モーターマガジン社の資料室の中で未整理のまま残されていた封筒。その中に入っていたのは、見慣れないNSXが走行する姿を写したポジフィルムだった。表書きには「92年10月号 無限NSXプロト試乗会 8/6(ヤタベ)」とある。
画像: アルミ製のシャシコンポーネンツはそのまま、ボンネット、トランクフードなどをカーボンコンポジットに置き換えた。

アルミ製のシャシコンポーネンツはそのまま、ボンネット、トランクフードなどをカーボンコンポジットに置き換えた。

フィルムをじっくりと見ていくとカーボンの地肌をさらしたNSXがかなり本気で走っている様子が収められている。さらに各部分の写真はもちろん、アルミとカーボンコンジットで構成されたボディ単体の写真など目を引くものだ。

当該号のモーターマガジン誌をみると、カラー4ページに渡って解説と試乗記が掲載されていた。当時モーターマガジン誌の編集長をしていたE氏に確認を取るが「記憶にないなあ」ということで、それほど注目されなかったのか、あるいはF1用に自社製V10エンジンを開発する無限ならばそのくらいは当たり前…と思われていたのだろうか?

画像: ヤタベを本気で攻める無限NSXプロト。この時のモーターマガジン誌で試乗したのは日下部保雄氏。

ヤタベを本気で攻める無限NSXプロト。この時のモーターマガジン誌で試乗したのは日下部保雄氏。

記事を読み込んでいくと、エンジンはオリジナルの3Lユニットのバルブタイミングの変更や排気系のチューニングで320ps以上を発生。当時のF1のレギュレーションと同じ3.5Lユニットの搭載計画もあったという。先にも触れたボディは、アルミ製のシャシコンポーネンツは同じだが、ボンネット、トランクフード、前後フェンダーなどアウターパネルの大部分をカーボンコンポジットに変更することで70kgの軽量化を果たしたとしている。

画像: エンジンはオリジナルをベースにバルブタイミングを高回転型に変更。排気系のチューニングも行い320ps以上となった。

エンジンはオリジナルをベースにバルブタイミングを高回転型に変更。排気系のチューニングも行い320ps以上となった。

ひとつ、当時の記事を読んで気になるのは、すでに発売が確定のように記述されているのにもかかわらず、その後、無限NSXの情報がぱったりと途絶えてしまうことだ。当時を知りそうな人物にも当たってみるが、どうも真相が見えてこない。92年に発売されたNSXタイプRに関係するのか? それとも他に何かの要因があるのか? そして、26年前には確かに存在した無限NSXタイプRが今どのような状況にあるのか?

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