2輪、4輪、モータースポーツなど、「ホンダコレクションホール」にはホンダの歴史が詰まっている。今回は空冷から水冷エンジンへの転換第一号となったライフを紹介しよう。(Motor Magazine 2016年2月号より)

シビックの原型となったコンパクトなFF2ボックスモデル

空冷にこだわってきたホンダがついに水冷へと方向転換することになったモデルが軽自動車の初代ライフだった。時代が求める公害対策に対応するには、水冷化は避けて通れない道だった。

ライフはN360の後継として1971年6月に登場している。エンジンは水冷直2SOHCの356ccで30psを発揮していた。パワーはそれほど大きくなかったが、パワーダウンは安全性に寄与するとして大きな問題にはならなかった。

国産初のコッグドベルト、一次振動を打ち消すバランサーシャフトを採用したことも話題となった。FFレイアウトはエンジンの横にトランスミッションを配する一般的なダンテ・ジアコーサ式に転換。4速MTが基本に、3速AT、さらに後のスポーツ版には5速MTも設定した。使い勝手に優れる4ドアを用意したことも注目された。

1971年10月にはリアハッチゲート付の3ドアワゴンを、1972年5月にはツインキャブ36ps搭載の2ドアツーリングを追加。1972年6月のマイナーチェンジを経て、9月には36psの4ドアツインが登場。1973年8月の最後のマイナーチェンジでは内外装をシビック風にアレンジする。

ボディサイズやエンジン排気量こそ異なるが、後に登場したシビックとメカニズム的に近く、軽自動車の保安基準が変更になったこともあり、価格のアドバンテージがなくなり1974年に生産を終了する。

シビック登場の尖兵として、今に続くホンダの基盤を作り上げた車として、忘れられない1台だ。もちろん、ホンダコレクションホールで会うことができる。

画像: わずか3m×1.3mの小さなボディに実用性を十分に盛り込んで登場。ルーフの2本のモールは当時のホンダ車の特徴。

わずか3m×1.3mの小さなボディに実用性を十分に盛り込んで登場。ルーフの2本のモールは当時のホンダ車の特徴。

画像: インパネまわりは外観同様シンプル設計だった。

インパネまわりは外観同様シンプル設計だった。

ホンダ ライフ 4ドア DX(1971年)主要諸元

●全長×全幅×全高=2995mm×1295mm×1340mm
●ホイールベース=2080mm
●エンジン=水冷4サイクル直列2気筒OHC
●排気量=356cc
●最高出力=30ps/8000rpm
●車両重量=510kg(MT)
●最高速=105km/h
●1971年当時の価格=38万9000円

ホンダ コレクション ホール

ホンダのチャレンジングスピリット、技術の歴史、ものづくりへの情熱が感じられるミュージアム。「ホンダのみんなが何を考えてつくってきたか。みんなのつくったものを皆さんにお見せすればいい。こんな正直なホンダはどこにもないぞ」という創業者本田宗一郎の言葉が発端になって開設された。現在のホンダ コレクション ホールは、ツインリンクもてぎ開業にあわせて、鈴鹿サーキット内にあったコレクションホールを移転する形で1998年3月にツインリンクもてぎの重要な施設のひとつとして設立された。2輪、4輪、レーシングマシン、国内外の良きライバル車など約300台を展示。さまざまな企画展が開催されていて、いつ訪れても新しい発見がある。なお、ツインリンクもてぎへの入場に料金が必要だが、ホンダ コレクション ホールへの入場は無料となっている。

画像1: ホンダ コレクション ホール
画像2: ホンダ コレクション ホール

●住所:栃木県芳賀郡茂木町桧山120-1(ツインリンクもてぎ内)
●入館料:無料(ツインリンクもてぎへの入場に別途料金が必要)
●問い合わせ先:☎0285-64-0341 http://www.twinring.jp/collection-hall/
●アクセス:常磐自動車道水戸北スマートICより約30分(東京方面からのETC専用出入り口のみ)、那珂ICより約40分、水戸ICより約40分/東北自動車道宇都宮ICより約90分/北関東自動車道真岡ICより約50分
●展示車両は入れ替えの場合あり。

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