3代目として新たに生まれ変わった新型カイエンがついに上陸した。まずは、3L V6ターボエンジンを搭載するベースグレードの魅力を探求する。(Motor Magazine 2018年11月号より)

スリムに見えるがボディサイズは大型化

ポルシェといえば911を筆頭にボクスター、ケイマンなど背の低いスポーツカーを思い浮かべるが、いまや中国ではSUVのカイエンがポルシェの代表格になるなど、たとえスポーツカーでも多人数が乗れ、見た目も大きなSUVに人気が集まるようだ。このように世界中で人気のカイエンがフルモデルチェンジを果たし、さらに話題性が増した新型に試乗した。

ポルシェ カイエンの初代モデルは2002年に登場、2代目が2010年、3代目が2018年に登場と8年ごとに進化している。新型カイエンは2代目と比べるとホイールベースは同じだが、全長および全幅は大きく、全高はくなり、4920×1980×1690mmとかなり大型化している。 

しかし、実際に新型を目にすると、なぜか2代目よりスリムに見える。ボンネットをはじめ、フェンダーの膨らみの大きな曲率が少し小さくなったことも影響しているのかもしれない。また新形状のテールライトも車高を低く見せる効果があるようだ。

フロントはデイタイムランニングライトを組み込んだLEDライトやフェンダーの盛り上がりやボンネット中央のパワーバルジなどがポルシェらしさを演出している。

画像: スポーツSUVと呼ぶに相応しいスポーツ性能を備えた新型カイエン。

スポーツSUVと呼ぶに相応しいスポーツ性能を備えた新型カイエン。

フラッグシップSUVに相応しい魅力的なインテリア

インテリアではセンターコンソールにずらりと並んだスイッチ類がなくなり、平らなパネルの中に埋め込まれたタッチ式スイッチに変更された。見た目は先進的だが、平面のため目的とは異なるスイッチをタッチしてしまうことがあるのが難点だ。走りながら操作できるようになるまでには時間がかかるだろう。

ダッシュボードは横方向への直線的なフラットデザインが特徴で、この平らな面がドアの内張りの平らな面とAピラーの根元で直角に交わっている。これによりドアミラーを含めると2mを越えるボディサイズになるが、車両感覚が掴みやすく運転しやすいのもカイエンの特徴。

そして快適で操縦しやすいドライビングポジションが取れるのも実にポルシェらしい。シートの高さ、スライド、リクライニング、ハンドルのチルトとテレスコピックなど、それぞれの調整範囲が広いので自分好みのポジションに合わせやすいのだ。

また、シートとハンドルの位置だけでなく、どんな目線の位置からでもメーター類が見やすく、運転操作がしやすいポジションが自然に取れる。やはりスポーツカーメーカーが作るとSUVでもこうなるのかと思わせる完成度だ。ドライバーがどこにどう座ればいいのかを理解してデザインされている。

画像: 総合的なコネクティビティを備えた大型ディスプレイとフラッグシップSUVに相応しい洗練された室内。

総合的なコネクティビティを備えた大型ディスプレイとフラッグシップSUVに相応しい洗練された室内。

画像: メーターユニットの両側に設けられた7インチフルHDディスプレイには、様々なドライビングデータを表示する。

メーターユニットの両側に設けられた7インチフルHDディスプレイには、様々なドライビングデータを表示する。

画像: スポーツクロノパッケージを選択するとハンドルにドライビングモードスイッチが備わる。

スポーツクロノパッケージを選択するとハンドルにドライビングモードスイッチが備わる。

画像: マルチファンクションステアリングホイールで選択した情報をディスプレイに表示できる。

マルチファンクションステアリングホイールで選択した情報をディスプレイに表示できる。

画像: オプションの14waysパワーシートメモリーパッケージ 226,000円と前後シートヒーター158,000円を装備。

オプションの14waysパワーシートメモリーパッケージ 226,000円と前後シートヒーター158,000円を装備。

ソフトな印象のサスペンション走りの高さはスポーツSUV

今回試乗したカイエンのベースグレードは、3L V6ターボエンジンと4WDを組み合わせる。最高出力は340ps/450Nmを発生し、一見もの足りなさそうに思えるが、実際は期待以上の加速を披露した。標準のタイヤサイズはスペック表どおりだが、試乗車は前275/45ZR20、後305/40ZR20のオプションサイズを装着していた。

高速道路の路面のうねりが大きいところではゆっくりした上下動を感じ、思ったより上下方向にストロークする印象を受けた。若干ソフトさを感じるサスペンションだが、ワインディングロードではロール角が小さく収まり、軽快なハンドリングを体感できた。

これはスタビライザーがよく働いていることが要因なのか、ロール方向には粘り強いので、クルマの重量や重心高の高さを感じることもなく、気持ちのいいペースでワインディングロードを駆け抜けることができた。

そしてカイエンSになるとさらにパワフルな2.9L V6ツインターボエンジン(440ps550Nm)を搭載し、圧巻の加速が味わえるだろう。パワーウエイトレシオは5.8kg/psから4.6kg/psへとなり、0→100km/h加速は6.2秒から5.2秒とさらに俊足になる。その分制動力も強化され、対向10ポットブレーキキャリパーを装着し、高出力エンジンに見合った強烈な制動力を発揮するはずだ。

アクセルペダルをオフにするとクラッチが切れ、コースティングする機能も搭載され、燃費向上に大きく貢献している。またアクセルペダルを素早く戻すとエンジンブレーキが作動する細工は、スポーツカーメーカーらしいシステムと言えるだろう。

ただ、ポルシェらしくないと思ったのはアクセルペダルで、マカンと同じように吊り下げ式になったことだ。先代モデルのようにオルガン式を採用して欲しかった。(文:こもだきよし)

画像: シングルターボを採用する3L V6エンジン(340ps)でも十分にパワフル。

シングルターボを採用する3L V6エンジン(340ps)でも十分にパワフル。

画像: PCMはナビゲーションプラスや新しいPorsche Connectアプリを使うことで、20種類以上のサービスを活用することができて便利である。トランスミッションは8速AT。

PCMはナビゲーションプラスや新しいPorsche Connectアプリを使うことで、20種類以上のサービスを活用することができて便利である。トランスミッションは8速AT。

画像: ラゲッジルームは大容量の770Lを確保。リアシートバックは3分割式。

ラゲッジルームは大容量の770Lを確保。リアシートバックは3分割式。

主要諸元 ポルシェカイエン

全長×全幅×全高:4920×1980×1690mm
ホイールベース:2895mm
トレッド前/後:1680/1673mm
車両重量: 2040kg
ラゲッジルーム容量:770/1710L
エンジン:V6DOHCターボ
総排気量:2995cc
ボア×ストローク:84.5×89.0mm
最高出力:250kW(340ps)/5300-6400rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1340-6500rpm
燃料・タンク容量:プレミアム・75L
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速AT
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式:マルチリンク
タイヤサイズ:前255/55ZR19、後275/50ZR19
車両価格:9,760,000円

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