ランサーエボリューションとともに、WRC競走用ベースマシンにして公道最速を目指した究極のロードカー、スバル・インプレッサWRX STIの系譜を紹介していこう。今回は第2世代の最終型、通称「鷹目」だ。(ホリデーオート2019年5月号より)

これ以上何もできないほど進化した第2世代の完成形

「インプレッサWRX STI(GDB型:2005年6月発売)」

画像: 当時のスバルのデザインアイデンティティ「スプレッドウイングスグリル」を採用。ヘッドランプは「鷹目」と呼ばれた。

当時のスバルのデザインアイデンティティ「スプレッドウイングスグリル」を採用。ヘッドランプは「鷹目」と呼ばれた。

通称「涙目」から「鷹目」にチェンジしたGDB型の最終モデルは、さすがに限界だろうと思われたエンジンを従来型より+1kgmの43kgmまでチューンしてみせた。ちなみに、このモデルから車名の「STi」は「STI」に変わっている。

スバルは「エンジンマネジメントを最適化」と簡単に言うが、過給圧制御のファインチューニング、等長等爆エキゾーストシステムの中ほどにあるチャンバーの最適化など、微に入り細にわたる修正と調整の結果だ。

画像: エンジンは究極の43.0kgm仕様のEJ20ターボ。ターボバンドに乗った後の強烈な吹け上がりは当時の国産車随一と言える。

エンジンは究極の43.0kgm仕様のEJ20ターボ。ターボバンドに乗った後の強烈な吹け上がりは当時の国産車随一と言える。

最大トルクの発生回転数は4000rpmと変わらないが、AVCS(可変動弁機構)と過給特性に優れたツインスクロールターボの相乗効果で3000〜5000rpmの常用回転域のトルクを嵩上げしてドライバビリティを向上させた。

トランスミッションは競技使用に耐える強度を持つ6速MTだが、今回4-5-6速ギアのシンクロ表面にカーボンを焼結してシンクロ機能を強化している。

画像: ステアリングはSTI製。メーターは中央にタコメーターを、右に260km/hスケールのスピードメーターが配置されている。

ステアリングはSTI製。メーターは中央にタコメーターを、右に260km/hスケールのスピードメーターが配置されている。

従来型と大きく異なるのは、DCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)に新たにトルク感応型機械式LSDを追加したことだ。

これによりアクセル操作による過渡的なトルク変化や路面状態の変化に対するLSD締結力の追従性を高めるとともに、電磁式LSDとの相乗効果により差動レスポンスをアップ。プラネタリーギアによる前後基本トルク配分比を41:59に変更して、一段とドライバーの意思に添った操縦性を示すようになった。

画像: 大型リアスポイラーに加え、ルーフエンドに装着されるルーフベーン。ダウンフォースに大きな効果がある。

大型リアスポイラーに加え、ルーフエンドに装着されるルーフベーン。ダウンフォースに大きな効果がある。

なお、スペックCの派生車として2005年8月にFIAのホモロゲを取得したタイプRAを、2006年11月には最大トルクを44kgmにまで強化したタイプRA-Rを300台限定で生産している。

画像: リアはフロントほど大きなデザイン変更はないが、リアコンビランプユニットのクリア部分と赤い部分の配色が変更された。

リアはフロントほど大きなデザイン変更はないが、リアコンビランプユニットのクリア部分と赤い部分の配色が変更された。

インプレッサ セダンWRX STI(2005年)主要諸元

●全長×全幅×全高:4465×1740×1425mm
●ホイールベース:2540mm
●重量:1460kg
●エンジン型式・種類:EJ20型・水平対向4 DOHCターボ
●排気量:1994cc
●最高出力:280ps(206kW)/6400rpm
●最大トルク:422Nm(43.0)kgm/4400rpm
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:235/45R17
●価格:340万2000円

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