1961~70年は、日本の近代スポーツカーが飛躍的に進化した10年だった。この時代に矢継ぎ早に投入された新型スポーツカーは、まさに日本の自動車技術の進化の歴史と言っていい。そんな飛躍の10年を彩った珠玉のマシンを振り返ってみる。今回は、スカイラインより先にGTを名のったベレットのトップモデル、GTRだ。

ベレットGTXの市販バージョンとしてGTRが登場

「ベレット 1600GTR(PR91W型 1969年9月発表)

画像: 独特のクーペスタイルは、当時の日本車としては斬新なスタイリングだった。

独特のクーペスタイルは、当時の日本車としては斬新なスタイリングだった。

ベレットは1963年6月に発表され、11月に発売された、いすゞの小型乗用車だ。当初は2ドアと4ドアのセダンがラインアップされた。翌64年、2ドアセダンをベースにボディをクーペ化したGTが追加される。日本で最初に「GT」という名が与えられたモデルであり、また「ベレG」という愛称で、当時のクルマ好きたちの人気を集めた。

画像: ナルディ風ウッドステアリングにシフトノブ、独立したメーターが並ぶインパネなど、60年代スポーツの定番的なインテリア。

ナルディ風ウッドステアリングにシフトノブ、独立したメーターが並ぶインパネなど、60年代スポーツの定番的なインテリア。

1969年8月の鈴鹿12時間耐久レースを制したベレットGTXをベースに開発されたのが、ベレットGTRだ。正式名称は前期型が「GTR」、71年のマイチェン後の後期型は「GT タイプR」。2分割されたフロントバンパーと標準装備されたフォグランプが特徴的だった。

画像: 10.3の高圧縮比とソレックスキャブレター2連装で120psを発生。高回転の吹けのシャープさは別格だった。

10.3の高圧縮比とソレックスキャブレター2連装で120psを発生。高回転の吹けのシャープさは別格だった。

GTXのボディはアルミだったがスチールに変えられ、それでも車重は970kgに抑えられた。そこに117クーペ用に開発した120psと14.5kgmを発生するG161W型DOHCを搭載して、190km/hの最高速度を得た。さまざまなレースで、トヨタ1600GTと覇を競いあった。

画像: 2分割されたバンパーと、その間に収まる丸型フォグランプがGTRの証だった。

2分割されたバンパーと、その間に収まる丸型フォグランプがGTRの証だった。

ベレット1600GTR(1969年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4005×1495×1325mm
●ホイールベース:2350mm
●車両重量:970kg
●エンジン・型式:直4DOHC・G161W
●排気量:1584cc
●最高出力/最大トルク:120ps/14.5kgm
●サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/スイングアクスル
●発売時価格:116.0万

画像: 60年代の国産スポーツカーについては、ホリデーオート2019年2月号でも紹介しています。

60年代の国産スポーツカーについては、ホリデーオート2019年2月号でも紹介しています。

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