世界的な追い風に乗って、自動車メーカーから圧倒的な支持を得ているフォーミュラEだが、その背景には技術的なチャレンジの可能性とともに、参戦のしやすさもあった。

現状、自動車メーカーが関わるのは基幹技術となる電動パワートレーンのみ

フォーミュラEがF1やWEC、WRC以上にメーカーの注目を集めるのは、ロードカーの電動化というヨーロッパ市場の時流にマッチしていることはもちろんだが、意外と簡単に参戦することができることも大きな理由のひとつとなっている。

その要因は、自前で開発するのは電動パワートレーン(モーター、インバーター、ギアボックス)のみで、シャシはスパーク製のワンメイクであること。当然、空力開発も不要のため風洞実験設備を揃える必要もない。

これなら多くの既存レーシングチームにとっても参戦可能な範囲で、自動車メーカーが組むパートナーにも困らないというわけだ。もしフォーミュラEがシャシも含めてすべてが自由競争だったら、自動車メーカーが直接ワークスチームを組織して乗り込む以外に勝ち目はないだろう。

だが、現状では自動車メーカーが関わるのは、彼らにとっても将来の基幹技術となる電動パワートレーン(とその制御)のみ。市販車に直接関係のないレーシングチームの運営や空力開発などに手を出す必要はないというわけだ。

さらに、レースフォーマットがフリー走行〜予選〜決勝を日曜日に詰め込むワンデイであることも見逃せない。使用するタイヤを1ラウンド1セットのみと限定するなど、コスト面での配慮は徹底している。

ただし、フォーミュラEがほかの世界選手権と同様の注目度とステイタスを獲得するためにはまだ様々な課題が残っている。まずは、選手権そのものの価値がまだ低く、“世界の頂点”といった感は希薄なことだ。

マシンの面でも、Gen2車両の導入によってパフォーマンスが大きく向上しているものの、F1やインディカーを見慣れたレースファンにとってはフォーミュラEはやはりスピード&迫力不足は否めない。さらにワンメイクシャシのため、いくら電動パワートレーンが各車違うといっても、“どれがニッサンで、どれがジャガーで、どれがアウディで、どれがBMWか”わかりにくい。

安いコストで参戦可能であることと相反するが、さらなるマシンのパフォーマンスアップやワンメイク化からの脱却は、フォーミュラEが持続的に発展を遂げていくためには、今後不可欠な要素になっていくと思われる。

画像: フォーミュラEは、F1にかわって世界の頂点に立つレースとなるのか。

フォーミュラEは、F1にかわって世界の頂点に立つレースとなるのか。

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