いつ発生するかわからないクルマのバッテリー上がり。では、複数のバッテリーを搭載するハイブリッドカーは電力不足に陥りにくいのか、モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏に聞いてみた。

徐々に放電する現象はハイブリッドカーでも同じ

ハイブリッドカー(HV)には、通常のガソリンエンジン搭載車両よりも容量の大きなバッテリーが搭載されている。そのため「HVはバッテリー上がりしにくいのでは?」と思う人も多いだろう。しかし、実際のところHVもバッテリー上がりで動かなくなることはある。

画像: トヨタプリウスの駆動用バッテリーはリアシート下に収められている。

トヨタプリウスの駆動用バッテリーはリアシート下に収められている。

そもそも、HVには2種類のバッテリーが搭載されている。

まずひとつが、タイヤを駆動するために必要な大容量&高電圧な「駆動用バッテリー」で、もうひとつが、ガソリン車同様の電気系統に採用されている12Vの「補機用バッテリー」だ。

画像: トヨタ プリウスの補機バッテリーはエンジンルーム内に収められている。

トヨタ プリウスの補機バッテリーはエンジンルーム内に収められている。

鉛を使ったこの補機用バッテリー、イグニッションオフの状態でも徐々に放電していることはよく知られているが、この現象はHVであっても同じ。そのため、長期間放置すると、ガソリン車と同様に補機用バッテリーが上がってしまうのだ。

走行中であれば、駆動用バッテリーから補機用バッテリーへ電力が供給されるが、駐車中は対象外である。でもご安心を。補機用バッテリー上がりであれば、他車からの救援によるジャンプスタートが可能なのだ。

画像: 新型クラウンに設定されているハイブリッドカーのカットモデル。補機用バッテリーと駆動用バッテリーは、両方ともトランクスペースの下に格納されている。

新型クラウンに設定されているハイブリッドカーのカットモデル。補機用バッテリーと駆動用バッテリーは、両方ともトランクスペースの下に格納されている。

ただし、覚えておかなくてはならないことは「HVは救援を受けられるが、他車を助けられない」ということ。これは、ガソリン車とHVでは電気系統が違うためで、他車を助けるときに一瞬流れる大電力に12Vの電気回路が耐えられないからだ。

また、徐々に放電される現象は、高電圧の駆動用バッテリーでも同様に起こっている。あまりに長時間放置していると、上がってしまう可能性がある。

トヨタ プリウスの取り扱い説明書には「駆動用電池の充電について」という注意書きに「車両を長時間放置すると、少しずつ放電します。そのため少なくとも、2〜3カ月に一度、約30分間または16kmほど運転してください」とある。“HVの電池は大きいから”と過信しないようにしよう。

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