アウディ A4のフェイスリフトモデルに初試乗。周囲を3000m級の山々に囲まれた風光明媚なドロミテ(イタリア)を舞台に、そのポテンシャルを試した。(Motor Magazine 2019年9月号より)

クワトロスポーツを彷彿させるアイコンを採用

アウディA4がイヤーモデルとしてのフェイスリフトを受けた。テストフリートの中から選択した試乗車は、メタリックグレーのA4(セダン)45TFSIクワトロである。本題に入る前にこのモデル名の真ん中に加えられた「45」という数字についてもう一度おさらいをしておこう。

これまでアウディは排気量ごとに2.0TFSIとか3.0TDIといったモデル名が付けられていたが、今後は排気量を表す数字は消えて代わりにパワーレンジで30、45そして55や70というコードが入ることになる。 

たとえば「30」は81〜96kW(約110ps〜130ps)の出力を発揮しているモデルに与えられる数字であり、今回の試乗車にある45は169kW〜185kW(約230ps〜250ps)のパワーレンジであることを示す。 

なぜこのようなモデルの区分をするようになったのかと言えば、将来、PHEVあるいはBEV、さらにはFCEVが登場した場合、それらのモデルには排気量が意味を持たなくなるからである。そんなわけでしばらくはちょっとした混乱が予想される。 

画像: モデル名が排気量別からパワーレンジにシフト。

モデル名が排気量別からパワーレンジにシフト。

さて、A4に話を戻そう。 すでにお伝えしたようにアウディは2019年型のA4に「よりスポーティで、よりモダンに」というテーマで、フェイスリフトとしては非常に大胆なデザイン上の変化を与えている。

輪郭がシンプルな変形ひし形のLEDヘッドライトを、両脇にレイアウトしたシングルフレームグリルは低くワイドになり、上縁には初代クワトロを思わせるスリットが入った。さらにボディサイド、前後フェンダー上部のブリスタープレスラインで1980年代のクワトロスポーツを思い起こさせている。

インテリアも大きく変化している。これまで慣れ親しんできたMMIダイヤルは消え、代わってダッシュボードセンターには10.1インチのタッチスクリーンが登場している。さらにドライバー正面のコクピットのデジタル表示もリデザインされた。まあ、慣れは必要だが、ダイヤルを回してプッシュするよりは直感的に操作しやすい。

画像: 10.1インチのタッチスクリーンを装備。

10.1インチのタッチスクリーンを装備。

心地よいスムーズさと、締まった乗り味を両立

このモデルに搭載されているエンジンは2L直4ターボで最高出力245ps(180kW)、最大トルク370Nmを発生する。そして7速Sトロニックとの組み合わせで、自重1615kgの4ドアボディを100km/hまで5.8秒で加速させ、最高速度は250km/hでリミッターが働く。

走り出すと、思わず微笑みが出るほどのアウディらしい心地よいスムーズさで、流れるような加速を開始する。シャシは基本的に同一のはずだが、低速で走り出すとややハード、というよりも締まった感じを受けた。しかし速度を上げてゆくと路面にぴったりと張り付いたクワトロフィールで峠道を抜けてゆく。走りの品質は一層磨きがかかったことが分かった。

一方、アシスタントシステムはアッパークラス並みに充実しており「シティ」や「ツアー」そして「パーキング」のパッケージで、様々な状況でのサポートが期待できる。アウディA4は2015年の発売以来すでに34万5000台近い販売実績を上げているが、この大がかりなフェイスリフトのバリューは大きい。プレミアム御三家の一角としてのアウディにとって、ニューBMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスに勝るとも劣らない、大いなる躍進を見せてくれるだろう。(文:木村好宏)

試乗記一覧

■アウディ A4セダン 45TFSIクワトロ主要諸元

●全長×全幅×全高=4762×1847×1431mm
●ホイールベース=2820mm
●車両重量=1545kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=1984cc
●最高出力=245ps/5000-6500rpm
●最大トルク=370Nm/1600-4300rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=7速DCT

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