新しい元号が「令和」に決まり、いよいよ平成が終わろうとしているが、この時代に誕生した記憶にとどめておきたいスポーツカーたちを、図鑑風に紹介していこう。3回目は、マーチのスーパーターボだ。

ラリーで勝つために生まれた日本初のダブルチャージドエンジン搭載車

「日産 マーチ スーパーターボ(EK10型:1989年1月発売)

画像: ボンネットのエアスクープやビルトインしたフォグランプなどで、ノーマルのマーチとは印象が大きく変わった。

ボンネットのエアスクープやビルトインしたフォグランプなどで、ノーマルのマーチとは印象が大きく変わった。

日産マーチの初代(K10型)は、1982年の登場以来ほとんど形を変えずに10年間製造された長寿車として知られる。その間、日産はマーチでワンメイクレースを主催するなどモータースポーツの普及に力を入れてきた。

そうした競技車ベースの頂点に君臨したのが、日本初のツインチャージドエンジン搭載車“マーチR”で、それを市販化したのがここで紹介するスーパーターボだ。

画像: S/C+ターボのダブルチャージで110psを発生するMA09ERT型。低速域からの粘り強い加速感がダブルチャージの魅力だ。

S/C+ターボのダブルチャージで110psを発生するMA09ERT型。低速域からの粘り強い加速感がダブルチャージの魅力だ。

“R”は88年に登場した競技用車両で、2mmのボアダウンで排気量を930ccとし、低回転域をスーパーチャージャー、高回転域をターボチャージャーで過給することで、全域での高トルクを狙ったスペシャルエンジンを搭載して話題を呼んだ。

排気量ダウンは88年にFIAの競技規則変更でターボ係数が1.7になったため、1.6L以下クラスで戦うために必要な措置だった。

画像: メーター周辺のデザインはノーマルと変わらないが、センターダッシュ上に追加された3連メーターが只者でないことを予感させる。

メーター周辺のデザインはノーマルと変わらないが、センターダッシュ上に追加された3連メーターが只者でないことを予感させる。

スーパーターボは保安部品を装備した“R”のようなクルマだから、パワーウエイトレシオは7kg/psという身軽さを生かした走りは強烈そのもの。ただ機械部品がエンジン周辺に集中するためフロントヘビーは避けがたく、コーナリングではアンダーステアを力でねじ伏せるテクニックが要求された。

それでも89年に“R”がWRCアクロポリス・ラリーでデビューウイン(クラス優勝)するなど華々しい活躍を見せたことを受け、マーチ スーパーターボはコアなファンを獲得していった。

画像: 1988年に登場した“マーチR”。89年のサファリやアクロポリスなどWRCでクラス優勝したほか、同年の全日本ラリーではBクラスでシリーズ優勝も果たした。

1988年に登場した“マーチR”。89年のサファリやアクロポリスなどWRCでクラス優勝したほか、同年の全日本ラリーではBクラスでシリーズ優勝も果たした。

マーチ スーパーターボ(1989年)主要諸元

●全長×全幅×全高:3735×1590×1395mm
●ホイールベース:2300mm
●重量:770kg
●エンジン型式・種類:MA09ERT型・直4 SOHCターボ+S/C
●排気量:930cc
●最高出力:110ps/6400rpm
●最大トルク:13.3kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:175/65R13
●価格:115万3000円

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