昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。1965年発売のダイハツ コンパーノ スパイダー。(ホリデーオート2018年6月号別冊付録より)

イタリアンムードの快足オープンカー

ダイハツ コンパーノ スパイダー:昭和40年(1965年)4月発売

画像: 当時の日本車としては垢抜けたスタイリング。カタログ値で最高速は145km/h、0-400m加速は18.5秒だった。

当時の日本車としては垢抜けたスタイリング。カタログ値で最高速は145km/h、0-400m加速は18.5秒だった。

ダイハツが戦後初の試作乗用車を発表したのは、1961年(昭和36年)10月の第8回全日本自動車ショーにおいてのことだった。このあたりから同社のイタリアン・デザインへの傾倒ぶりが顕著にうかがえた。

そして翌62年の第9回ショーへの出品作(コンパクト・バン)は、カロッツェリア・ヴィニヤーレのデザインになる作品だった。

画像: 木目のインストルメントパネルに黒い4眼メーター。ステアリングの型式はボールナットだが切れ味はなかなか鋭く、ロックtoロックは3.5回転。

木目のインストルメントパネルに黒い4眼メーター。ステアリングの型式はボールナットだが切れ味はなかなか鋭く、ロックtoロックは3.5回転。

同社とヴィニヤーレとの結びつきはきわめて強く、またその作品の出来映えもすぐれており、ワゴン、バンに続いて64年2月に発売されたコンパーノ・ベルリーナ800も均整のとれたシルエットが特徴的だった。

この2ドアのみのベルリーナの屋根をとり払ってオープン化したのが、65年4月に発売されたコンパーノ・スパイダーだった。

エンジンはFE型、直4OHV、958ccで、ソレックスのSUキャブレターを2連装して、最高出力は65ps/6500rpm、最大トルクは7.8kgm/4500rpmを発生した。これに4速ギアボックスが組み合わされ、0-400m加速が18.5秒、最高速は145km/hをマークした。

画像: OHVとしてはリッターあたり出力が世界一とカタログに謳う。ツイン可変ベンチュリーキャブでチューンされて65psと7.8kgmを発生した。

OHVとしてはリッターあたり出力が世界一とカタログに謳う。ツイン可変ベンチュリーキャブでチューンされて65psと7.8kgmを発生した。

ラダーフレーム付きのためオープン化は比較的容易で(サイドシルの断面増大、クロスメンバーの追加などの補強が行われた)、車重も35kg増の790kgに抑えることができた。馬力当り重量は12.2kg/ sとなる。

イタリアン・ルックのボディは“シューティング・ライン”の愛称がつけられたが、価格は69万5000円と、トヨタ・スポーツ800(59万5000円)やホンダ S600(56万3000円)などより約10万円も高いため、その売れ行きは今ひとつ伸びなかった。なお、兄弟車に同一エンジンを搭載したベルリーナのコンパーノGTがある。

画像: 気密性にすぐれた幌。脱着には約30秒とカタログにはあるが、実際にはもっと時間がかかった。

気密性にすぐれた幌。脱着には約30秒とカタログにはあるが、実際にはもっと時間がかかった。

昭和の名車のバックナンバー

コンパーノ スパイダー 主要諸元

●全長×全幅×全高:3795×1445×1350mm
●ホイールベース:2220mm
●重量:790kg
●エンジン型式・種類:FE型・直4・OHV
●排気量:958cc
●最高出力:65ps/6500rpm
●最大トルク:7.8kgm/4500rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:6.00-12 4PR
●価格:69万5000円

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