久しぶりの「コレ何?」。今回は、某コレクションで見つけた、小さなクルマ。戦時中の小型車のようだけど、どこの国の、なんていうクルマ?

日本に(おそらく)2台しか存在しない、超希少車!?

ちょっとクラシカルなスタイルの、カブリオレモデル。ボディカラーからして軍用車みたいだけれど、アメリカのジープとは違うし、生産国はわからない。このクルマ、なんていう名前?

画像: 一見、戦前のフィアットにも似た可愛らしいスタイルだが…。リアシートは1つしかない!?

一見、戦前のフィアットにも似た可愛らしいスタイルだが…。リアシートは1つしかない!?

このクルマの名前は「九五式小型乗用車」。通称は「くろがね四起」。第二次大戦中、日本陸軍の偵察・連絡用の小型自動車として使われた日本のクルマだ。しかも、日本初の国産実用四輪駆動車だった。

現在の日産工機の前身である日本内燃機(のちの東急くろがね工業)が、1935年から44年まで生産した。全長3.55×全幅1.55×全高1.70mと、現代の軽自動車よりひとまわり大きいくらいのサイズ。車重は1.06トン。

画像: 幌を被せると視界は悪そうだが、悪天候時以外はオープンで走っていたはず。

幌を被せると視界は悪そうだが、悪天候時以外はオープンで走っていたはず。

搭載されるエンジンは何種類かあったようだが、撮影車は33psを発生する1.4Lの空冷V型2気筒OHVを搭載。前述のように四輪駆動を採用していた。乗車定員も2/3/4名が設定されていたようだが、撮影車は前2・後1の3名乗りだった。

くろがね四起は終戦までに4700台あまりが生産されたが、ほとんどが処分され、海外に2台、日本では石川県小松市の日本自動車博物館に1台が現存しているのみだった。だが、静岡のNPO法人「防衛技術博物館を創る会」が京都にあった1台を発見し、レストアしたものがこのクルマ。したがって、このクルマは自走が可能だ。

画像: シフトノブの右に2WD-4WDを切り替えるトランスファーが備わる。

シフトノブの右に2WD-4WDを切り替えるトランスファーが備わる。

アメリカでウイリス ジープの開発が始まる5年以上も前に、こんな小型四輪駆動車を生産していたなんて、やっぱり日本の自動車産業の技術力ってたいしたもの、と改めて感じさせてくれる1台だ。

ジムニーあたりをベースにして、このクルマにカスタマイズするキットとか作って売り出したら、けっこう人気を呼びそうだけれど…?

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