMMアップ!号の長期テストレポートも、今回が最終回である。乗る度に付けている車載の運行ノートを見てみるとクルマが導入されたのは2014年10月15日。Motor Magazineの誌面としては、2014年12月号からレポートを開始している。2年間、25回にわたってアップ!の印象を綴ってきたわけだ。MM編集部の頼もしい足として活躍してくれた走行距離は3万5376kmで、これをひと月あたりの平均走行距離として計算してみると1474kmとなる。

コンパクトモデルながらしっかりと愛用された。

画像: 後席からだとヘッドレスト一体型フロントシートは前方の視界をやや遮る印象。ハイアップ!のポップで軽快な雰囲気のインテリアデザインは、担当者の好みにぴったりであった。長期テストのスタート当初は、赤いクルマに乗ることがちょっと気後れしたが、しばらくすると慣れて逆に嬉しく感じられるようにもなった。

後席からだとヘッドレスト一体型フロントシートは前方の視界をやや遮る印象。ハイアップ!のポップで軽快な雰囲気のインテリアデザインは、担当者の好みにぴったりであった。長期テストのスタート当初は、赤いクルマに乗ることがちょっと気後れしたが、しばらくすると慣れて逆に嬉しく感じられるようにもなった。

ちなみに先代の長期テスト車、フォルクスワーゲン パサートオールトラックのレポート回数は26回で、そちらの総走行距離は4万1500kmほどだった。ひと月あたりの走行距離にならすと1600kmとなる。先々代の長期テスト車、フォルクスワーゲン ゴルフ(Ⅵ)ヴァリアントTSIコンフォートラインはさらにテスト期間が長くて、レポートは30回(2年半ほど)を数えて、総走行距離も6万2367kmという結果である。こちらのひと月あたり走行距離は2079kmとなり、あらゆる用途に重宝されていたことがわかる。それらとアップ!のデータを比較してみると、アップ!がコンパクトモデルながら相当に愛用されていたこともわかっていただけるかと思う。

画像: 最高出力55kW(75ps)を6200rpmで発生する1L直3DOHCエンジンのCHY型。アクセルペダルを深く踏み込めば、躊躇なく爽快に高回転まで吹き上がってくれ、5速AMTを駆使して走らせることを楽しめる。

最高出力55kW(75ps)を6200rpmで発生する1L直3DOHCエンジンのCHY型。アクセルペダルを深く踏み込めば、躊躇なく爽快に高回転まで吹き上がってくれ、5速AMTを駆使して走らせることを楽しめる。

アップ!は、排気量999ccの自然吸気3気筒エンジンとシングルクラッチ式5速AMTの組み合わせなので、パワートレーンとしては確かに個性が強い。ただ、3気筒エンジン独特の振動はコールドスタート時ぐらいしか気にならないし、パワーはそれなりながら高回転まで気持ち良く回ってくれるので、不満は覚えなかった。5速AMTは最新モデルになるほど改良が進んでおり、快適性が増していることは十分に承知している。とはいえ、シフトアップ/ダウンの際には、やはりクラッチがつながるまで一瞬の“間”はある。担当者は、MMアップ!号を運転する際、その“間”をいかに生じさせないで気持ち良く走らせることができるか、ということを常にテーマとしていた。そのため、走らせることがいつも面白く、退屈しなかった。

タフで気持ちいいアップ!のハンドリング。

画像: スズキアルトの試乗取材に同行した際のスナップ。コンパクトカーだとはいえ、あらゆる部分のサイズで軽自動車よりもたっぷりとして余裕のあることがわかる。アップ!とアルト、両車にはなかなか共通しているように感じる部分もあって、同時に乗り比べてみるととても興味深く感じられることがあった。

スズキアルトの試乗取材に同行した際のスナップ。コンパクトカーだとはいえ、あらゆる部分のサイズで軽自動車よりもたっぷりとして余裕のあることがわかる。アップ!とアルト、両車にはなかなか共通しているように感じる部分もあって、同時に乗り比べてみるととても興味深く感じられることがあった。

素晴らしいセッティングの足まわりによる、タフで気持ちいいハンドリングと乗り心地。そして、疲れにくくてシートヒーターも備えて快適なフロントシートは、いつも走る度に感心させられる点であった。さて長々とお付き合いいただき、どうもありがとうございました。また過去の長期テストレポートなどもアップロードしてみたいと考えています。その節は、どうぞよろしくお願いいたします!

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