クルマに「名車」と呼ばれるモデルが存在するように、エンジンにも「名機」と呼ばれる優れたものがある。ここでは、1960年代から90年代の国産スポーティFR車に搭載された、そうしたハイパフォーマンスなエンジン10基を紹介していきたい。

トヨタ 2T-G:1970年登場

画像: 黒い結晶塗装のエンジンカバーが、当時の高性能エンジンの証だった。

黒い結晶塗装のエンジンカバーが、当時の高性能エンジンの証だった。

「DOHCのトヨタ」のイメージを定着させた立役者が、この2T-G型であることは間違いない。当時の1.6L DOHCエンジンは、トヨタ9R型といすゞG161W型、三菱4G32型で、どれも非常に高価だった。

そんな時に2T-G型を積んだセリカが87万5000円という価格で登場したのだから、ファンは狂喜した。人気をダメ押ししたのがレビン/トレノで、価格は81万3000円だった。

その後、2T-G搭載車はレースやラリーなどのモータースポーツで好成績を残し、DOHCの優位性を誇示していくことになる。

2T-Gの基本構成は、クロスフロー直4 OHVの2T型にヤマハが開発したDOHCヘッドを架装したもの。ディープスカート式鋳鉄シリンダーブロックに5ベアリング・クランクシャフトを組むのは、ベースの2Tと共通だ。

画像: 1970年12月に登場したセリカは2T-Gを積む1600GTでDOHC旋風を巻き起こした。

1970年12月に登場したセリカは2T-Gを積む1600GTでDOHC旋風を巻き起こした。

異なるのは動弁機構で、アルミ製シリンダーヘッドに設けた半球形燃焼室に挟角66度で吸排気バルブを配置し、2本の独立したカムシャフトで駆動する(カムリフトは吸排気ともに9.5mm)方式を採用したこと。

カムシャフト駆動はOHV用カムシャフトの位置にポンプドライブシャフトを設け、そこで1次減速する2ステージ・ダブルローラーチェーンが採用された。低速時のチェーン音発生を抑えるため、プライマリーチェーンにチェックボール入りテンショナーが設定されている。

画像: カリーナにも2T-Gを搭載した1600GTが登場。1971年4月に2ドアセダン、そして72年12月に写真のハードトップにも設定された。

カリーナにも2T-Gを搭載した1600GTが登場。1971年4月に2ドアセダン、そして72年12月に写真のハードトップにも設定された。

燃料供給は各気筒独立チョークとするため、スロットルボア径40mmのソレックス2チョーク40PHH3型キャブを2基装着。出力低下を招かない範囲でインテークマニホールド内径を細くし、慣性効果で加速時のレスポンスアップを図ったのも特徴のひとつだ。バルブリフターは10R型と、エアクリーナーは3K型と共通にするなど、コスト低減も図られた。

画像: TE27レビン/トレノの登場は衝撃だった。価格の安さに加え、855kgの小柄なボディを生かした走りで一気に国内ラリーを席巻する。前後のオバフェンも人気を煽った

TE27レビン/トレノの登場は衝撃だった。価格の安さに加え、855kgの小柄なボディを生かした走りで一気に国内ラリーを席巻する。前後のオバフェンも人気を煽った

エンジン単体のスペックは、仕様書によると機関長653×幅677×高さ597mm、整備重量152kg、燃料は低鉛プレミアムガス使用とある。

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2T-G 主要諸元

●型式:2T-G
●主要搭載車種:TA22型セリカ 1600GT
●発表年月:1970年12月
●配置・気筒数:水冷直列4気筒・縦置き
●バルブ駆動機構:DOHC・2段式チェーン
●気筒あたりバルブ数:2(吸気1/排気1)
●過給器:なし
●燃焼室形状:半球形
●総排気量1588cc
●ボア×ストローク:85.0×70.0mm
●圧縮比:9.8
●最高出力:115ps/6400rpm
●最大トルク:14.5kgm/5200rpm
●燃料供給装置:ソレックス×2
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●燃費:未発表

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