「来年発売される次期ジュークを見れば、次のRVRがどんなクルマになるかわかるはず」と情報提供者は明かす。だが、それは三菱のDNAが消滅すること意味するのではない。果たしてその根拠となる理由は何か? アライアンスの下に実質的な新世代・三菱車の第一弾となる次期RVRの全貌に迫る!(ホリデーオート2018年10月号<9月10日発売号>より抜粋/再構成)
画像: ルノー日産との協業で生み出される三菱車の第一弾が次期RVR。

ルノー日産との協業で生み出される三菱車の第一弾が次期RVR。

アライアンスの本質とはメリットを共有すること

去る6月22日に開催された三菱自動車の第49回定時株主総会。特に荒れたわけではなかったようだが、株主からはルノー日産・三菱のアライアンスの将来、具体的には三菱自動車がルノーや日産の子会社になってしまうのではないかという質問が出たという。会長のカルロス・ゴーン氏は明確に否定。買収とアライアンスの違いを滔々と語った。

「アライアンスは強制ではなく、お互いの利益になることだけを決定する。三菱自動車のDNAは今までとなんら変わることなく、協業することでメリットを得られると互いに判断した場合に協力するということになる…」

この総会では将来の商品計画について具体的な言及はなかったという。ただゴーン会長の言葉を信じるならば、一部でウワサされるような〝三菱のクルマは近い将来に日産車のリバッジ(エンブレムだけ付け替えた実質的なOEM車)だらけになってしまうのではないか〟という心配は杞憂であることが改めて確認できたことになる。

もっとも、「協業するメリット…」という点には注目しておきたい。それは、自動車メーカーにとってアタマの痛い「開発費」の問題だ。いわゆるCASE(コネクティビティ=接続性、オートノマス=自動運転、シェアード=共有、エレクトリック=電動化)への対応で増大する開発費は、各自動車メーカーの頭痛のタネである。これをアライアンス間でシェアすることで圧縮することができれば、経営にゆとりが生まれ自社ブランドの個性を際立たせることができる。

では、ルノー日産と三菱自動車において、アライアンスの最初の成果となるのは何か? ある情報筋が明かした

「まずは東南アジアでの販売網ですね。と言っても、かの地では三菱が圧倒的に強い。客観的に見れば、日産がそこに相乗りするような形になると思います。ダットサン・ブランド車や三菱のエクスパンダ―をベースに日産が独自のデザインを与えた仕様を日産ブランドで販売するようですよ」

画像: アライアンスの本質とはメリットを共有すること

プラットフォームは日産。その味付けは三菱DNA

東南アジアのことはともかく、三菱ファンが知りたいのは、両社のアライアンスによって、最初に誕生するクルマがなにかということ。情報筋は続ける。

「三菱は2016年に中期経営計画で今後5年間に市場投入するクルマを明らかにしています。ただ、これは例の燃費不正事件とルノー日産との提携で、大幅な見直しが入りました」

 具体的に言えば、すでに開発がほとんど終了していたエクリプスクロスを除き、すべて見直されたという。

「乱暴な言い方になりますが、アライアンス間での役割の確認と共用できるもののリストアップが行われたんです。その作業が、想像以上に速く進んだことには驚きましたが…それを側聞した誰かが、三菱車は日産のOEMになる、なんてウワサを流したのかも知れませんが…そんなことはあり得ませんよ(笑)」

とは言え、プラットフォームやパワートレーンなど、今後出て来る三菱車には日産が開発したものが使われる可能性が高いわけだ。我々が知りたいのはその最初のクルマがなにかという一点につきる。

「最初の協業は、次のRVRですよ。プラットフォームは新開発の日産CMF-B、パワートレーンは三菱製ガソリンエンジンのほかに、日産製の1.2ℓエンジンを使ったe-POWERもラインアップされるはずです。つまり、2019年春に発売予定の新型ジュークとメカニカルコンポーネンツの多くを共用することになります」

ということは、違うのはデザインだけということにならないか。

「それはまったく心配無用だと思います。プラットフォームが同じでも、ボディやサスペンション、駆動系の設計思想やノウハウは三菱と日産はそれぞれ独自の考え方を持っていますから。デザインは言わずもがなです。パワートレーンには三菱製ガソリンエンジンも載りますし、e-POWERだってサプライヤーは同じかもしれませんが、チューニングは結構違うはずです。なんといっても三菱の4WDに関する知見は世界一と言われていますから」

画像: 次期RVRとプラットフォームを共用する日産の新型ジュークは2019年春に発売されるはず。

次期RVRとプラットフォームを共用する日産の新型ジュークは2019年春に発売されるはず。

EV計画はひとまず休止。まずはe-POWERから

「次期RVRにはもともとEVの計画もあったくらいですから、すでに電動4WDの基礎開発は終わっていたのでしょう。今はその技術とe-POWERの適合を行っているころではないでしょうか」

逆にその技術が次期ジュークに採用される可能性もある?

「その可能性はゼロではありませんが、果たして間に合うかどうか。次期ジュークは2019年春に発表・発売されると聞いています。恐らく、欧州でも生産されるはずですから、すでに出来上がっていると見るべきでしょう。果たして、そこに三菱発の新技術を盛り込む時間的な余裕があるかどうか。まぁ、フタをあけて見なければわからないわけですが」

逆に時間的なアドバンテージがあると思われる次期RVRの発表はいつになるのだろうか?

「まだ流動的ですが、恐らく2020年度中には発表されるのではないでしょうか。発売は遅れるかも知れませんが、21年度には次期アウトランダーの発売も控えていることだし、すでにかなりのレベルまで行っていると思います。来年春に発表されるはずの次期ジュークを見れば、(次期RVRの)アウトラインもだいたいわかるでしょうね」

期待と不安がない混ぜとなった次期RVR。だが、情報提供者の話からは、三菱のDNAを継承した新世代スモールSUVへの期待がにじんでいた。エクリプスクロスに始まる怒濤の新車攻勢。ルノー日産とのアライアンスが吉と出るかどうかは、新型RVRを見ればわかるだろう。

画像: 次期RVRの発表は2020年度だという。つまり遅くとも2021年春までには国内発売が開始されるはずだ。

次期RVRの発表は2020年度だという。つまり遅くとも2021年春までには国内発売が開始されるはずだ。

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