クルマに「名車」と呼ばれるモデルが存在するように、エンジンにも「名機」と呼ばれる優れたものがある。ここでは、1960年代から90年代の国産スポーティFR車に搭載された、そうしたハイパフォーマンスなエンジン10基を紹介していきたい。

日産 RB20DETエンジン:1985年登場

画像: プラグコードがないのでスッキリしたヘッドカバーには「TWIN CAM 24VALVE」のロゴも入る。

プラグコードがないのでスッキリしたヘッドカバーには「TWIN CAM 24VALVE」のロゴも入る。

長く第一線で活躍してきたL型に代わる日産6気筒の主力機がRB型エンジンだ。中でも1985年10月に登場した2L DOHCターボは、牙を抜かれた日産車を生き返らせた名機として知られる。最終的にはGT-RのRB26DETTに到達し、RBの名は確たるものになっていく。

RB20DETの基本構成は、鋳鉄製ブロックにアルミヘッドを組み合わせた直6+インタークーラー(IC)ターボで、ペントルーフ型燃焼室に挟角46度で吸排気各2個ずつのバルブを配置した4バルブDOHC機構を備える。

前回紹介したFJ20型より14度も狭いバルブ挟角が、燃焼室容積を小さくする近代設計の証だ。油圧リフター付バルブは、コッグドベルト駆動のカムシャフトによりカムダイレクト駆動され、7000rpmまで許容するチューニングが施された。

画像: L20ETを時代遅れにしたRB20DETを最初に積んだのがZ31型フェアレディZ-200ZR。重い3L V6を積む300ZXはアメリカ主体のためか回頭性が鈍く評判はイマイチ。RBを得て日本での人気が復活した。

L20ETを時代遅れにしたRB20DETを最初に積んだのがZ31型フェアレディZ-200ZR。重い3L V6を積む300ZXはアメリカ主体のためか回頭性が鈍く評判はイマイチ。RBを得て日本での人気が復活した。

そして注目は、ターボラグをなくすためタービンのローター部に新開発のファインセラミックスを採用して慣性モーメントを従来比45%も低減したことだ。最大過給圧は590mmHgに電子制御され、どの回転数からでも敏感に反応するシャープなフィーリングを実現した。

高速域の伸びも素晴らしく、最高速度はスカイラインクーペGTSのテスト値で210.2km/hをマークする実力を発揮している。

画像: 200ZRから7カ月後の86年5月、スカイラインクーペGTSが誕生。好評を受け4カ月後に4ドアHTにもGTSを追加する。セラミックターボの一気の吹け上がりでGTSはスポーツカーとして返り咲いた。

200ZRから7カ月後の86年5月、スカイラインクーペGTSが誕生。好評を受け4カ月後に4ドアHTにもGTSを追加する。セラミックターボの一気の吹け上がりでGTSはスポーツカーとして返り咲いた。

このほか、ハイテンションコードをなくした世界初の電子配電システム(NDIS)や、全域高トルクを生む世界初の電子制御可変吸気コントロールシステム(NICS)、ツインノックセンサーなど、最新技術が惜しみなく投入されたRB20DET型は、ネットで最高出力180ps/最大トルク23.0kgmを発生した。

1987年にはこれをベースにターボの変更などレースのホモロゲ用にチューンした800台限定のGTS-Rが210psまでのチューンを受けて登場し、ファンを熱狂させている。

画像: スカイラインでは写真のR32からR34型、その他にもローレルやセフィーロなど、多くの車種にRB20DETは搭載された。

スカイラインでは写真のR32からR34型、その他にもローレルやセフィーロなど、多くの車種にRB20DETは搭載された。

名機10選のバックナンバー

日産 RB20DETエンジン 主要諸元

●型式:RB20DET
●主要搭載車種:Z31型フェアレディZ 200ZR-I/II
●発表年月:1985年10月
●配置・気筒数:水冷直列6気筒ターボ・縦置き
●バルブ駆動機構:DOHC・チェーン
●気筒あたりバルブ数:4(吸気2/排気2)
●過給器:セラミックターボ
●燃焼室形状:ペントルーフ
●総排気量1998cc
●ボア×ストローク:78.0×69.7mm
●圧縮比:8.5
●最高出力:180ps/6400rpm(ネット)
●最大トルク:23.0kgm/3600rpm
●燃料供給装置:ECCS(電子制御燃料噴射)
●燃料・タンク容量:レギュラー・65L
●燃費:9.7km/L(10モード・5速MT

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