スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

ALFA ROMEO SZ:アルファロメオ SZ(1989-1991)

画像: その走りは、レーシングカー メーカーでもあるアルファロメオの面目躍如たるものがある。

その走りは、レーシングカー メーカーでもあるアルファロメオの面目躍如たるものがある。

1989年のジュネーブ モーターショーで、イタリアン カロッツェリアのザガートがアルファロメオとコラボレーションして発表した100台限定のFRスポーツクーペが、アルファロメオ SZだ。SZとは「Sprint Zagato(スプリント ザガート)」の略称であり、1960年代の名車、アルファロメオ ジュリエッタ SZをオマージュして名づけられた。

1986年にフィアット傘下に収まったアルファロメオは当時不振のさなかにあったが、フィアットのデザイン部門が提案した強烈なボディデザインを採用したこのSZがカンフル剤として効いたのか、その後しだいにアルファロメオは活気を取り戻し、らしさを復活させていった。

画像: ザガートのデザインしたボディは好き嫌いは分かれるだろうが、押し出し感は強い。

ザガートのデザインしたボディは好き嫌いは分かれるだろうが、押し出し感は強い。

そのメカニズムは、1970年代のスポーツセダン、アルフェッタから連綿と受け継がれてきたFRトランスアクスル・シャシがベースだ。直接的には、当時の主流モデルだった75のレースバージョンのノウハウが活かされている。フロントに搭載される3L V6はSOHCながら最高出力は当時のアルファロメオとしては最強の210psにまで強化されていた。

ボディ外板には、そのころからモータースポーツでは普及し始めたFRP樹脂を採用している。ザガートによる独特のスタイリングは、悪い意味ではなく「イル・モストロ(イタリア語で怪物の意味)」と呼ばれることもあったが、そのパフォーマンスはスポーツカーとしては正統的だった。

画像: CFRPのパネルにヴェリア製のメーターが埋め込まれたインパネ。ステアリングはMOMO製。シートは本革。

CFRPのパネルにヴェリア製のメーターが埋め込まれたインパネ。ステアリングはMOMO製。シートは本革。

ほぼ同時期に、ザガートがオーテックジャパンとコラボレーションして2代目レパードをベースに開発したクーペ「ステルビオ」とデザインの近似性を感じさせる。また、1992年にはSZをベースにしたオープンモデル、RZ(ロードスター ザガートの略称)も発売された。

SZは1991年、RZは1993年に生産を終了。その後しばらくの間、アルファロメオのラインアップからはFR車が消えてしまう。FRアルファロメオの復活は、2017年のジュリアまで待たなければならなかった。

画像: 全長は4m余りとコンパクト。一見2+2クーペに見えるが、リアシートはなくカーゴスペースとされた2シーターだ。

全長は4m余りとコンパクト。一見2+2クーペに見えるが、リアシートはなくカーゴスペースとされた2シーターだ。

アルファロメオ SZ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4060×1730×1300mm
●ホイールベース:2510mm
●車重:1280kg
●エンジン形式・排気量:60度V6 SOHC・2959㏄
●最高出力:155kW(210ps)/6200rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/4500rpm
●燃料タンク容量:68L
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:前205/55ZR16、後225/50ZR16

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