日本各地にある伝統的な工芸品の数々。その製法や魅力などを、ドライブとともに体験・紹介する企画。今回は茨城県結城市で作られる「結城紬」。二輪も操るモータージャーナリスト先川知香さんによるレポートです。

そもそも、結城紬とは?

画像: 歴史は古く、6世紀頃に結城紬の原型とも言える「絁(あしぎぬ)」が朝廷に献上されたという記録が残っている。その後、養蚕の盛んだった鬼怒川沿いの茨城県結城市を中心に発展した絹織物。着こみ、洗い張りをするほどに艶としなやかさを増す特徴と、親から子へ数代にわたって着られる丈夫さも併せ持つ。特異な製作方法からも、誉れ高い着物としても知られる。

歴史は古く、6世紀頃に結城紬の原型とも言える「絁(あしぎぬ)」が朝廷に献上されたという記録が残っている。その後、養蚕の盛んだった鬼怒川沿いの茨城県結城市を中心に発展した絹織物。着こみ、洗い張りをするほどに艶としなやかさを増す特徴と、親から子へ数代にわたって着られる丈夫さも併せ持つ。特異な製作方法からも、誉れ高い着物としても知られる。

今回の旅の相棒、レクサス NXとは?

画像: ブランド初のコンパクトSUVで、2017年9月にマイナーチェンジを受けた。この試乗車は、2L直4ターボ+4WDを採用したグレードで、街中から高速道路まで、背の高さを感じさせない乗用車ライクでスポーティな乗り味を楽しめる。

ブランド初のコンパクトSUVで、2017年9月にマイナーチェンジを受けた。この試乗車は、2L直4ターボ+4WDを採用したグレードで、街中から高速道路まで、背の高さを感じさせない乗用車ライクでスポーティな乗り味を楽しめる。

高級国産車ブランド レクサスで最高級絹織物 結城紬の生産地へ

さまざまな分野の「匠」を訪ね、伝統工芸に触れようというこの企画、今回は茨城県結城市で、2000年以上の歴史を持つ絹織物「結城紬」を体験してみることに!

まずはクルマに乗り込み、現地に向けて出発します。編集部のある都内から約100km、2時間弱のプチドライブです。旅の相棒はレクサス NX300 Fスポーツ。同ブランドの中でもコンパクトで、走りを追求したSUVです!

普段大きなクルマに乗る機会の少ない私にとって、そんな相棒の第一印象は「ワイルドでカッコいい!でも、私が運転するには大きくてちょっと怖い」というもの。そんなビクビク感と、「はじめてのレクサスだ〜!」というワクワク感が複雑に交錯していました。

画像: この試乗車はNX300の「Fスポーツ」仕様。パドルシフトやシート、メーターなど多くの専用パーツが装備されている。

この試乗車はNX300の「Fスポーツ」仕様。パドルシフトやシート、メーターなど多くの専用パーツが装備されている。

でも、走り出すと「あれ?楽しい!」とイメージは一転。エクステリアから受けた印象ほどボディサイズは気にならないだけでなく、アイポイントも思ったより低くて、まるで乗用車に乗った時の視点と大きく変わらないことにビックリです。

高速道路に入ると低い重心による安定感を感じさせてくれるので、一般道で少し硬めかな?と感じたシートは、むしろちょうどいいくらい。

あえて気になった点を挙げるとすれば、インパネ上部にあるエアコンやハザードランプなどのスイッチ類が少し遠くて、運転中の操作にちょっと苦戦したことくらい。これ以外は快適すぎるドライブで、アッという間に現地へ到着!

画像: これまでレクサスSUVの末っ子だったNXに、2018年冬頃、弟のUXが誕生するという。

これまでレクサスSUVの末っ子だったNXに、2018年冬頃、弟のUXが誕生するという。

すべて手作業だからこそ製作に1年かかることも

着いてすぐ、さっそく結城紬を着付けてもらい、着心地を体験させてもらうことに。

着付けの手順は一般的な着物とまったく同じで、着丈を合わせたあと、崩れないように帯をグイグイ締めつけます。

すると「あれ?軽くて暖かい」。

画像: まずは結城紬の着付け体験気が引き締まります

まずは結城紬の着付け体験気が引き締まります

画像: 今回着付けにお借りした結城紬は、いくつもの模様の織り込まれたもので、一式300万円とか! 寒空の下でも暖かく、そして着心地も軽やかなんです。

今回着付けにお借りした結城紬は、いくつもの模様の織り込まれたもので、一式300万円とか! 寒空の下でも暖かく、そして着心地も軽やかなんです。

着物といえば、華やかでカッコいいけど、重くて息苦しいというイメージもあったので、この着心地の良さに驚きを隠せません。さらに、着付けてもらった結城紬の価格を聞いてもう一度ビックリ。この一式でなんと約300万円!…クルマ1台買えてしまいます。値段を聞いたことも相まってか、着物特有の少し息苦しくも凛とする感覚に気分が高揚していきます。

そんな結城紬の製作は、ぬるま湯の中で5〜6個の蚕の繭を重ねて手で拡げ、袋状にする「真綿かけ」から始まりますが、その次の工程である「糸つむぎ」を体験させてもらうことに。これは、真綿を巻き付けた「つくし」という道具から繊維を数本ずつ指で引き、軽く捻るように唾で固めていく作業です。不器用な私にとって絶望的な難しさ。

画像: 伝統工芸士さんに教わりながら、指先で真綿から糸をひく「糸つむぎ」から体験。

伝統工芸士さんに教わりながら、指先で真綿から糸をひく「糸つむぎ」から体験。

画像: 真綿から数本の繊維を引き出して、1本の糸に仕上げます。太さを均等にするのが難しい!

真綿から数本の繊維を引き出して、1本の糸に仕上げます。太さを均等にするのが難しい!

教えてくれた伝統工芸士さんのように、糸を一定の太さに保てません。しかも、一般的な女性用の着物1着に必要な糸をつむぐのに、熟練の匠でも約2〜3カ月かかると言います。

この時点ですでに、高価なはずだと納得です。しかし結城紬ができるまでに、この後も管まき→糸あげ→機延べ→墨つけ→絣括り→染色→筬通し→機巻き→機織りと、手作業の工程が続きます。

画像: すべて手作業だからこそ製作に1年かかることも

“手間を惜しまない” が、結城紬のこだわり

そして次に体験させてもらったのが、完成した糸を反物に織り上げていく「機織り」です。

結城紬を織るために使われる「地機」は、約1500年前から姿をほぼ変えていない最も原始的な織機。この地機を使いこなすのが難しく、たて糸の張り具合を調整するのは自身の腰や右足など。ダイレクトな意味での人馬一体とも言える作業です。

そんな結城紬づくりのこだわりは、製作工程だけではありません。着物姿をシャキッと見せるため、たて糸に太めの、よこ糸に細めの糸を使って織られているそう。だから、一反織るのに早くて1カ月、複雑な紋様を入れると年以上も要するといいます。

今回はテーブルセンターの機織り体験をさせてもらいましたが、これを一反分繰り返すとなると、想像しただけでも気の遠くなる作業です。

画像: 腰あてでたて糸を張り、右足首にかけた足引き紐を引くとたて糸が交差。匠から「もっと!グッと引く!」と愛の指導が入ります。

腰あてでたて糸を張り、右足首にかけた足引き紐を引くとたて糸が交差。匠から「もっと!グッと引く!」と愛の指導が入ります。

画像: 着物姿をスマートに見せるため、結城紬のよこ糸は細い。つまり、杼(ひ)でよこ糸をとおす回数も増えるというもの。

着物姿をスマートに見せるため、結城紬のよこ糸は細い。つまり、杼(ひ)でよこ糸をとおす回数も増えるというもの。

着込むほどに艶が増し三世代で着られる丈夫さ

ここまで結城紬の製作工程を見せてもらい、「どんなに手間がかかっても仕上がりや着心地を重視する」それが結城紬の高級たる所以なのだと実感せずにはいられません。

そんな結城紬は、日本最古の絹織物。全行程が人間の手によって行われるその高度な職人技は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。原料や製作工程などすべてを妥協せず、こだわり抜き、着こむほど良くなる一生ものの着物。その価値を知れば知るほど、着心地の良さと相まって、この旅の終わる頃には「いつかは結城紬」と、驚きが憧れに変わっていく。

そんな不思議な感覚に、伝統工芸の技術が代々伝えられていくことの大切さ、そして産業技術がいくら進化していても、製法を変えないことの意味を改めて実感することができました。

画像: 結城紬と同じ製法で織ったテーブルセンター。青と赤、2色のよこ糸を織り込んでシンプルなデザインに仕上げました!

結城紬と同じ製法で織ったテーブルセンター。青と赤、2色のよこ糸を織り込んでシンプルなデザインに仕上げました!

NX300 Fスポーツ AWDの主要諸元

●全長×全幅×全高:4640×1845×1645mm ●ホイールベース:2660mm ●重量:1800kg ●エンジン型式・種類・排気量:8AR-FTS・直4DOHCターボ・1998cc ●最高出力:175kW[238ps]/4800-5600rpm 最大トルク:350Nm[35.7kgm]/1650-4000rpm ●JC08モード燃費:12.4km/L ●燃料・タンク容量:プレミアム・60L ●トランスミッション:6速AT ●タイヤサイズ:225/60R18 ●価格:533万1000円

11月10-11日に「きものday結城」を開催。着物を着て、晩秋の結城を歩こう

画像: 鎌倉時代から続く結城の城下町を、思い思いの着物を着て散策・歴史を感じようというイベント(http://www.city.yuki.lg.jp/)が11月10-11日(土-日)に開催される。この期間中、街の各地でファッションショーや抽選会、小物づくりを体験できるワークショップなどが行われる。結城市の地場産業である「結城紬」を体感してみては?

鎌倉時代から続く結城の城下町を、思い思いの着物を着て散策・歴史を感じようというイベント(http://www.city.yuki.lg.jp/)が11月10-11日(土-日)に開催される。この期間中、街の各地でファッションショーや抽選会、小物づくりを体験できるワークショップなどが行われる。結城市の地場産業である「結城紬」を体感してみては?

取材協力:奥順株式会社(つむぎの館)

画像: 明治40年に創業した結城紬の製造問屋である奥順さんは、その歴史や最新の情報などを発信する「つむぎの館」も運営している。その中には、歴史に触れる資料館、はた織りや草木染めを体験できるコーナー、ギャラリー&カフェなども設けている。また、オリジナルのショールや香り袋などを販売する店舗もある。茨城県結城市大字結城12-2 ☎0296-33-5633

明治40年に創業した結城紬の製造問屋である奥順さんは、その歴史や最新の情報などを発信する「つむぎの館」も運営している。その中には、歴史に触れる資料館、はた織りや草木染めを体験できるコーナー、ギャラリー&カフェなども設けている。また、オリジナルのショールや香り袋などを販売する店舗もある。茨城県結城市大字結城12-2 ☎0296-33-5633

画像: 取材協力:奥順株式会社(つむぎの館)

取材協力:結城市伝統工芸館

画像: 結城紬の総合案内所として、2017年に内部をリニューアルオープンしたばかりの公共施設である。その中では糸つむぎや絣くくり、はた織りという重要無形文化財指定要件の3工程を、それぞれの伝統工芸士からレクチャーを受けながら紬づくりを体験をすることができる。茨城県結城市結城3018-1 ☎0296-32-1108

結城紬の総合案内所として、2017年に内部をリニューアルオープンしたばかりの公共施設である。その中では糸つむぎや絣くくり、はた織りという重要無形文化財指定要件の3工程を、それぞれの伝統工芸士からレクチャーを受けながら紬づくりを体験をすることができる。茨城県結城市結城3018-1 ☎0296-32-1108

画像: 取材協力:結城市伝統工芸館

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