愛知県長久手のトヨタ博物館では、1950〜60年代の日本のモータリーゼーションの高まりを感じることができるコーナーがある。今回はその中から1955年に登場した初代クラウンを紹介しよう。(Motor Magazine 2016年7月号より)

国産モータリゼーションの出発点となる純国産車

1953年、戦後の廃墟の中からトヨタは立ち上がる。その先兵がタクシー需要に応えて登場した1953年のトヨペット スーパーだった。当時の乗用車マーケットは2万5000台に過ぎず、うち輸入車が4割、国産の4割は技術提携していた国産製輸入車だった。

そんな中、1955年、トヨタはトヨペット クラウンをリリースする。まだまだ日本の道路舗装率の低く、堅牢なることが自動車の第一義だった頃に、高い快適性を打ち出して登場して注目を集めた。

エンジンはトヨペット スーパー譲りのR型48ps、トランスミッションはコラム式3速MT。富裕層のオーナーカーとして、フロントをダブルウイッシュボーンの独立、リアを3枚リーフスプリングとして、快適性を追求していた。

折しも高度経済成長の真っ只中、「白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の三種の神器の次に来るのはクルマか」と言われていた時代。クラウンはそうした意味でも日本のモータリゼーションの幕開けを示唆していたモデルだった。

1955年1月に登場したこの初代クラウンは、60年には1897㏄に排気量を拡大し90psを手にするとともにトヨグライド(AT)を追加している。

トヨタ博物館には、コロナ、パブリカ、カローラなど日本のモータリーゼーションを支えてきた名車たちとともに並べられている。

画像: スタイリングはトヨタ社内デザイン。当時高級車の象徴的存在だったアメリカ車の影響が感じられる。

スタイリングはトヨタ社内デザイン。当時高級車の象徴的存在だったアメリカ車の影響が感じられる。

画像: トランスミッションはコラム式3速MT。ドアは後部座席への乗りやすさを考慮して観音開きとしている。

トランスミッションはコラム式3速MT。ドアは後部座席への乗りやすさを考慮して観音開きとしている。

トヨペット クラウン RS型(1955年式)

主要諸元 ●全長4285mm×全幅1680mm×全高1525mm ●ホイールベース2530mm、エンジン ●水冷直列4気筒OHV ●排気量1453cc ●最高出力48ps/4000rpm ●車両重量1210kg

トヨタ博物館

日本最大級の自動車ミュージアム。トヨタ創立50周年を記念して1989年に開館した。自動車の歴史を伝える施設として、トヨダAA型、トヨペットスーパーRHN型、今回紹介したトヨペットクラウンRS型、トヨペットマスターRR型をはじめ、トヨタ2000GT、1600GT、セリカなどトヨタの名車のほか、1951年式ジャガーXK120、1955年式メルセデス・ベンツ300SL、1955年式フォード・サンダーバードなど、国内外、世界の名車を約160台展示している。欧米車、日本車とりまぜて時系列に展示する常設館のほか、企画展示、日本車コーナー、ライブラリー、生活文化展示などもあり、1日ではとてもすべて見ることができなほどの充実ぶり。クルマ以外にも、芸術的なカーマスコットを展示したコーナーなどもあり、行くたびに新鮮な出会いがある。

画像1: トヨタ博物館
画像2: トヨタ博物館

●住所:愛知県長久手市横道41-100 
●入館料:大人1000円、シルバー500円、中高生600円、小学生400円
●休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始、開館時間9時30分〜17時(入館受付は16時30分まで) 
●駐車場:あり
●問い合わせ先:☎0561-63-5151
●アクセス:地下鉄東山線藤が丘駅よりリニモに乗り換えて芸大通駅下車、徒歩5分。クルマの場合は、名古屋瀬戸道路、長久手ICより西へ0.4kmグリーンロード沿い。東名名古屋IC、名二環状本郷ICより東へ4kmグリーンロード沿い。
●展示車両は入れ替えの場合あり。

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