スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

ASTON MARTIN DB5:アストンマーティン DB5(1963-1965)

画像: ちょっとクラシカルなノッチバック クーペスタイル。基本デザインは、カロッツェリア・トゥーリングのF.B.アンデルローニが手がけた。

ちょっとクラシカルなノッチバック クーペスタイル。基本デザインは、カロッツェリア・トゥーリングのF.B.アンデルローニが手がけた。

イギリスを代表する高級スポーツカーメーカーといえば、なんといってもアストンマーティンの名が上がるだろう。その設立は1913年だから、すでに100年以上の歴史を誇る。今もスポーツカーレースを中心にモータースポーツにも参戦し続けるアストンマーティンは、その100年を超える歴史の中で経営権は何度も変わったが、現在はイタリアの投資会社などが中心となり、経営状態は安定しているようだ。

さて、アストンマーティンの名を聞くと、まず頭に思い浮かべるのは映画「007」シリーズではないだろうか。主人公のジェームズ・ボンドが駆るクルマ、いわゆるボンドカーは多くの映画作品の中でアストンマーティンが担っている。ここで紹介するDB5は、1964年の「007 ゴールドフィンガー」で初の本格的なボンドカーとして登場し、さまざまな秘密兵器を使って大活躍する。その後もボンドの愛車として作品中に何度も登場し、もっともボンドカーのイメージが強いアストンマーティン車は、このDB5だといえるだろう。

画像: コクピットはウッドのステアリングを含めて、まだ戦前のスポーツカーを思わせるもの。ローバックのシートも英国風だ。

コクピットはウッドのステアリングを含めて、まだ戦前のスポーツカーを思わせるもの。ローバックのシートも英国風だ。

実際のDB5は、1963年7月に発表された。車名のDBとはアストンマーティン中興の祖であるデイビッド・ブラウンの頭文字であり、車名にDBが付けられてから5番目のモデルであることを意味する。1958年に誕生した先代モデル、DB4のシリーズ5とほぼ同じボディを持つ。DB4はレーシングカーで採用した技術を盛り込んで開発され、アストンマーティンの新時代の礎を築いたモデルだった。

DB5の車体はイタリアのカロッツェリア、トゥーリングのスーパーレッジェーラ工法でつくられるが、ボディ外板はアルミ製。フロントに搭載される直列6気筒エンジンもアルミ製で、排気量はDB4の3670ccから3995ccまで拡大された。DB4では高出力仕様のヴァンテージのみだった3連キャブレターを装備し、最高出力は286ps、最大トルクは39.8kgmを発生する。高出力仕様のDB5ヴァンテージも設定され、そのキャブレターはSUではなくウエーバー製の3連となり、最高出力は314psにアップした。

画像: 直6ながら4Lの大排気量を与えられ、286psを発生する。ロープロファイル タイヤのない時代だから、そのパワーを引き出すのは難しそうだ。

直6ながら4Lの大排気量を与えられ、286psを発生する。ロープロファイル タイヤのない時代だから、そのパワーを引き出すのは難しそうだ。

基本ボディは1960年代のクーペらしい、少しクラシカルなクローズドスタイルだが、アストンマーティンの伝統でオープン化されたドロップヘッドクーペや、ボディ後半をワゴン風に改装したシューティングブレークもバックヤードで造られた。

また、2018年にはDB5のボンドカー仕様を25台限定で復刻生産して販売すると発表された。本物のボンドカー同様のギミック?を装備し、2020年にはデリバリーが始まる予定だ。

画像: 小さなテールランプも時代を感じさせる。日本の5ナンバー枠に収まるコンパクトなサイズだが、実際の寸法より大きく見える。

小さなテールランプも時代を感じさせる。日本の5ナンバー枠に収まるコンパクトなサイズだが、実際の寸法より大きく見える。

アストンマーティン DB5 主要諸元

●全長×全幅×全高:4570×1680×1340mm
●ホイールベース:2490mm
●車重:1465kg
●エンジン形式・排気量:直6 DOHC・3995㏄
●最高出力:286ps/5500rpm
●最大トルク:39.8kgm/3850rpm
●燃料タンク容量:86L
●トランスミッション:4速MT

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