日野自動車が7月17日、同社の羽村工場で来夏に新たなハイブリッドシステムを搭載した大型トラックを発売すると発表するともに、その実車を報道陣にお披露目したので、その模様をお伝えしよう。
画像: 日野自動車 羽村工場のテストコースを走る「日野プロフィア ハイブリッド」。

日野自動車 羽村工場のテストコースを走る「日野プロフィア ハイブリッド」。

勾配情報を読み、AIが制御のシナリオを描く

日野自動車が新たに開発したのは「日野プロフィア ハイブリッド」で、来年の夏に発売が予定されている。大型トラックは高速道路での定速走行が中心で、発進、停止の頻度が少ないことから、これまではハイブリッドは不向きと言われていた。しかし、日野自動車は高速道路の勾配に着目し、新たなハイブリッドシステムを開発した。

具体的には大型トラックは質量が大きく下り坂での減速エネルギーが非常に大きいので、それを活かす制御を行うハイブリッドシステムということになる。小型トラックに使われている従来のハイブリッドでは回収した減速エネルギーは発進、加速時に使われるが、この新しい大型トラック用ハイブリッドは下り坂などでの減速エネルギーをモーターによる定常走行時に使う。バッテリーが満充電であれば最大14km、モーターだけによる定常走行が行えるという。このときエンジンはアイドリング状態で、駆動系とは切り離されている。

画像: 大型トラックの走行パターンに応じた新しいハイブリッド制御。

大型トラックの走行パターンに応じた新しいハイブリッド制御。

またロケーターECUによって進行方向100km先までの標高情報を読み、AIによってバッテリー使用の概略シナリオを作成する。さらに10kmごとの勾配情報でより細かいトルク配分シナリオを描くそうだ。ただし、これは実際の道路の勾配ではなく、あくまでもクルマの真正面100kmまでの標高情報なので、たまたま真正面100km以内に富士山があればその標高情報を読むことになる。

実際に走行するルートの細かい勾配情報ではなく、あくまでも進行方向の勾配概容ということになるが、それでも十分に燃費向上に役立つ情報が得られるようだ。日野自動車による社内テストでは、羽村から焼津(一般道90km/高速270km)の往復360kmで14Lの軽油節減効果、15%の燃費向上があったそうだ。

画像: 11kWhのリチウムイオンバッテリーをリアオーバーハングに搭載。

11kWhのリチウムイオンバッテリーをリアオーバーハングに搭載。

さて、この新技術を搭載した「日野プロフィア ハイブリッド」は、2019年夏に日本国内のみで発売される。また、車両価格については未発表だが、大型トラックの場合、乗用車とは異なり、燃費削減効果が車両価格の上昇分を上回らない限り売れないので、自ずとその金額は見えてくる。また、トータルでの経費削減効果がはっきりすれば、今後、国内での日野自動車の大型トラックは基本的にすべてハイブリッドになることが予想される。

This article is a sponsored article by
''.