最強のホンダエンジンを搭載するマクラーレンは他のチームから羨望の眼差しで見られていたが、MP4/4から続くマクラーレンのマシンはさすがに後れが見え始めていた。それでもアイルトン・セナとゲルハルト・ベルガーの安定したドライビングでマクラーレンン・ホンダは3シーズン連続のコンストラクターズチャンピオンに輝いた。(写真:金子 博)

アイルトン・セナが6勝しドライバーズチャンピオンを奪還

1990年、この年もホンダエンジンはマクラーレンに独占供給されることになった。

1990年仕様のホンダV10エンジン「RA100E」は、ボア×ストロークの変更、バタフライ式スロットルバルブの採用といった変更を受け、燃焼がさらに安定、パワーアップはもちろんのこと、信頼性も向上していた。エンジンの許容回転数は1万4000rpmに達し、瞬間的には1万5000rpmまで回ったと言われる。

ホンダエンジンはグランプリごとに細かなセッティング変更を行い、進化を続けたことでライバルを圧倒、「鈴鹿スペシャル」という言葉もすっかり有名となった。

マクラーレンMP4/5Bはその名称からもわかるとおり、MP4/5の正常進化として熟成されたものだが、エアロダイナミクス、シャシ性能ではフェラーリをはじめとしたライバルに対してさすがに後れも目立つようになってきていた。

それでも強力なホンダエンジン、アイルトン・セナとこの年からチームに加わったゲルハルト・ベルガーの活躍によって、ダブルタイトルを獲得している。

この年を象徴する事件は、やはり日本GPで起きている。舞台は鈴鹿サーキットの決勝スタートの1コーナー。1年前のリベンジを果たすかのように、セナがアラン・プロスト(フェラーリ)を「撃墜」。これによりセナのドライバーズチャンピオンが決定した。

プロストが移籍してベルガーが加入したことによって、マクラーレンは統率のとれた強固な戦闘力のあるチームになったのは皮肉だった。

画像: ドライバーは、マクラーレンで3シーズン目を迎えるアイルトン・セナ(左)と、フェラーリから移籍してきたゲルハルト・ベルガーのコンビ。ベルガーの加入によりマクラーレンは統率のとれたチームになった。

ドライバーは、マクラーレンで3シーズン目を迎えるアイルトン・セナ(左)と、フェラーリから移籍してきたゲルハルト・ベルガーのコンビ。ベルガーの加入によりマクラーレンは統率のとれたチームになった。

画像: マクラーレンMP4/5Bは前年のMP4/5に比べて洗練されたが、空力面ではやや後れも目立ち始めていた。そのためサーキットの特性に応じて様々に仕様を変更していた。

マクラーレンMP4/5Bは前年のMP4/5に比べて洗練されたが、空力面ではやや後れも目立ち始めていた。そのためサーキットの特性に応じて様々に仕様を変更していた。

画像: 勝利はなかったものの、着実にポイントを稼いだベルガー。

勝利はなかったものの、着実にポイントを稼いだベルガー。

ホンダF1第2期のバックナンバー

マクラーレンン・ホンダ MP4/5B
McLaren Honda MP4/5B(1990)

エンジン:Honda RA100E
●形式:72度V10 DOHC4バルブ
●排気量:3498cc
●ボア×ストローク:93.0×51.5mm
●圧縮比:12.4
●最高出力:680ps以上/12800rpm
●燃料供給方式:PGM-FI 2インジェクター
●スロットル形式:10連バタフライ式スロットルバルブ

シャシ:McLaren MP4/5B
●デザイナー:ニール・オートレイ
●車体構造:カーボンファイバー/ハニカムモノコック
●全長×全幅×全高:4470×2133×965mm
●ホイールベース:2895mm
●トレッド前/後:1800/1660mm
●サスペンション:ダブルウイッシュボーン(前プルロッド/後プッシュロッド)
●タイヤ前/後:11.75-13/16.25-13インチ
●燃料タンク:212L●トランスミッション:マクラーレン製横置き6速
●車体重量:500kg

This article is a sponsored article by
''.