保守的に思えるトヨタだが、じつはトヨタの歴史はチャレンジの歴史でもあった。時代の先を行き過ぎたクルマから、一体どうした? と首をかしげたくなるクルマまで、トヨタのチャレンジを改めて俯瞰してみる。第3回はマイクロコンパクトカーの「トヨタ iQ」だ。

国内にはライバル不在だった

トヨタの長い社史の中で、今もなお鮮明に記憶に残る“裏”傑作車と言える1台が、2008年11月に発表された「iQ」だろう。iQの車名は、知能指数を意味するIQに由来するとも言われている。

このクルマが発売された当時、スマート(初代)やルノー・トゥインゴ(2代目)といったシティコミュータ=マイクロコンパクトカーが欧州勢を中心に脚光を浴びていた。

画像: 全長は2.9mほどだが、全幅は1.7m近い。iQは「小さい」クルマではなく「短い」クルマだった。

全長は2.9mほどだが、全幅は1.7m近い。iQは「小さい」クルマではなく「短い」クルマだった。

そんな情勢を背景にトヨタが出した答えがiQだった。驚くのは軽自動車よりも40cm以上短い、3m足らずのボディで4シーターを実現してしまったところ。「大人3人と子供1人もしくは荷物」というのがコンセプト。

運転席の後ろの席は子供か荷物、助手席を前に出せばその後ろの席にも大人が乗車可能だった。実際に短距離ならば大人3人が難なく移動できた出色のパッケージングは、現代でも十分に通用するほど斬新だった。

画像: 操作系をコンパクトにまとめた機能的なインパネ。

操作系をコンパクトにまとめた機能的なインパネ。

画像: 外観から想像されるよりは室内は広かった。

外観から想像されるよりは室内は広かった。

国内仕様のエンジンは、当初1L 3気筒の1KR-FEのみだったが、モデルライフ後半には1.3L 直4の1NR-FE型搭載車も追加された。GAZOOレーシングによるチューニングモデルや、アストンマーティンへのOEM供給(シグネット)など、ポテンシャルの高さではクラスを超えていた。

「2008-2009 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、デビュー当初は人気が高かったが、軽乗用車より車両価格は高いのに人や荷物が積めなくて使えないという問題もあり、残念ながら2016年4月に販売を終了してしまった。

画像: 他に類を見ない、可愛らしいスタイリングは女性にも人気があったのだが…。

他に類を見ない、可愛らしいスタイリングは女性にも人気があったのだが…。

トヨタ iQ 1000G 主要諸元

●全長×全幅×全高:2985×1680×1500㎜
●ホイールベース:2000㎜
● 重量:890kg
●エンジン型式・種類:1KR-FE・直3DOHC
●排気量:996cc
●最高出力:68ps/6000rpm
●最大トルク:9.2kgm/4800rpm
●JC08モード燃費:21.2km/L
●燃料・タンク容量:レギュラー・32L
●トランスミッション:CVT
●タイヤサイズ:175/65R15
●価格(当時):150万円

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