この半年あまりの間に日本へ上陸した輸入車のニューモデルをピックアップした試乗記の短期集中連載をお届け中。第6回目は2017年10月に日本で発表されたボルボの「XC60」、日本カー・オブ・ザ・イヤーとワールドカー・オブ・ザ・イヤーで栄冠を得たモデルだ(この記事はMotor Magazine Mook「輸入車年鑑2018」に掲載したものの抜粋です)。
画像: ボルボXC60はミドルサイズSUVマーケットの風雲児といえる存在だ。

ボルボXC60はミドルサイズSUVマーケットの風雲児といえる存在だ。

SPAの熟成がさらに進んだ

世界各国で満遍なく高い人気を得ているミッドサイズSUVだが、2008年に登場した初代XC60は世界累計販売台数約100万台と、ボルボのグローバル販売数の30%を占める超ヒット作となっている。

そんな重要なポジションを引き継いで2017年に登場した2代目XC60は従来より全長45mm、ホイールベース90mmの拡大となったが、その分はロングノーズ/ショートオーバーハングの伸びやかなフォルムと、後席膝まわりなどに振り向けられ、どのシートに座っても快適な空間が確保された。

画像: SUVモデルらしく全車の駆動方式に4WDシステムを搭載する。

SUVモデルらしく全車の駆動方式に4WDシステムを搭載する。

また全幅は+10mmの1900mmとわずかな拡幅に留めている一方で、全高は腰高感と空気抵抗の低減を狙ってマイナス45mmと大幅ダウンの1660mmまで低められている。こうした全長/全高の変更もあり、スタイリングの方向性は大きく変わった。

初代の前傾姿勢でスポーツ性と迫力ある姿から新型は水平基調を強め、併せてロングノーズ/ショートオーバーハングとすることで伸びやかなフォルムを創出することに成功した。

画像: ドライバーディスプレイは12.3インチ、センターディスプレイは9インチを採用している。

ドライバーディスプレイは12.3インチ、センターディスプレイは9インチを採用している。

この新しいボルボデザインはSPA(スケーラブル プロダクトアーキテクチャー)という新開発の大型プラットフォームを最初に採用したXC90以来、90シリーズに連綿と受け継がれ、同じプラットフォームを初採用するXC60も同様のデザイン言語で作られた。

そうした中でも後半をキックアップしたサイドウインドウグラフィックや、前傾を強めているリアウインドウなどにより、ミッドサイズSUVに相応しい軽快さや精悍さも表現している。これは最大のチャームポイントになっている。

画像: パワートレーンは、ディーゼル/ガソリン/プラグインハイブリッドを揃える。

パワートレーンは、ディーゼル/ガソリン/プラグインハイブリッドを揃える。

またインテリアも、タッチスクリーンを用いた「センサス」に操作系を集中させることでスイッチ類を大幅に整理し、北欧調のシンプルかつクリーンな空間にまとめ上げるなど、出自がスウェーデンであることを堂々と主張した、とても個性的なSUVに仕上がった。

もちろん、迫力や力強さを好む人もいるが、似たようなモデルが多い中で、XC60の鮮やかな個性は今後も長く注目を集めると思っている。

画像: ラゲッジルーム容量は標準時505L。分割可倒式の後席を倒すことで1432Lにまで拡大できる。

ラゲッジルーム容量は標準時505L。分割可倒式の後席を倒すことで1432Lにまで拡大できる。

試乗したT5はSPAの軽さの恩恵もあって、軽快な動力性能を持つことが改めて確認できた。90シリーズを完結させる中でSPAの熟成度も確実に高まったようで、良質な乗り心地とフットワークがとくに印象に残った。(文:石川芳雄)

主要諸元 <ボルボXC60 T5 AWD インスクリプション>

全長×全幅×全高=4690×1900×1660mm ホイールベース=2865mm 車両重量=1830kg エンジン= 直4DOHCターボ 1968cc 最高出力=187kW(254ps)/5500rpm 最大トルク=350Nm(35.7kgm)/1500-4800rpm トランスミッション=8速AT 駆動方式=4WD JC08モード燃費=12.6km/L タイヤサイズ=235/55R19 車両価格=6,790,000円

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