2019年6月7日に開幕したカナダGPは、ヨーロッパラウンド前の重要な1戦。注目は前戦モナコGPでメルセデスを追い詰めたレッドブル・ホンダに集まるが、逆転のためにはなにが必要なのか。ホンダの秘策を探ってみた。

異なるタイプのサーキットでパフォーマンスを発揮した実績

今シーズンのここまでの成績を振り返ってみると、メルセデスのパワーユニットを搭載したチームの総ポイントは274点(1チーム平均91.3点)、ホンダのパワーユニットを搭載したチームの総ポイントは126点(1チーム平均63点)、フェラーリのパワーユニットを搭載したチームの総ポイントは168点(1チーム平均56点)、ルノーのパワーユニットを搭載したチームの総ポイントは44点(1チーム平均22点)。

メルセデスのパワーユニットがトップに立っているが、1チーム平均で見ると圧倒的というほどではない。では、メルセデスAMGのチームの速さはどこにあるのか。サーキットでの各セクションでのタイムを分析すると、むしろ低速コースでの速さが際立っている。どうやら、ピークパワーよりも、ドライバビリティ、シャシ、空力性能に差があるようだ。当然各チームもそれに対応してきているが、フェラーリは高速部分でのアドバンテージを伸ばしながら、低速コーナーを改善してきている。

ではホンダはどのように進化しているのか。ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「低速コーナー進入時のブレーキングで充電したバッテリーの電力をストレート区間で使うのですが、ロングストレートをはじめ、それをどのように配分していくかなどがキーになります。スペイン、モナコと、異なるタイプのサーキットでいいパフォーマンスを発揮できたことはポジティブに捉えています。カナダはまた別のタイプのサーキットですので、その特性に合わせた準備を進めています」と明かす。細かなセッティングが決まり出したとすれば、カナダでも期待して良さそうだ。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは「カナダではストレートスピードのあるフェラーリの競争力が高まると予想されていますが、いつものように最大限の結果を残そうと思います」と控えめに語るが、チームメイトのピエール・ガスリーは「チームにとっても相性のいいコースだと思います。昨年のレースでは11位とまずまずでしたし、マックス(フェルスタッペン)は昨年3位でフィニッシュしています」と感触は悪くなさそうだ。

また、トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトも「長いストレートとハードブレーキゾーンを持つサーキットで、レースは常に刺激的です。DRSゾーンではたくさんのオーバーテイクが見られると思います」、アレクサンダー・アルボンは「本当にここはドライバーズサーキットで、最終コーナーの壁も含めて、ここでのレースにワクワクしています」と、前戦のダブル入賞に続いて上位進出を狙う。

予選/決勝に向けての重要な金曜日のフリー走行では、例年よりもコースは埃っぽく滑りやすい状況で、また気温が高くタイヤの摩耗が激しく、どのチームもセッティングに苦労していた。「チャンピオンの壁=Wall of the Champions」と呼ばれる最終コーナーのコンクリートウォールには、メルセデスのルイス・ハミルトンとレッドブルのマックス・フェルスタッペンがマシンをヒットさせている。

フリー走行1回目はメルセデスAMGのルイス・ハミルトン、2回目はフェラーリのシャルル・ルクレールがトップタイムをマークしているが、1分12秒台とまだまだ手探りの状態。ちなみに昨年の予選ポールタイムはフェラーリのセバスチャン・ヴェッテルが記録した1分10秒764だった。

F1第7戦カナダGP予選は6月8日14時(日本時間8日深夜3時)に開始される。決勝スタートは6月9日14時10分(日本時間10日早朝3時10分)。

画像: フリー走行2回目でウォールにヒットしたマックス・フェルスタッペン。「走行のチャンスが短くなってしまったのは残念ですが、走行中のペースは悪くありませんでした」

フリー走行2回目でウォールにヒットしたマックス・フェルスタッペン。「走行のチャンスが短くなってしまったのは残念ですが、走行中のペースは悪くありませんでした」

2019年 F1第7戦カナダGP フリー走行1回目 結果

1位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)1:12.767
2位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)1:12.914
3位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:13.720
4位 33 フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:13.755
5位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)1:13.905
6位 K.ライコネン(アルファロメオ)1:13.945

13位 10 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ)1:14.570
16位 23 A.アルボン(トロロッソ・ホンダ)1:14.703
18位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)1:15.343

2019年 F1第7戦カナダGP フリー走行2回目 結果

1位 16 C.ルクレール(フェラーリ)1:12.177
2位 5 S.ヴェッテル(フェラーリ)1:12.251
3位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)1:12.311
4位 55 C. サインツ(マクレーレン・ルノー)1:12.553
5位 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ)1:12.935
6位 44 L.ハミルトン(メルセデスAMG)1:12.938

12位 10 P.ガスリー(レッドブル・ホンダ)1:13.345
13位 33 フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:13.388
14位 23 A.アルボン(トロロッソ・ホンダ)1:13.436
15位 26 D.クビアト(トロロッソ・ホンダ)1:13.521

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