アウディスポーツ(Audi Sport)とはいったいどういうブランドなのか。RSモデルはどのようにして誕生したのか。アウディスポーツの魅力を明らかにする短期集中連載、第4回目は「カスタマーレーシング活動」についてだ。

カスタマーレーシングはアウディスポーツの重要な活動

アウディスポーツの重要な役割に、モータースポーツのワークス活動、カスタマーレーシング活動があげられる。ワークス活動としては、DTM(ドイツツーリングカー選手権)、フォーミュラE選手権が知られているが、ここではカスタマーレーシング活動について触れてみたい。まずは「R8 LMS」を紹介する。

アウディR8 LMS GT3は、アウディスポーツ社が量産モデルのアウディR8をベースに開発したFIA(国際自動車連盟)GT3規格のレーシングマシン。

GT3規格はいまやGTレースの頂点をを争うカテゴリーに成長、世界中で数多くのレースシリーズが開催されている。ブランドが持つ技術力が反映されるクラスとも言われ、世界の名だたる自動車メーカーがこぞって開発を進める注目のジャンルだ。

アウディも2009年からR8のGT3カー「R8 LMS GT3」を開発、ルマン24時間レースなどで培ったレーシングテクノロジーをフィードバックしてカスタマーサポートも行っている。

R8 LMS GT3は、量産モデルと並行して開発が進められおり、量産モデルとのパーツの共用率は50%以上、アルミとCFRPの複合素材によって構成された新世代のアウディ スペース フレーム(ASF)を採用する。エンジンは自然吸気 V10 5.2Lを搭載、最高出力585PSを発揮しながら、高い耐久性を特徴としている。ただし、GT3規格によりクワトロでなく後輪駆動となる。

日本では2011年からスーパー耐久シリーズ、2012年からSUPER GTのGT300クラスに参戦を開始。その後、新型となったR8 LMS は2015年5月に開催されたデビュー戦ニュルブルクリンク24時間では総合優勝を達成。一般のカスタマーチームへの供給が開始されている。

さらに2018年にベースモデルのR8がフェイスリフトされたことに伴い、レーシングモデルもフェイスリフト。2019年のシーズン開幕にあわせて、市販モデルに先駆けてチームに供給されている。

2019年シーズンは、SUPER GTのGT300クラスの「アウディチーム ヒトツヤマ」に新型R8 LMS GT3を、スーパー耐久シリーズST-Xクラスの「X-Works」に同じく新型R8 LMS GT3を供給し全面サポートする。

ちなみに、2018年にはGT3の下に位置するGT4規格に合致する「R8 LMS GT4」も開発。GT4規格はのGT3のレースレベルや車両スペックが高くなってしまったことから、アマチュアドライバーのレースカテゴリーとして新たに誕生したもので、「R8 LMS GT4」は60%以上の構成部品を市販モデルと共有化、同じ工場で生産することにより、価格や維持費をリーズナブルに設定したのが特徴で、エンジンパワーも500ps弱に抑えられている。

アウディスポーツの活動は頂点のモータースポーツだけでなく、カスタマーレーシングにまで広がりを見せ、その裾野はどんどんと広がっている。ブランドイメージの維持、向上のために非常に重要な活動と言っていいだろう。

画像: 興味深い上方からのカット。エンジンは自然吸気 V10 5.2Lを搭載。

興味深い上方からのカット。エンジンは自然吸気 V10 5.2Lを搭載。

画像: 基本的なメカニズムは量産車と同様だが、規定によりクワトロでなく後輪駆動となる。

基本的なメカニズムは量産車と同様だが、規定によりクワトロでなく後輪駆動となる。

画像: 市販車をベースとしていることが認可の条件となるGT3車両。

市販車をベースとしていることが認可の条件となるGT3車両。

アウディR8 LMS GT3 主要諸元

●全長×全幅×全高=4583×1997×1171mm
●ホイールベース=2650mm
●エンジン=5.2L V10 DOHC
●最高出力=585ps
●最大トルク=550Nm
●駆動方式=MR(後輪駆動)
●ハンドル位置=左

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