道路の路面は平らではない。マンホールや轍などの凸凹という意味ではなく、意図的に傾けているのだ。なぜこのような設計になっているのだろうか。

日本特有の気候が関係している

道路をよく見てみると、センターラインが高く、路肩が低くなっていることがわかるはずだ。断面で考えると、センターラインを背骨にした馬の背のように盛り上がっている。なぜ、道路は、このような格好になっているのか。

その理由は、降雨対策だ。日本は雨が多く、降雨時に道路に水がたまっていては走りにくいだけでなく、危険でさえある。そのため道路の外に、水を排水するために道路には傾斜がついている。

一般的な舗装路であれば道路断面の勾配3~5%、雨水を浸透させる機能を持つ舗装路であれば断面勾配1.5~2%と、道路の構造を定めている政令の道路構造令によって決められている。もしも、道路に勾配がなかったら、ほんの少しの雨でも道路には、大きな水たまりができてしまう。この勾配があることで、日本の道路は水たまりができずにすんでいるのだ。

画像: 肉眼では分かりにく路面の傾き。一般的な道路で3〜5%ほどの勾配がつけられている。

肉眼では分かりにく路面の傾き。一般的な道路で3〜5%ほどの勾配がつけられている。

ちなみにアスファルト道路には、さまざまな機能を持たせることが可能だ。例えば、降雨対策としては、排水機能と透水機能を備えたアスファルト道路が存在している。排水機能のアスファルト道路は、表層のアスファルト層の下に排水機能を担う層が用意されており、雨水はそこを通って路肩へ排水されることになる。

一方、透水機能のアスファルト道路は、雨水を道路の奥底まで透水させるようなつくりになっている。雨水を一時的にため込むことができるので、河川や下水に雨水が一気に流れ込むことを抑制する働きを持つ。

また、雨水をアスファルト路面の表層にためこむ保水機能を持つアスファルト道路も存在する。夏場は、保水されて水が蒸発するときに周囲の熱を奪うため、道路の表面温度があがることを抑制する。高速道路の一部のサービスエリアなどでは、駐車場の一部に保水機能付きのアスファルトを敷いている。そうした高機能アスファルト路面に駐車すれば、夏場は、少しは涼しくなるというわけだ。

ちなみに、コンクリートを使った道路は水を通さない。コンクリート道路はアスファルトよりも丈夫さで勝るが、水を通す特性を利用した機能面ではアスファルト道路にはかなわないのだ。(文:鈴木ケンイチ)

画像: トンネル内は、アスファルト路面ではなく、コンクリート路面が採用されているケースが多いという。

トンネル内は、アスファルト路面ではなく、コンクリート路面が採用されているケースが多いという。

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