720Sの登場で第二世代に突入したマクラーレンのスーパーシリーズ。“パフォーマンス”の向上はもちろんのこと、“快適性”と“扱いやすさ”もさらに向上している。(後編)前編を見逃した方はこちらから→http://web.motormagazine.co.jp/_ct/17095295

マクラーレン720Sはリアのスライド量を可変制御できるシステムを搭載する

フロントで10%、リアで20%ほどバネレートを高めたサスペンションは、なるほど650Sより、やや硬めな印象をもたらすが、前述した改良型ダンパー制御のおかげで不快な印象はいっさいない。むしろ、4本のダンパーを連携して作動させるマクラーレン独自の「プロアクティブ シャシコントロール(PCC/720Sはその進化版でPCC IIと呼ばれる)」の恩恵でボディがフラットに保たれ、実に疲れにくい。それでいながら、スプリングレートが高くなったため、路面からのインフォメーションが、よりストレートに伝わり、タイヤのグリップ状態が克明に把握できるようになったのだ。

画像: マクラーレン720Sはリアのスライド量を可変制御できるシステムを搭載する

その恩恵をフルに享受できるのがサーキット走行である。今回はローマ郊外のヴァレルンガでテストする機会があったが、初めてのコースだったにもかかわらず、2周目にはもうリアタイヤが滑り出すタイミングが掴めるようになった。

その様子を助手席で眺めていたインストラクターが、冒頭で述べたVDCを立ち上げてくれた。そして、すぐにその意味が理解できた。これはクルマを勝手にドリフトさせるギミックではなく、スタビリティコントロール(SC)が許容するリアのスライド量を可変制御できるシステムであることが理解できた。

最近は一定の範囲までオーバーステアを許すSCもあるが、その場合でもある程度はシステムが介入している。しかし、マクラーレンのVDCは設定値に到達するまで完全に制御が切れているようだ。それだけにマシンコントロールはよりシビアになり、ドライビングスキルの向上に役立つシステムといえる。

エンジンや足まわりはドライバーとの一体感がさらに強まり、限界域のコーナリングテクニックを磨く電子デバイスまで用意した720S。実はミッドシップながら斜め後方が視認できるなど、改良点は数多くあるのだが、紙幅が尽きた。最後に一点だけ申し上げておきたいのは、720Sもマクラーレンの伝統に従い、あくまでもピュアなドライビングの喜びを追求するために生まれたマシンである、ということだ。

マクラーレン720S 主要諸元(EU準拠)

●サイズ:全長4543×全幅1930×全高1196mm ●ホイールベース:2670mm ●車両重量:1419kg ●エンジン:V型8気筒 DOHC ツインターボ・3994cc ●最高出力:537kW(720ps)/7500rpm ●最大トルク:770Nm/5500rpm ●駆動方式:MR ●トランスミッション:7速DCT

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